こんにちは、ばしです。
昨日からスタートした「~ススメ」の第2弾です。
【序章】 ビンテージ靴の世界へようこそ
【二章】 ビンテージ靴の魅力について ★今回ここ!
【三章】 ビンテージ靴のメンテナンス方法
【四章】 ビンテージ靴を沢山見てみよう
【終章】 ビンテージ靴を手に入れよう
まだの方はぜひ序章からお読みください。
今回も文字多めです。
長文で疲れるかもしれませんが、すみません、よろしくお付き合いください。
【二章】 ビンテージ靴の魅力について
写真は昨年11月に靴棚を整理した際のものです。
実際にはこの2倍ほどの靴が家中に散乱してます。
馬鹿みたいですが、先日遂に100足を越えました。
とはいえ、私がこの趣味に嵌まってまだ5年ほどです。
で、皆さんが想像するほどお金もかけてません。
なのになぜこんな状態になったのか?
ビンテージ靴の何がいいのか?
人によって感じる魅力は様々でしょうが、私なりに、以下4点にまとめてみました。
(1)そもそものクオリティが素晴らしい!
(2)メンテナンスが楽しい!
(3)地球にやさしい!
(4)安く買える!売れる!儲かる!
それでは早速いってみましょう!
(1)そもそものクオリティが素晴らしい!
(1960年代のU.S.NAVYサービスシューズのグラマラスなヒールカップ)
前回も触れました通り、流通しているビンテージ靴が産まれた年代は1960~80年代が多いです。製造の海外移転が進む前、比較的景気が良かった時代に職人が腕と品質を競い合っていた時代の高級既製靴。
それらが、いわゆる「ビンテージ靴」です。
古いもの=いいもの、とは限りませんが、好景気の時代に、手間暇を惜しむことなく、熟練の職人が腕をふるった本格靴。ケミカル素材もまだなかった時代で、材料もそのほとんどが天然の素材中心です。
そのクオリティが一定以上なのは想像に難くない。機械化が進み昔ながらの職人も減り、材料の製法もどんどん近代化していきますので、当時と同等のものは今の時代には安易には作れない、そんな時代のペア。
そもそも、今の日本におけるビンテージ靴のブームは、古着やビンテージ好きな人たちがその発端ではないようです。
今の時代の10万も15万もする本格高級靴好きな人たちが、1960年頃のデッドストックのクオリティを見初めたことから始まっているようです。
現代の高級靴と同じクオリティのものが、今の高級靴よりも格段にお安く手に入る。だけでなく、今では手に入らない、ビンテージでしか味わえないクオリティやシューメイカーの靴の数々。
現代の職人の技による高級靴を見なれた人たちの目に留まるわけですから、その品質の高さは間違いないです。
古いからいい、古ければいい、といいうわけではありません。
新しいか古いか、ではなく、品質において優れているのかそうでないのか。
古い靴でも高級なモノから廉価なモノまでがあるわけですから、そこの見極めは必要です。ですが、そこさえ外さなければ、今、普通に店頭で並んでいる新品の値の張る靴と同等かそれ以上のクオリティを手軽に存分に楽しめます。
(2)メンテナンスが楽しい!
新品とは異なり、ビンテージ靴は、程度も状態も様々です。
数度履き程度のコンディションのものあれば、履きこまれてダメージの手前のもの。きちんと手入れの行き届いたものもあれば、長年放置されてカビ臭くなっているもの。
色んな状態のものがあります。
なので、買ったらまず最初にメンテナンスが必要です。
ビンテージ靴は、長らく靴棚の奥で箪笥の肥やしになっていたようなものも多く、手入れが行き届いていないものも多いです。また、やたらめったらワックスが塗り込まれてしまっていて、革本来の持ち味が殺されてしまっているようなものも少なくありません。
そんなビンテージ靴ですが、総じてもともとのクオリティが高いものが多いため、きちんと手入れすることで本来の輝きを取り戻し、見違えるものが多いです。
そして、メンテナンス前と後の改善の幅が大きいので、自分が優秀なメンテナンス職人になったような気分も味わえます。
「メンテナンス作業そのものが楽しい」
それがビンテージ靴です。
手間と技術が惜しみなく注がれた本格靴ですから、作りはしっかりしており、そもそものポテンシャルの高さは言うまでもありません。一見薄汚れて見えたとしても、正しい手順できちんと手入れしてやることで、本来のポテンシャルの高さゆえ、見違えるほど蘇るのです。
靴棚や倉庫の奥で永らく眠っていた凄いやつを自分の手で目覚めさせる。
その作業そのものが、古靴のメンテの醍醐味であり、ビンテージ靴の楽しみの一つでもあるわけです。
なんか、凄そうでしょ?
