ばしです。
新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
2018年、初回はやはり「Made in Japan」でいきましょう!年代としては最近の靴なのでビンテージではありませんが、今はもう存在しないジャパニーズメーカーのペアです。
本屋の丸善の靴
本屋の丸善。本以外にもいろいろ扱っていたらしいですね。服飾部門があったらしい。そんな中で、丸善のオリジナル商品としてラインナップの一つにあったのが、三交製靴が手掛けるマナスルシューズ。近所のリサイクルショップで拾ってきました。
インソックに「MARUZEN」のロゴがドーンとあるミント状態のペア。でもって、500円玉3枚でおつり。それも、三交製靴さんの閉店から数年後、ついこないだのことです。
大阪で丸善、といっても、メジャーではないのです。たまたま、私の家の近所にはありますが、大阪で本屋といえば「紀伊国屋」です。「MARUZEN・丸善」と言われても、大概(たいがい)の大阪人はピーン、とはきません。ましてや、本屋が靴なんて、あずかり知らぬ話です。。
で、大阪のリサイクルショップでは、持ち込まれた店側も、店に来る客の方も、「何、この靴」、となり、売れずにいたんだと思います。「丸善」と漢字なら、本屋のイメージあったとしても、アルファベットで「MARUZEN」て、大阪人にはわけ分かりまへん。
似非(えせ)・関西人
私事(わたくしごと)ですが、20代半ば過ぎまでを大阪で過ごしました。
大変お世話になった当時の上司は、関東の言葉を話す人でした。なもんで、営業マンであった私は、そんな上司の影響もあって関東風の営業トークでした。あ、当時、営業マンでした。今もだけど。
で、話を戻しますが、当然そうなりますよね~(関東風~、のはなし)。
おかげで、地元の友人からも「えせ関西人」と揶揄される始末でした。出会ったころ、嫁も私のことを関東出身と思っていたらしい(笑)。
そんなえせ関西人が転勤で東京へ。10年ほど過ごしたおかげで、リサイクルショップで見かけた「MARUZEN」のロゴに、うん?待てよ、確か、書籍以外も扱ってたな、と。
でも、持ち帰った理由は、曖昧なMARUZENのロゴの記憶ではなく、あくまでも素人目にもそれとわかるそのクオリティでした。
靴の内側、観たことのないスムーズさ
アッパーもソールもミント状態でしたが、特筆すべきはオフホワイトの靴の内側。なんというきめ細かさと柔らかさ。スタイルは御世辞にもおしゃれとはいえないおっさん臭さ。なのに、手に取らずにはいられないクオリティ。
本屋の丸善が本以外も扱っている、そんな話は関係なしに、素晴らしい。恥ずかしながら、実は、携わった三交製靴さんの廃業どころか、三交製靴という名前すら聞いたことありませんでした。
なんでこんな安い? 中古とはいえ、高級靴でないとはいえ、1500円って、素人目にも明らかに値決め間違ってるし。
何や知らんがええ靴やん、と、とりあえず持ち帰り、いろいろと調べていくうちに、私は、あらためて「三交製靴」と「マナスルシューズ」を再発見するのでした。
三交製靴
東京・浅草の靴メーカー。
MARUZENブランドの靴を50年ほど製造。丸善の扱いが終了した後も、多くのファンの要望を受け、「MARUZENのマナスルシューズ」改め、「三交製靴のラギッドシューズ」を世に送り続けておられたとのこと。
もともとは登山靴メーカー。なので、作りはノルウィージャン製法。シャンボートやミカエルなど、パラブーツの得意な製法ですね。頑丈な登山靴の製法を傷みが激しいであろうビジネスマンの足元に、と取り入れたのが三交製靴さん。
廃業が発表されると、往年のファンの方々に最後にもう1足、2足と買い求められため、大忙しだったらしいです。そして2015年5月、多くの、本当に多くの方々に惜しまれながら、創業90年強の歴史に幕を下ろされたそうです。涙。
私には少し小さ目のミント状態のこのペア。長年に亘る、真の三交製靴さんのファンの、真にこれを求める方の下に送り届けたいな、と思っています。
手放すことに、自分以外の人の元へ送り届けることに積極的な意義を感じさせる靴、なんて、そうそうないですよね。
そんな靴にはぜひとも敬意を表したい、そんな気持ちになる靴です。
うん。なんか、清々しい。