雨の日はセンターシーム

こんにちは、ばしです。

 

出会いは11月半ば。

先月はその時点で、未到着のモノも含めますとすでに結構な数を購入しておりました。なもんで、今すぐにでも欲しいんだけど、少しは自重せねば、と、ここはぐっと我慢です。12月になるまで待つことにしたのでした。

「売れてくれるなよ」

そう願い待つ二週間は、いつもより時間が長く感じられます。待って、待って、待って。ああ、待ち遠しい。ようやく月が替わった12月の初日。ああ、よかった。売れずに残っていてくれました。ソッコーでゲットいたしました。

こいつ。

 

 

パテントレザーのセンターシームスリッポン。

滅多に見ないスタイルです。どうやらこいつ、某・米国老舗シューメイカーの展示会向けのサンプルモデルだった模様。ですが、最終的にこのスタイルはどうやらお蔵入りになってしまった、とのこと。

おお、残念。

 

 

 

 

 

・・・というのはウソです。

 

 

 

 

 

全景。

アッパーはエナメルではなく合皮。グッドイヤー風のコバの縫い目はイミテーションです。で、ソールはラバー。何か書いてあります。

MADE IN CHINA。

それもシール貼付です。ですが、今は中国に製造を委託している本格靴もあるくらいですので、中国製だからと侮れません。まあ、こいつは本格靴ではないんですけどね。

中央には「M」の刻印。ウイズ表記でしょうか?
いいえ、サイズです。「S・M・L」表記の「M」です。

こいつ、どこの何者なのでしょう。

 

 

glabella グラベラ

 

「グラベラ」なる、日本のアパレル雑貨メイカーさんの品だそうです。

公式ホームページこちら

AMAZONやZOZOなどネットで買えるみたい。新品価格は5千円~1万円弱。6~7千円くらいがメインの価格帯で、見た目&コスパ重視のようです。当然、アッパーは合成皮革でソールはラバーとなり、セメント製法のCHINA製、となる。

靴としては安価な部類のものかと思いますが、若い人が割り切って履く分には全然ありと思います。というか、ティーンエイジャーやバイトもままならない苦学生の味方、とかかな。知らんけど。

 

で、そんな靴の中古を、若くもない私がわざわざ購入した訳は、これ。

センターシームです。センターシームのお気に入りのペアが1足あります。向かって左がそれ。Allen Edmonds Dickson。私がこのビン靴の世界に足を突っ込むきっかけとなったペアです。

お気に入りで、今ではすっかり見慣れたセンターシームですが、正直、あまりカッコいい部類のデザインではありません。むしろ、不格好で、こんなの要らない、という人の方が多いかもしれない。なのですが、私にとっては特別で思い入れのあるデザインなのです。

(参考「ヴィンテージシューズ界への入り口(私の場合)」)

 

 

で、今回の合皮のペア。

先程の写真のとおり、爪先の感じがDicksonとそっくりなんですが、爪先だけでなく、全体のサイズ感もフォルムも、かなり似てます。

ね。

まるでトレースしたかのようです。今回、セカストの雑多な靴コーナーから持ち帰って来たのですが、この甲の中央を縦に走るラインを見た瞬間、「これはオレが買う」と決めたのでした。その後しばらくは冒頭の通り、売れてしまわないかと気が気でなかったわけですが、その半面、誰もこんな靴買わないだろうな、との思いも実は強かった。

なぜって、こんな変な顔です。
こいつを喜んで持ち帰りたい奴なんて、恐らく私くらいでしょうから。

今回はスリッポンタイプです。

で、ピカピカしてます。光り過ぎて、あまり上品とは言えません。マット調にしたいのですが、どうすればいいでしょう。そうだ、TAPIR レダーオイル入れるといつもマット調になります。やってみました。

変化なし。

まあ、合皮ですしね。染みこみません。
当たり前ですね。
よし、なら、こいつでどうだ。

サフィールクレム。私はこのクリームで光らせるのが苦手です。ひょっとして、私の腕の所為ではなく、光らないのはクリームの所為かもしれない。

綺麗に光りました。
やはり私の腕がイマイチだったようです。

まあ、光り過ぎではありますが、当面はこのままで。マット調にする方法はそのうち調べましょう。

いや、むしろ、この光り方を生かすべきなのかもしれない。パテントレザー(=エナメル)のペアと称して履くのはどうだろうか。比較してみました。

向かって左、チャーチ製のPEAL&CO(BB)です。

光り方は似てますが、黒の色の深さが違うな。向かって左のPEALの黒の方がより黒い、漆黒です。さすが、本格靴です。

けどまあ、こんな風に並べて比べてみない限り、「黒の黒さが足りないね」だなんて、誰も思わないし気づきません。あれこれ考えずに履けばいい。

履いてみました。

まあ、比べれば安っぽいけど、綺麗なフォルムのよくできた靴なのではないかな。

足を入れた感じは、ヒールカップは柔らかすぎて少し頼りないですが、爪先は型崩れしないよう芯地が入っていてカッチリしてます。爪先も踵周りも、同じくらいのサイズ感ですが、靴紐がなく締め上げられないので、このままだと踵がすぽっと抜けちゃいそうです。

サイズ調整しましょう。百均の中敷き、INしてみました。

お、いい感じです。タンがないので靴下が見えます。仕事で履く予定ですので、その際は今回同様、同色の黒い靴下履くのが良さそうです。

正面から見ればこんな感じ。

どうでしょう、意外とドレス顔で、そんな悪くないのではないかな。同じ形のモデルがアレンからリリースされたら買っちゃうかも。というか、このスタイルのアレンのペア、欲しいぞ、リリースされて欲しいぞ。

グラベラさんのこのペア、新品時の価格は不明ですが、中古のこいつは税込990円とお安く拾ってきました。まあ、中古といっても使用感がごく僅かなミントコンディションなやつです。ラッキーです。

多くの人にとってはどうでもいいような靴でしょうし、いい歳した大人がそんな安物をと笑われるかもしれませんが、まあ、そう言わないで。私にとってはなかなかに特別なやつなのです。モノの価値というものは絶対的なものではなく、相対的に決まる、のだと思います。

 

今月12月は千円でお釣りなやつしか買わない約束ですが、結構いい買い物できたのではないかと思う次第です。ラバーソールだし、水も染みない合皮だし、「雨の日がハレの日」要員にする予定です。

ただ、耐久性がどうか、気になるところです。まあね、年に数える程しか履きませんので、すぐにどうこうなることはないでしょう。安物の中古、とはいえ、とってもお気に入りのスタイルです。長持ちしてくれたら嬉しいな。

 

ああ、雨が待ち遠しい。

 

(おしまい)

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