どの程度凄いかは、ぜひご自分で確かめてみてください笑。
~寄り道~英国靴のケース
古い時代の方が品質が総じて高い、というのは、米国靴に限ったことではないようです。
例えば英国製本格靴の一角であるチャーチ。1873年創業の英国を代表するシューメイカーですが、1999年にプラダグループの傘下となっています。今も紛うことのない本格高級靴であるチャーチにあっても、プラダ傘下となる前の時代のものを「旧チャーチ」と呼び、現行のモノとは明確に線を引いて扱われていたりもします。
特に、チャーチ独自のガラスレザーである「バインダーカーフ」は、現行の「ポリッシュドバインダー」と旧時代の「ブックバインダー」とでは、名称だけでなく製法そのものが変更されていたりします。
<ブックバインダーカーフを使った、「旧チャーチ」のペア(過去記事)>
米国・英国問わず、職人が技を競い合っていた時代の、経営効率が重視される以前のペアには、単なる中古と呼ぶことが憚れるような、今は亡きクオリティが確かにあるのだと思います。
(3)地球にやさしい!
リサイクルショップのお安い靴コーナー。安い靴が、状態の良くない靴が、雑多に並んでます。しかし、最低限の手入れがされてないだけのモノも少なくはありません。
まだまだ履ける、持ち主が手入れを怠っていた靴が数千円やときには数百円笑。
これは、よろしくない。笑いごとではありません。儲かる儲からない以前に、まだまだ活躍の余地があるモノには活躍してもらいましょう。
たとえば、
(上:薄汚れたHIROSHI TSUBOUCHI、下:乾いてた古いREGAL)
ダメージ皆無で薄汚れただけのスニーカー。綺麗にしましょう。
カラカラに乾いた本格靴。保湿しよう。
タンスの奥でカビの生えてしまった革靴。丸洗いすればいい。
そうすりゃ履ける。だけでなく、マニアが欲しがるお宝が、マニアが欲しがるハイクオリティなやつが転がってたりするわけです。
まあ、これはビンテージに限ったことではないのですが、ビン靴を漁っていたらいろんな靴に出くわします。
最近の中古の薄汚れたペア。出会ったのも何かの縁、綺麗にしてあげましょう。
一流の職人の手による一流のビンテージ靴。本来のあるべき姿に戻しましょう。エコであるだけでなく、時にそれは貴重な史料を後世につなぐことにもなります。
そもそも、米国・英国製の本格靴は「グッドイヤーウエルト製法」の靴が大半です。ソールが減ったり傷んだりしたら、交換すること可能であり、結果、長く履くことが可能です。1万円前後のゴム底の靴は、底がへったり穴が開いたら「ぽい」、履き捨てるしかないですが、本格的なつくりの高級靴は、リペアしながら長く履くことができます。
英国・米国製の靴が日本で人気なのは、このように修理しながら長く履けることが、日本人のメンタリティと親和性が高いから、のように思えます。
そして、そんな日本でリサイクルショップがこれだけ盛況なのは、まさに、モッタイナイ精神ゆえのことも大きい。
本格ビンテージなペアが、近所のリサイクルショップであなたのことを待ち侘びている、かもしれません。
(4)安く買える!売れる!儲かる!
