こんにちは、ばしです。
令和元年を迎えました。
おめでとうございます。
心から、お祝い、お慶び申し上げます。
昭和から平成へ。
前回の改元時、私は大学生。
突然のことで、どう捉えて良いか分からぬまま迎え、過してしまったと記憶してます。
そして今回。
平成から令和へ。
事前に分かっていたこともあり、落ち着いて迎えることができたように思います。
改元前後の2日間は、大げさではなく「我が祖国・日本」の歴史の節目をこの目に焼きつけようと、テレビの前で過ごしました。
人生二度目の改元に立ち会い、日本人として生まれてきたことを心から嬉しく、誇らしく思うこの数日です。
そんな令和、最初のブログは、
歴史と伝統に裏付けられた英国靴でスタートしたいと思います。
日本製ではないですが、このペアならきっと、誰も異存はないでしょう。
紡がれ、引き継がれた、歴史の重みを感じさせてくれる。
新時代のスタートに相応しい、こいつ。
FOSTER&SON
1840年、ロンドン・ジャーミンストリートにて創業。
英国を代表する老舗ビスポークシューメーカー、フォスター&サン。
正規の販売店や輸入代理店がないため、日本での知名度はイマイチ。ですが、世界的には著名で、わざわざロンドンまで行って買い求める靴好きもいるそうです。
同社の既製靴はエドワードグリーンやクロケット&ジョーンズが手掛けていたようですが、最近は既製靴用の自社工場も出来たそうです。
インソックには長靴とキツネのロゴ。
PEAL&COと似てます。比べてみますとこんな感じ。
(ピールの記事はこちら)
地を這うような低い姿勢。
フォスター社のキツネの方がより速そうです。
FOSTER、あらため、FASTER & SON、なんちゃって。
もとい。
で、この2社のロゴが似ている理由は、「フォスター&サンの生きた伝説」と呼ばれる木型職人のテリー・ムーア氏が、1965年のピール社閉鎖に伴い、ピールから移籍してきたことと関係があるみたいです。
雑誌「BRUTUS」1989年11月号。同社のことが大きく取り上げられてます。
数多い英国靴の中でも、
<ポールセン・スコーン>
<エドワード・グリーン>
<フォスター&サン>この3ブランドに絞られる。
とのこと。
これらビスポーク御三家は見開きで紹介されてます。
フォスター&サンはこんな感じ。
左ページ上がテリー・ムーア氏。拡大写真です。
「職人の親玉」って(笑)。悪人みたいな紹介のされようです。
1989年当時で職人歴37年です。仮に、15歳でその道に入られたとすると、当時で52歳、現在82歳。さすがに今は常勤ではなく非常勤でしょうね。
そんなムーア氏に師事した松田笑子さんという日本人女性がおられるそうです。
英国で靴作りを学ばれたあと、2002年に入店され、今ではフォスター&サンの次世代を担う職人として活躍されているそうです。
学生だった1991年の冬、2カ月ほどイギリスにいました。
滞在先はイングランド南部のSTEYNINGという田舎町。週末には仲間と電車に2時間揺られてロンドンへ。
当時すでに英国本格靴に興味があり、ジャーミンストリートにも何度か足を運びましたが生憎いつも日曜日。フォスター社はおろか、通りのショップは全てシャッターが閉まってました。
残念なことに当時、日曜日は大型量販店以外は普通に店休日だったみたいです。
そんなフォスター&サンの靴。
定期的に巡回しているネットショップに新着でアップされたばかりのを偶然見つけ、速攻ゲットしました。
すみません、前置き長くなりました。
お待たせしました。
こんなやつです。
3穴、Vフロントのウイングチップ。
トップリフトは残念ながらオリジナルではなくラバーに交換されてますが、ヒドゥンチャネルのソールには「FOSTER」の刻印が。幸いにもオリジナルのままのようです。
最近は、自分用の靴は、1万円半ばまででと決めてます。今回もそんな感じ。
で、お安いのには理由があります。
トゥ左外側にはえぐれたキズ。アッパーには細い縦線のクラック。
まあ、使用には何ら問題ありません。
どうやら、お買い得なフォスター&サンのペア、といえそうです。
日本での知名度が低いことが良いように作用したのかもしれません。
早速手入れです。
いつも通り、左から。
ステインリムーバーで汚れ落とし
べったりではありませんでしたが、ワックスが塗られてました。クラックのあたりを念入りに。次いで、
デリケートクリームで保湿
コロニルで栄養補給
いつもならここまでですが、トゥと踵だけ茶色のビーズワックス。
Vフロントの羽根の縁~履き口にかけて、赤いパイピングになってます。一部色が剥げているので、ボルドーのクリームで補色です。
右も仕上げて、ビフォーアフター。
クラック部分はこんな感じに。
茶色のクリーム入れてもいいのですが、それほど目立たないし、このままで。
で、このペア。
くるぶし外側が極端に低いです。
かかと上部には釣り込みの跡、小さな穴が。
タン裏には手書きの数字。
サイズ表記がどこにもありません。
一方、靴の内部には等間隔に釘穴が。
ひょっとしてこいつ、ビスポークのお品でしょうか?
ロゴも最近のものとは明らかに異なります。
推測ですが、ざっくり、1970sから80s前半くらいでしょうか?
テリー・ムーア氏の手によるものかもしれないこのペア。
革は厚くもなく薄くもなく、適度に柔らかです。
足入れは、踵内側が滑るようで、スムーズかつ気持ち良い。
これがグラッセキッドライニング、てやつでしょうか。
で、ラッキーなことに、ほぼ、ジャストマイサイズ!
あらためて、全景。
平成の終りに、素敵なペアに出会うことができました。
一生離さないやつ。
令和の時代も、素敵なペアと沢山出会えると嬉しいな。
一生離さないやつ。