アンノウン・ペニーローファー

こんにちは、ばしです。

 

ビン靴を漁る週末のリユースショップめぐり。

先週も、先々週も、その前も。

もはや完全に週末のルーティンです。

セカストとトレファクが主戦場ですが、古着屋KINJIなる店が最近はお気に入りです。

たまたま、全品半額セールをやっていたのに出くわし、娘のUKマーチンと私のローファーの2足、お安く拾ってきました。

こいつ。

 

アンノウン・ペニーローファー

 

 

薄汚れたアッパー。ダメージはなさそうですが汚い笑。

ソックシートにあるのはショップ名だけで、どこのシューメイカーによるものか、手掛かりはなさそうです。

内側の印字は「80」、その下に「D」。サイズ8Dということなんでしょうね。

足を入れたらまさにそんな感じのハンドソーンモカシン。

ソックシートの長さが左右で異なりますがなぜでしょう?

中央の縫い目を見せたいがために、あえて右だけ短くしてるとか?

いや、それなら左も短くすればいい話です。

昔の人の考えることはよう分かりまへん。

 

靴底はこんな感じ。

 

レザーソール。で、ローファーには珍しいと思われるVクリート。

おお!古そうです!

グッジョブ俺!拾ってきただけだけど!

 

で、モノはといえば、革も適度に分厚く、それでいて柔らかい。

薄汚れてますが、なかなかの革質ではないかと思われます。

で、そんなのが、2900円のところ半値の1450円。

値引き前でも十分お安いです。

迷わずゲットしてきました笑。

 

まずは、早速手入れです。

いつも通り、まずは左から。

 

 

ステインリムーバーで汚れ落とし

凄い汚れてます。結構綺麗になりましたがまだ汚い。

強烈クリーナー追加投入です。

 

レクソルでさらに汚れ撃退

ハブラシでガシガシやって、だいぶ綺麗になりました。

お次は保湿。

 

リッチデリケートクリーム

切らしてましたが、先日AMAZONで購入。

アボカドオイル配合。最近はこればっかり使ってます。

 

コロニル1909で仕上げ

鮮やかな赤茶が蘇りました。

にしても、右、汚い。薄汚れてます。

こちらも同様にメンテです。

で、最後に、コバには黒のクリーム、底にはソールトニックとブートブラックのニュートラル塗り込みます。

ビフォーアフター。

 

 

蘇りました。死んでたわけではないけれど。

アッパーはモカ縫いの内側にステッチが。

ラインド(裏地つき)だからなのでしょうか?

手持ちのアンラインドのスリッポンにはこんなステッチありません。

まあ、あんまり見かけない意匠です。

 

踵には釣り込みの跡が2個。

履き口は足入れしやすそうで、かつ、頑丈そうな作りです。

 

で、あらためてこいつの出自です。

 

Arnold’s Boot Shops

インソックに金箔のロゴ。

綺麗に残ってます。履きこまれてはいないのかも。で、

MADE EXPRESSLY FOR
Arnold’s Boot Shops
New Haven

とあります。

どこかのシューメイカーのアーノルドブーツというショップ向けのようです。

このArnold’s Boot Shopsというのを調べてみました。

最初に見つけたのがこれ。

ドイツ語のサイトです(こちら)。

で、「NEW-Vintage NETTLETON for Arnold’s」とあります。

わお、ネトルトンです。

私、まだ持ってません。

 

1879年アメリカのシラキュースという街で創業したネトルトン。

「ローファー」という言葉を生み出したのもネトルトンです。

で、調べてみましたら「シラキュース」というのはニューヨーク州の町で、

インソックにある「NEW HAVENニューヘブン」は、お隣のコネチカット州。

おお、広大なアメリカ大陸ですから、隣町と言っても良いくらいの近さでしょうか。

 

ということは、私のもネトルトン?

もしそうなら、目出度くマイファースト・ネトルトンです!

 

・・・と、一瞬、胸がときめきましたが、どうやら違った模様。

 

SERVING YALE MEN SINCE 1938

古い広告です。

Arnold’s Boot Shopsで見つけた2つ目の手掛かり。

こちらからお借りしてきました。

 

「YALE MEN」のYALEは、イエール大学のイエールです。

イエール大学はニューヘブンにあるようです。

 

「SINCE 1938」とありますから1938年創業のアーノルドブーツショップ。

下段には、

「For 26 years Arnold’s has been・・・」とありますので、この広告は1964年のものと思われます。

バス、フレンチシュライナー、クラークス、そして最後にジョンストンアンドマーフィーの名前が。こうしたメーカーにOEMを依頼していたようです。

実は、インスタを見たアメリカの方から、「ヒールの釘の仕様から言って、恐らくあんたのローファーはジョンマー製」とのコメントを頂いてました。

広告でも確認できましたし、これでほぼ確実にジョンマー、ということで決まりでしょう。

 

あれ、ネトルトンの名がないな。

なぜでしょう?

