こんにちは、ばしです。
早いもので、一年も押し迫ってきましたね。
今日で仕事納め、明日から休暇です。ブログも今日が年内最後となります。
振り返ってみますと、
今年最初の投稿はMade in Japan。三交製靴さんのマナスルシューズでした。
で、やはり、
今年最後の投稿もMade in Japan。クリスマス前の三連休、実家近くのリサイクルショップで拾ってきたジャパン・ビンテージでビシっと締めたく思います。
こいつ。
中井特製
・SIZE表記なし(US7ハーフEくらい)
・黒のプレーントゥ
・間違いなくMade in Japan
一見して相当に古そうなこいつ。インソックにもソールにも何の表記もありません。
唯一の文字がこの布タグ、「中井特製」。で、その下に「堺マーケット電3509」。
堺マーケット? 「電」て電話でしょうか? 思わず笑ってしまいました。
で、「特製」っていうくらいですから、誂え(あつらえ)靴なのでしょうね。
「中井特製」って、一体なんなのでしょう?
持ち帰って早速「靴」「中井」で検索してみましたところ、出ました。
「靴の中井」という職人さんのホームページがいきなりヒット!
この方の手によるものなのでしょうか?
こんな経歴の職人さんだそうです。
・昭和10年生まれ
・中学入学と同時に靴職人に弟子入り
・15歳にして独立、永らくオーダーメイドを手掛ける
・その後、ハンディキャッパー(足)向けの靴を手掛ける、その道の第一人者
・平成10年 卓越した技能者(現代の名工)表彰
・平成12年 黄綬褒章授与
おおっ、素晴らしいです。なんかこないだの記事、天才靴職人サルバトーレ・フェラガモさんみたいな経歴です。この靴、そんなすごい方の手によるものか!と思ったものの、本拠地はずーっと神戸でらっしゃるとのこと。
結構簡単に謎が解けた、と思いきや、大阪ではない。
違うのか?
ただ、お弟子さんが全国におられるようで、そのうちの一人がなんと!大阪・堺市で開業されている模様。が、「中井さん」ではなく「山本さん」のようですし、可能性はあるものの確証はありません。
さてさて、 この靴は、神戸市の靴のマイスター・中井松幸氏の手によるものか? 弟子の山本さんなのか? 全く別の中井さんによるものか? はたまた実は注文主が中井さん、なのか? 謎は深まるばかりです。
で、「特製」のこいつ。何が特製なのか?
ディテールが超絶に特製です。
特製その1:外付けVクリートW仕様
米国ビン靴でたまに見かけるようなヒールトップです。等間隔に打たれた釘と、Vクリート2個。しかも外付け。米国製でもこんなの滅多にないのに、日本製でこんなのあるんですね。間違いなく注文主の好み、でしょうね。
特製その2:土踏まずの強烈なシェイプ
これでもか!というほどに絞り込まれた土踏まずのクビレ。ベリーベリーグラマラスですが、履いてみると心地よくフィットします。丸っこいトゥのフォルムということもあり、最近8Dサイズの私でも薄手のくつ下で心地よく履けてしまいます。
特製その3:グッドイヤー&ヒドゥンチャネル
最初に見たときは、製法はマッケイかセメント?と思ったのですが、グッドイヤーのよう。ソール内側の一部が剥がれ、欠落してますが、そこから見えるのはおそらく縫い目です。
ソールの側面も地面に対して垂直でなく、斜めにカットされてます。えげつない技です。
特製その4:小判ハトメ
初めて見ました。通常は正円のハトメ。このように楕円形のものを「小判ハトメ」というそう。なぜこいつがチョイスされたのか?デザイン的なものか、実用性からなのか、全く分かりません。
正面からみると、何かの爬虫類か、アニメの「リロアンドスティッチ」に出てくる宇宙人の顔みたい、非常に個性的です。平紐なのも私好みです。
で、最後。
特製その5:二連&四連ステッチ
履き口などは二連。下糸は白。縫い損じたらそうと分かる白をなぜ??腕に自信の表れ、なのでしょうか。で、羽根の付け根部分やヒールカップの切り替えし部分は、な、な、なんと、四連です!
かつ、非常に細かく、美しい。そこまでやるか。そこまで、できるのか。まさに、職人の技です。
先日旅立ったMade in OSAKA、「小林商店」の靴もこんな感じでした。どちらも、ヒールカップが立体的かつ美しく素晴らしい。当時の職人さんのこだわりだったのでしょうね。
全景。素敵です。プレーントゥなのに個性的、かつ、職人の技の光る素晴らしいペアです。
出自不明の中井特製なこいつ。税別ワンコイン500、でした。
はは。笑っちゃいます。こんなのがあるからリサイクルショップ巡りはやめられません。アンノウンブランド扱い、万歳!
で、おそらくこのペア。遺品整理か何かで出てきたものではないでしょうか。
ざっくり、1960-70年代の品かと。誂えたのが30-40歳のころと仮定すると、注文した方は1920年~1940年頃の生まれ、ということになります。
Vクリート2個付と小判ハトメをオーダーした、大正から昭和戦前生まれのオシャレな爺さんのペア。
引き継いじゃったし。
よっしゃ、じいさん、任せとき。
時間かかってもいいから、どんな奴か、じっくり調べてみましょう。
一生手放さないやつ、が、また一足増えてしまった笑。
・・・てなことで、今年2018年の更新はこれにて終了。
1年間お付き合い頂き、誠に、誠にありがとうございました。
これからも引き続きよろしくお付き合いのほどお願いいたします。
来年から更新曜日を「月・金」から「火・金」に変更させて頂きます。
カキーン!です笑。
新年第一弾は、今年同様にめでたく、元旦(火)スタートです。
それでは皆さん、どうぞ、素敵な新年をお迎えください。
ごきげんようー!
ばしさん
おはようございます
今年もブログ更新お疲れ様でした
一年を締めくくる方がナント素晴らしい靴…
えげつないシェイプで美しい
私は先日50sウェインバーグを入手しまして
それがまた素晴らしくソール2重縫いのアッパーは全て3重ステッチとゆう拘りでした
古いウェインバーグ機会があれば探してみてください
では
カレラさん
おはようございます。
ありがとうございます。
ウェインバーグ、いいですねえ。
私も欲しくてずっと探してるのですが、まだ縁がなく1足も持ってません。
来年中こそはゲットできるよう頑張ろうと思います。
それでは、良いお年を~
素晴らしいですね。
これ、今風に言えばハンドソーンウエルテッドですね。当時はまだ普通だったんでしょうけど。
私は実はこのような日本製ビンテージを集めたいと思っているんです。
でも、なかなか出会えない。マイサイズが27cm前後なので、ほとんどないです。昔の日本人は足が大きくないんですよね。
それにしても、そちらのリサイクルストアは最強ですね。
ありがとうございます。こいつは実家近くのセカストで拾ってきました。
高齢化が進んだ、昔「ニュータウン」と呼ばれていた街の近くの店ほど、
この手の昭和なペアとの遭遇確率が高いように思います。で、おっしゃるとおり、
今回のペアも、ちょっと前のオリエンタルシューズも、小さ目サイズです。
私はマイサイズが26なので、ビン靴は日本製は小さい、米国製は大きい、てなのばかりで、
なかなかジャストサイズに出会えなにのが悩みです。