マイファースト Eduard Meier

こんにちは、ばしです。

 

1月に届いたペアを2ヶ月ほど放置しておりました。

何故かといいますと、おおよその年代などの詳細を調べていたからなのですが、結局ほとんど何も分からず終い。こんなに情報が少ないのも珍しいな。で、分かったことといえば、そんな風にレアな部類のドレスシューズであるということぐらい。

「暖かくなったらジャケパンではなくスーツの足元で履き下ろそう」、そんなつもりでおりましたこともあり、時間はまだまだあると余裕をかましていたのですが、気づけば春はもうすぐそこまで来ている。

いよいよデビューのタイミングは近い。そして何より、もうそろそろ履き下ろしたいな。そんなわけでいよいよ始動です。今年ゲットするペアの中で五本の指に入ることになるであろう、そんな予感のするやつ。

こいつ。

 

 

Eduard Meier エドワード マイヤー

 

バイエルン国王御用達、ミュンヘンのシューズブランド、Eduard Meier。

ディンケラッカーやVASSなどの東欧靴に興味を持ち始めた頃にその存在を知り、いつか手に入れたい、足を入れたいと、永らくマイサイズを探していたのでした。靴の作りも素晴らしいようなのですが、何よりもその歴史が凄まじい。ざっとこんな感じだそうです。

 

◎1596年創業。神聖ローマ帝国の時代にその首都だったミュンヘンにて設立。ヨーロッパの上流階級向けの靴を製作し、19世紀にはバヴァリア王室からワラントを授与。バイエルン朝の時代に王室御用達となる。

◎ビスポークのブランドとして続いてきたが、後にプレタポルテ(既製靴)のモデル展開も行うようになる。 20世紀初頭から大学教授などとともに解剖学的見地を取り入れ、より快適なドレスシューズの開発に取り組む。

◎美しさとコンフォートを両立させた至極の履き心地のドレスシューズ、これが1992年に「ペドゥフォームラスト」という形で結実。現在は衣料からアクセサリーまで揃えるが、店舗は今もミュンヘンの1店舗のみ。現存する中で最古の400年の歴史を誇るシューメイカー、それがエドワード・マイヤー。

 

今回は主に「ロンドン散財見聞録」の3記事を相当に参考にさせて頂きました。

「【エドワード・マイヤー】ミュンヘンの世界最古の靴屋」
「エドワードマイヤー(Eduard Meier)のレッドタン」
「エドワードマイヤー(Eduard Meier)再訪」

この場をお借りしまして、お許し願えましたら幸甚です。

 

 

で、創業がなんと1596年、これだけでも凄い。関ケ原の戦い(1600年)よりも古い。同時期の日本は慶長元年、豊臣秀吉や徳川家康が生きた時代です。よくもまあ、今まで続いたものです。そんなエドワードマイヤーの靴。いろいろと調べてみました。歴史と伝統も伴う高級靴であること以外に分かったことは思いのほか少ない。ランダムですが、こんな感じ。

 

①2004年以前はビスポークあり、以降は既成靴のみ
②レッドタン、グリーンタン、パープルタン、ブルータンの4ライン構成
③元からずっとそうではなく、以前は色分けはなかった
④最上級の「レッドタン」はハンドソーン、他はグッドイヤー
⑤現在はクロケット&ジョーンズ製のOEMもある

 

②の「4ライン構成」ですが、

同社のホームページよりスクショ拝借しました。左のイラストのように実際にタンの端が色分けされているようです。ちなみに、イラストの下に、最上級ラインの赤がハンドソーン、それ以外はグッドイヤー、的なことがドイツ語で書かれているようです。

同じく、ホームページより。これは「グリーンタン」のペアです。上から二番目の上級ラインで、製法はグッドイヤー。ところで、クロケットのOEMってのは、グッドイヤーのラインの一部なのか全てなのか、あるいはダブルネームで扱われているペドゥフォームラストでないペアだけなのか。この辺のことも良くワカラナイ。