いいものが安く買える。相場で買って相場で売れる転売市場がある。美味く転がせば、靴代がかからないだけでなく、小遣い稼ぎもできる。
いいものを安く買えれば嬉しい。そんなのを、自分自身で目利きして手に入れられたら、とっても楽しく充実感を味わえます。単に安い、コストメリットがある、以上の楽しみ、魅力があります。
また、目利きする上においては、想像以上に多くのシューメイカーが存在しますので、個々のメイカーについて見聞きしたりするだけでもなかなかに興味深く楽しいです。
いろんなシューメイカーの存在を知る。目利きできるようになり、そこかしこで二束三文で売られている単なる中古靴の中から、お宝を見出し、馬鹿みたくお安くゲットする。それを自分で履く。マイサイズでないのは転がす。いずれの場合も、まさにトレジャーハンティングです。
で、大切なことがこれです。
転売市場があるので、買って・売ってを繰り返し長く楽しめる。
お金を湯水のごとく注げればいいのですが、多くの人はそうではないし、若い人ほど靴にかけられる予算にも限度があります。どれほどビンテージ靴のクオリティが素晴らしいと思っても、無限に費用投下出来るわけではありません。
骨董品に嵌まって借金までした。なんて話は大昔のものとしても、折角の趣味だけどお金が続かないからやめた、なんてことはよくある話です。
ですが、当初一定の予算を確保すれば、それをくるくると回すことで、色んな靴を手に入れ、メンテして、履いて、と言ったことを楽しめるわけです。
(1)そもそものクオリティが素晴らしい!
(2)メンテナンスが楽しい!
(3)地球にやさしい!
これらの魅力を長く、反復継続的に味わえるのが、
(4)安く買える!売れる!儲かる!
のお陰だったりするわけです。
最初の一歩が踏み出しづらいのは、どんな趣味でも同じです。
踏み出したあと継続できなくなる理由の一つが費用面の負担であったりします。
趣味に嵌まり、目利き出来るようになればなるほど、費用面の負担が減っていく。そして、結果的に長く続けやすくなることで、さらに審美眼に磨きがかかり、さらにそれが新たな利益を生み出していく。
好循環なスパイラルが、あなたを待っている、かもしれません。
むすび
美味い話ばかりいって、実際のところってどうなのよ?
と思われる方も多いと思いますので、古靴を楽しんでいる私のケースを最後にご紹介しておきます。
【2019年1月~12月の活動状況】
◎買った数・・・97足 484,693円 1足あたり@4,997円
◎売った数・・・62足 450,172円 1足あたり@7,261円
いかがでしょう?
そんなに沢山買って、バカだと思われるかもしれません。
ですが、あまり費用かけずに楽しんでます。
◎1年で35足増(ひと月あたり約3足)
◎年間収支は34,521円のマイナス(ひと月あたり@2,877円)
いかがでしょう?
売って、手入れして、履いて、売って。
ひと月約3000円のお小遣いで、ひと月に3足増。
まあ、お金かけずに楽しんでいるといっても嘘にはならないかと(笑)。
・・・ということで、第二章はここまで。
今回も長文になってしまいました。
お付き合いいただきありがとうございます。
どこで買えばいいの?どんなブランドがあるの?どんな靴がおススメなの?
と、気になり始めたころかもしれませんが、その前にまずは転ばぬ先の杖。
明日は、
です。
まあまあ面白そうだな、と思って頂いた方、明日またお目にかかりましょう!
<参考>
毎月の「売って買って」の中身と収支は、月に一度、拙ブログ記事で紹介してます。
儲かった話も、そうでないものも、赤裸々に真実のみ書いてます。
PCなら画面右に、スマホならこの下の方にある「カテゴリー」から「ゆく靴くる靴」を選んで頂くと、毎月の記事一覧が出てきますのでご一瞥ください。
ちなみに、先程の昨年1年間の収支は「ゆく靴くる靴(2019年12月&2019年の総括)」でもご紹介してますので、詳しくはそちらをご一読ください。
おしまい。