こんにちは、ばしです。
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前置きが長くなってしまいました。
お時間おありでしたらお付き合いください。
お急ぎの方は写真のところまでスクロールください。
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で、ですね。
ビンテージ靴の楽しみ、って、色々あるんだと思います。
今は亡きブランドを手に入れること。
ぼろいのを手入れして蘇らせること。
履いてみて当時のクオリティの高さを実感すること。
ビン靴の世界に足を踏み入れた当初は、何十年も前のものなのに、今も普通に履けてしまうことそれ自体が驚きでした。
今でも、ビンテージ靴が趣味だと言うと、周囲の人から驚かれます。
「そんな昔の靴、集めてどうするんですか?」
「そんな昔の靴、普通に履けるんですか?!」
って。で、
ビン靴愛好家としては、そんな「昔の靴」が「どのくらい昔の靴」なのか。
そして、「どんな由来の靴」なのか。できれば詳しく知っておきたい。
まずは、シューメイカー。
今も続くブランドもありますが、米国製だと現存しないものも多い。
古い中古の靴ですから、中敷きのロゴが擦り切れていたりすることも多く、ぱっと見には得体のしれないペアも少なくない。
また、当時、百貨店や洋装店向けにOEM供給をしていたようなシューメイカーも多く、「実は〇〇製のペア」なんてものもそこかしこに見受けます。
今でも、ブルックスブラザーズの靴はオールデンやアレンエドモンズが手掛けてますが、中敷きのロゴを見るだけではそうとは分かりません。
「オールデン製のブルックスブラザーズのペア」
と言えば、「どちらもなんか聞いたことあるな」となるでしょう。しかし、
「ハノーバー製のシアーズのペア」
なんて言っても、ほとんどの人にはなんのことやらさっぱりです笑。
個々のペアにより様々ですが、内側の印字や構造上の特徴を手掛かりにしつつ、国内外の古靴ブロガーさんの記事や、ビンテージショップさんのWEBサイト等を辞書変わりに、どこの何者かを探っていくわけです。
次に、年代です。
いつ頃の時代のものなのか、できれば詳しく知りたい。
すべてのブランドではありませんが、フローシャイムなど特定のシューメイカーに限っては、年代判定の方法が確立しており、製造年月まで確定することが可能です。なので、私の場合、今も自分と同じ1969年6月製のフローシャイムを探す毎日です。
製造「月」まではわからなくとも、おおよその製造年くらいまでは推測できるシューメイカーもありますし、アレンエドモンズであれば昔のカタログがWEBで見れます。一番古いのは1957年にまで遡れます。これってかなり凄いことですよね。
(参考:アレンのカタログのサイト)
そんなビンテージ靴ですから、兎にも角にも手に入れたら、クオリティもさることながら、そいつが「どんなビンテージなのか」は大変気になるところです。どんなメーカーが手掛けた、いつの時代のものなのか。その出自を明らかにすることは、古靴好きな方の間では共通の楽しみかと思います。
今回もそんなペアです。
ローテーションの核でありながら、永らく何者か分からぬままだった黒いキャップトゥ。
ようやく、喉の奥に刺さっていた魚の小骨が取れた気分、です。
こいつ。
銀座ワシントン靴店のキャップトゥ
一昨年の6月に購入した古靴(過去記事「拾ってきたMADE in ??」)。
インソックには「WASHINGTON GINZA」の刻印。
で、内側の印字はインチ表示。
日本製なのか、そうでないのか、ならば何者なのか。
ローテーションの1足として履いてきましたが、ずーっと気になっていたやつです。
キャップトゥの切り返し部分は「へり返し」されていてキレイです。
ヒールカップも立体的でへたりもなし。
微妙に大きいので、革一枚で薄手の中敷きを自作しました。
長い付き合いになりそう、とのことで、ハーフラバーしました。
英国製のペアかと思っていましたが、「8」のサイズ感はUKでではなくUSのサイズ感です。
購入当時、ワシントン靴店さんにも問い合わせましたが、古い時代のペアの様で記録が残っていない、とのことでした。
こいつが何者なのか、ずっと探してきたのですが、手掛かりとなるのは恐らく内側の印字だけ。
この、「Size」の「i」が「i」と大きく傾斜しているのが最大の特徴かと。
で、主だったシューメイカーの写真を手当たり次第に当たってみるものの、同じような仕様のものは見当たらない。
その後、ネットでの古靴靴漁りの際には、内側の写真が掲載されているものについては、印字の仕様をチェックし続けること約2年。
先日、ようやく、おんなじ仕様のモノに巡り合えました。
Size 7のこいつ。その前の「L」で始まる印字のスタイルも似ています。
「Size」の「S」の書体が頭でっかちなのも、「e」が角がなくてコロンと丸っこいのも、恐らく、間違いなく、同じ書体です。
海外のサイト「ETSY」で売りに出されていたペア。
正体は、こんならしい。
COUNTRY CLASSIC
「カントリークラシック」なる、英国製のペアです。
インソックはイノシシ系の革のようです。
3穴のPTB。セラーさん曰く、1960-70sのペアとの触れ込みです。
レザーソール。ここにも「Made in England」。
こちら⇓はワシントンのソール。
なんていうのか正式名称を知りませんが、鋸の刃みたいな模様もほぼ同一のものと思われます。
カントリークラシック。
聞いたことないのですが、どんな由来のメイカーなのでしょう?