ロンドン散財見聞録さんのペア、画像拝借させて頂きました。ハンドソーンのレッドタン。なんかもう、溜息が出そうなくらい凄いペアであることは写真からだけでもひしひしと伝わってきます。

 

さて、今回のペア。

溜息出る程ではないものの、結構な存在感です。で、タンに色がついてません。これって、色分けされる以前の時代のモノなのでしょうか。それって、年代としてはいつ頃が境目なのでしょうか。よくワカラナイ。

ソックシートのこのロゴも、今のモノとは違うみたいです。調べてみる限り、最近のは向きが90度傾いているようです。

すみません、先ほどのレッドタンのソックシート写真、再度拝借させて頂きました。ロゴも違いますが、ソックシートとライナーの色目もことなるようです。で、他にも、

中古ですと、このロゴのペアを番見かけるように思います。古い物なのでしょうか?いつ頃?中ほどに「Goodyear~」とあります。低グレードのモノ?クロケット製?どうなんでしょう。

いろいろ調べてみましても、今回のと同じ向きのロゴのソックシートがなかなかヒットしません。ロゴを手掛かりとして、

 

・年代はいつ頃?
・ビスポーク or レディメイド?
・オリジナル or OEM?
・カールフロイデンベルグのボックスカーフ?

 

このあたりのことを明確にしたかったのですが、正直、よくワカラナイ。まあね、ミュンヘンに行かないと手に入らないペアです。おそらく、日本で流通している数も多くはないでしょうし、自ずと出回ってる情報も少ないのでしょう。まあ、しょうがないですね。ぼちぼちと継続して調べるしかなさそうです。

 

よし、そんなこんなで、いざ、履き下ろしに向け、まずは儀式です。
いつも通り、まずは左から。

 

ステインリムーバー

汚れやワックスの類はほとんどなし。トゥに引っ掻いたような傷あり。

まあ、あまり気にならない性質です。

 

LEXOL

これもいつも同様。

コバ周りを入念に掻き出す。

質実剛健な作りです。

 

リッチデリケートクリーム

それほど乾いたようには思わなかったのですが、

グングンと吸い込みました。

 

リッチモイスチャー

これもまたいつも通り。

アッパー、肌理は細やかですが、渇きのせいなのかな、白っぽい。

 

TAPIR レダーオイル

ドイツ靴にドイツのオイル。

ほんの少しだけ趣が変わったような。

さて、仕上げの前にソールメンテ。

すごい独特な形状です。で、以外と細身です。

ソールトニック入れて、

パレードグロスのムショクを塗り込んで磨く。

中央の傷が気になる。コバインキ入れてみました。

目立たなくはなるかな。まあ、見えないんですけどね。

最後にコロニル(ムショク)で仕上げ。

ありゃりゃ、コバインキとれちゃいました。まあ、このままでいいや。

さて、仕上げです。

 

コロニル1909(ブラック)

補色の意味もあり、今回は黒のクリームを入れてみました。

だいぶ黒さが増しました。

トゥ。かなり肌理が細かいです。触ったらスベスベしてます。

右も同様の手順で仕上げてメンテ完了です。

 

【BEFORE】

【AFTER】

適度に引き締まりました。

 

【BEFORE】

【AFTER】

うーん、独特かつ素晴らしいシェイプです。これがペドゥフォームってやつなのでしょうね。

ドイツ語なので読めませんが、ペドゥフォームは、土踏まずをきっちり固定し、足先にゆとりを持たせる設計だそうです。

まさに「PEDUFORM」、前半分はふっくら、後ろ半分は小ぶりでタイトな印象です。

 

さて、ディーテール、ご紹介です。

 

羽根周り。

ダブルステッチ。

 

キャップトゥの切り返しもダブルステッチ。

 

バックシャン。

グラマラスなヒールカップ、当て革もダブルステッチ。

 

サイドビュー。

丸っこいのに流れるようなシェイプ。

ソールは、、、トリプル?でしょうか。相当に分厚くて私好みです。

全体的に、非常に非常に丁寧な作り込みかと思われます。

 