先に紹介したネトルトン製とされているペアは「Circa1975」とありますので、この広告の時代にはまだ供給されてなかったんでしょうかね。

まあ、今更どっちでもいいや。

 

で、広告の2足あるうちの上の方のイラストが、恐らく今回のペアかと思われます。

曰く、

黒・茶・マホガニー、レザーソールとラバソール、のラインナップで14.95ドルから。

今回の赤茶のペアは、マホガニー、ということでいいんでしょうかね。

14.95ドル。

tomojin329さんのブログ「vintage shoes archives」の記事をによりますと、同じ1964年時点でのフローシャイムインペリアルの価格は34.95ドルだそうです。

こいつが安いのか、インペリアルが高いのか。

たぶん両方なんでしょう。

 

1960’s半ばから後半のJ&M。私より早く生まれたやつです。

転がすつもりで拾ってきましたが、思ったよりも古いし、Vcleatのローファーって、なんか希少そうですし、こいつは手元に置いておきましょう。

色目もこれからの季節に活躍しそうです。

 

ということで、以外にあっさりと正体の判明したアンノウンなのでありました。

おしまい。

5件のコメント

  1. ばしさん
    おお、今回も面白いペアですね。アーノルドブーツショップとは、はじめて
    知りました…。
    ローファーは私も大好きなので、興味があります。このペア、おっしゃる通り、
    カタログにハンドソーンと書かれているものだと思います。
    草創期のローファーは、袋縫い製法といって、ソールからアッパーが1枚革
    になるように作られていて、ネイティブアメリカンなどに伝わる伝統的な
    製法のようです。REGAL ARCHIVEに行ったとき、1962年の最初に日本製靴が
    作ったサンプルも、袋縫いだったと聞きました。↓今でもREGALさんで展開
    しているようですね……。(今回のものと同じかは画像がないので不明(笑))
    https://www.shoeandco.jp/blog/genuine_moccasin_loafar_1/

    靴自体は、大変貴重なペアだと思います。

    そこで、問題なのが、このペアがJ&Mかどうか……。インスタのアメリカ人の
    方が、どういう根拠でJ&Mかおっしゃっているのか、わかりませんが…、
    (ばしさんとは、お友達になって久しいですし、敬意をはらって)、当時の
    ナショナルブランドといわれる、J&Mやネトルトンが、ネームも入れずに、
    小売店にすぎないArnold’s Boot Shopsさんのために、作るかな…? しかも
    ハンドメイドで…というのが、私の感想です……。

    推測ですが、カタログの一番下にある、「Arnold’s original」が一番妥当な
    推理かなと個人的には思っています。

    ちなみに、classic shoes for men には、ネトルトン製であることの根拠は
    内容に思います。以下が、文章をグーグルさんに訳してもらったものです。
    https://translate.google.co.jp/translate?hl=ja&sl=de&u=https://classicshoesformen.com/the-collection/new-vintage-nettleton-for-arnolds-plain-front-derby-circa-1975-43-435d/&prev=search

    長々とすみません。J&M製がやや怪しいということで、この靴のすごさには、
    まったく関係ありません。

    私見ですので、この周辺のみなさんのご意見聞きたいですね…。
    ではでは、引き続きよろしくお願いします。

    1. しんのすけさん
      確かに、言われてみればネトルトンかどうか根拠はないですね。
      で、J&M製かどうかも、確かになんとも分かりませんね。
      オリジナルの可能性、言われてみればそうかもですね。
      あっさりと判明してしまってつまらんなー、と思っていたところなので、
      しんのすけさんのご指摘は割と嬉しかったりします笑
      いつもありがとうございます!

  2. ばしさん

    でも、これ面白いですよね。
    ただ、「もしや?」と思うのは、イェール大が、ブッシュ大統領
    とかを出している超名門なので、なんらかのコネで、J&Mのツテがある(笑)。
    「MADE EXPRESSLY FOR Arnold’s Boot Shops」とあるので、別注か?
    などなど、オリジナルじゃない要素もあります。

    でも、いい大人が1時間くらい昼休みで楽しめて最高ですね。
    どなたか、コメント欲しいですねーー。

  3. おはようございます!
    ※記事に直接関係のないコメントで申し訳ありません。

    昨日ブログを移行したため、お手数ですがばしさんのブログに貼って頂いている、私のブログTanaoroshiのリンク更新をお願いできないでしょうか?お手隙の際で構いません。

    新サイトは以下になります。まだまだ初心者感満載ですが引き続きよろしくお願いします。

    シフクノ -服と靴と生活と-
    https://shifukuno-life.com/

    1. こんにちは!
      先程インスタのお知らせ拝見したところでした。
      リンク更新の件、承知しました。
      引き続きよろしくお願いします。

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