で色々調べてみましたが、詳しいことはわからない。
ですが、「COUNTRY CLASSICのペア」はいくつか見つけました。
まず、こいつ。
先ほどと同じ3穴PTB。
過去に「英国のマイナーブランド・カントリークラシック」のペアとして日本のサイトで売りに出されてたペアです。
こちらはデッドストック。内側の写真がなかったのですが、先程のPTBとソール・ヒールともに同じ仕様です。
ebayでも見つけました。
こちらはキャップトゥ。
ワシントンのキャップトゥよりややロングノーズっぽいです。時代がこちらの方が新しいのでしょうか。
ロゴもおんなじです。
こちらは箱付きらしいです。
あれれ?「Classics」と「s」がついてます。
「Bostonian」と「Bostonians」みたいなもんでしょうか?
(Bostonian「s」参考記事こちら)
ただ、印字のスタイルが異なります。で、こいつものライナーと中敷きもイノシシ系。
もう一足、過去にヤフオクに出ていたやつ。
少し履きこまれた3穴PTB。
ソールも同じ仕様。
あ、こいつの印字のスタイルが一番似てますね。
で、こいつの中敷き&ライナーもイノシシ系です。
どうやら私のワシントンのペア、英国の「COUNTRY CLASSIC」なるシューメイカーのものと考えて良さそうですね。
ただ、同メイカーに関するそれ以上の情報はなし。手詰まりです。
今回、国内外のサイトで見つけたペアですが、中敷きはのロゴも、ソール&ヒールの仕様もすべて共通です。で、中敷きとライナーはどうやら全てイノシシ系の革のようです。
それに対して、ワシントンのペア。
見ての通り、イノシシ系ではありません。で、こいつにだけ、ALDENみたいにソックシート下にスポンジが入ってます。
また、写真で見る限りではありますが、アッパーの質感も、ワシントンが一番よさげに思えます。なんというか、きめが細かい。
購入後2年ちょっと経ちましたが、軽くブラッシングしただけでこの輝きです。
手持ちのクロケット製ポールセンスコーンと並べた時の写真です。
色は違いますが、漂う雰囲気は似ています。
昔の英国靴でよく見かける丸っこいエッグトゥ。
トゥはこのくらい丸みを帯びたスタイルが私好みです。
この2足、ほぼ同じサイズ感。
茶色はUK7.5です。
黒のサイズ表記は8ですが、サイズ感はUKではなくUS8です。
なぜなんでしょうね。「Washington」のロゴのせいで、米国向けの輸出品と思われたのでしょうか。
まあ、履く分にはどちらでも構わないんですけどね。
ワックスなし。
クリームだけ。
写真の補正なし。
で、この黒さと輝き。
履き心地も抜群のマイフェイバリットです。
2000円で拾ってきたとは誰も思わないでしょう。
モノづくりの国、モノを大切にする国に生まれてよかった。
あ、製造は英国でした笑。
で、数えてみたら、今年は6回履きました。
靴の数が多いので、これでも他の靴よりは登板回数の多い、ローテーションの核です。
まあ、今後も月1回程度は履くであろうこいつ。
絶対手放さないペアです。
当初の見込み通り、長い付き合いになりそう。
メーカーは分かりました。
あとは年代ですね。
一体全体、いつ頃の年代のペアなのでしょうかね。
急ぐ理由もないし、気長に調べてみよう。
古靴で製造メーカーや兄弟靴を見つけた時の喜びは格別ですよね。考古学の醍醐味に繋がるんじゃないかと。いや、まさに靴の考古学ですね。
銀座ワシントン靴店から英国メーカーにたどり着く・・しかも地道な研究の製靴いや成果。
私は最近そういう情熱を忘れかけていました。ありがとうございます。
なおけんた様
コメントありがとうございます。
返信させて頂いたつもりが、すみません、
きちんとが反映できていなかったみたいで失礼しました。
なかなか時間かかりましたが、それらしきのに出会えてラッキーでした。
転売のつもりで買ってきた靴なので、そんな風に言っていただき、
若干心苦しいですが、非常に嬉しいです。
また同じようなアンノウンな靴に出会いたい今日この頃です笑。