さて、内側など。

あらためて、ソックシートのロゴ。ワラントが3つ。

踵周り、擦れ等もなし。

角度を変えて、

印字の類が全くありません。
あ、そういえば、レッドタンなどではタン裏に年代表記等があるらしい。

何もない。うーん、どういうことなのか。と思ったら。

羽根の縁に青い数字が。

左の足にも同様な文字。
「8」は読めます。その次は?「1/2」?最後は「2」?
サイズ8.5のBウイズ、ということでしょうか。うーん、よくわからない。

最後に、ソックシート前方。

釘穴が見えます。ハンドソーンのようです。
で、既成靴でしょうか?最初はビスポークかとも思いましたが、サイズ表記があるゆだし、なんともかんとも。結局おおよその年代すらも分からぬままですが、かなり素晴らしいペアであることだけは間違いなさそうです。

 

現在4ラインあるマイヤー。

グレードによってクオリティはどのくらい差があるのでしょう?下位のグレードのペアと比較すれば、このペアがどの程度上位なのかそうでないのか、が、分かるってもんです。

なもんで、

安いのを見かけたんで、もう1足買ってみました。セラー曰くクロケット製。先ほどの「Goodyear~」のロゴのペアがこいつです。茶のPTB持ってないし、万一でかけりゃ息子ゆきです。そもそもアッパーグレードでないとはえ、クロケット製ですしね。文句はない。桜の咲くころには届く予定です。

 

 

しかし、あれですね、東欧の靴って、独特ですね。なのに、美しくもある。

上がLaszlo、中がAPOLLO。下が今回のEduard Meier。

どれも素敵なのですが、特にソール周りが美しい。化粧釘はAPOLLOだけですが、太めの幅で縁取られた東欧靴特有のソールの意匠が堪らない。

おお、こうしてみてみますと、マイヤーの全長が他より長いです。私の足に合うのだろうか。足入れてみました。

うーん、微妙です。足を入れた感じでは、US8.5C、くらいのサイズ感です。踵周りは程よくタイト、爪先側は足指が開きます。で、ほんの少し爪先に捨て寸。

これ、US8.5C~9.0Cの人でないと多分入らなさそうです。中敷きを入れるか否か。足指に余裕があるこの手のラストのサイズ感が良くわかりませんが、まあ、薄手のを1枚入れた方が良さげです。

お手製のを作ろう。フィット感も増しますし、何より、ソックシートのロゴを消したくない。ドンピシャマイサイズではありませんが、許容範囲のサイズでよかった。でかすぎてたら涙するところでした。

 

再度、全景。

 

うん。

いいね、凄くいい。

ほんの少しだけでかいけど、

マァイィヤ。

 

そんな感じ。

 

(おしまい)

2件のコメント

  1.   ばしさん

    お疲れさまです。ついに出ましたね、エドマイヤー。創立が1596というのも凄い。フォルムが独特で、ドイツの伝統なのでしょう。フィッティングはなんか細そうですけど、どうですか?

    ドイツは経済大国で、ジョンロブとかグリーンなどの最大の顧客だという話は聞いたことあります。でも、地元のミュンヘンでオーダーし続ける人がいるんですねえ。なんか、凄いなあと思います。
    ドイツ、ルーマニアときたら、つぎはチェコのbataとかでしょうか?
    東欧コンプリートぜひ、おねがいします(笑)。

    1. しんのすけさん
      お疲れ様です。フィットティング、細そうなんですが、前側は指が開くくらいのスタイルのようで、ややゆとりあるくらいです。
      どういうフィッティングでこれがベストなのかどうか、よくわからない笑。
      東欧コンプリート、カネカかりそうですね笑。BATA、随分前に一度買いかけました。面白いそうなメーカーですよね。
      ただ、レアでその後あまり見かけない。とりあえず次はルーディックライター行ってみようかと思ってますが、折からの円安。
      しばらくは国内漁ってみます笑。

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