こんにちは、ばしです。
衣替えのシーズンです。
息子の部屋から、着なくなった大量の服が出てきました。よくもまあ、ため込んだな。リユースショップに持ち込んでも買ってくれそうにないものばかりです。
で早速、「1キロ○円」と、測り買いしてくれるリサイクルショップに持ち込みました。市のごみ出し用の袋にパンパンに詰め込んで、2袋分。
合計286円笑。
売れるものは店で販売するそうですが、大半はアジアを中心とした海外に輸出され、衣類として異国で第二の人生を歩むらしいです。
衣類に衣類としての役目を最後まで全うさせる、というのがこちらの会社のコンセプトだそう。で、衣類としては役に立たないものは、雑巾ほか、工業用品の材料として活用されるとのこと。
日本人のMOTTAINAI精神に溢れる素敵な取り組みです。素晴らしい。
なんか、いいことした気分です。
ですが、そんな店で売られている古着古靴には、全く触手が動きません。
純然たる衣服のリサイクルです。
安いです。が、オシャレを求められても困ります。
これまでも「念のために」と何度か足を運んだことはありますが、服も靴も、目ぼしいものに出会ったことはありません。皆無です。
今回もどうせそうだろ、と思っていたら・・・。
おもろいの、いました。拾ってきました。
前回記事の最後にちらりと登場した、こいつ。
高橋
・SIZE表記なし(US7CかDくらい)
・黒の内羽根プレーントゥ
・間違いなくMade in Japan
いやはや、こんなのあるんですね。
昨年末に拾ってきた「中井特製」に続く、年代不詳のジャパニーズハンドソーンウエルティッドです。
中井特製は500円(税別)でした。今回は750円(税別)笑。
私には小さくて履けませんが、転売はしません。資料として面白そうなので、この手の靴を見かけたらコツコツと拾ってみようと思います。
ということで、ディテールを見てみましょう。
アッパー
内羽根のプレーントゥです。傷はほとんどありません。
切り替えし部分の縫い目は、真ん中に太目の糸があり、その上下にダブルステッチの計5連です。ここまでやる必要あるのでしょうか?
アイレットは5つ。ヒールカップは立体的でグラマラス。ヒール部分には40年代のUSNサービスシューズみたいなT字のあて革。真ん中に釣り込まれた穴があります。
で、何よりも硬い。全体的に。このまま履いたらマイサイズの人が履いても靴擦れしそうな硬さです。後で保湿してみましょう。
ソール&ヒール
カラス仕上げ。製法はよくわかりませんが、中井特製の時と作りも雰囲気も似てますし、恐らくヒデゥンチャネルでしょう。と思ったら、やはりそのようです。
ソールのフチをつまんだら、中に縫い目のようなものが見えます。
中井特製と似た雰囲気です。比べてみました。
土踏まずの強烈なクビレもぱっと見、同じように見えます。アウトソールの寸法形状的には同じようなサイズ感ですが、足を入れてみるとタイトさ加減が全く異なります。
ぱっと見、雰囲気も似てるかな。手にしたときは同じ職人の手によるものかも、と思いましたが、よくよく見れば違うように思われます。
ヒールトップは3連の釘打ち+飾り釘+Vクリート3個。そこまでやるか?何を目指してのものでしょう?まあ、気持ちはわからなくもないような笑。
靴の内側
何より目を引く紫のタグ。柿色の刺繍で「高橋」。高橋さんがオーダーした靴、なんでしょうね、きっと笑。で、硬化ビニール?プラスチック?みたいな硬い水色の中敷き。これは一体、どのような目的のものなのでしょう?
で、それをめくると、インソックに刻印が。
「SANYO LEATHER CO. HIMEJI JAPAN 山陽」
とあります。
ググってみたところ、兵庫県姫路市にある「株式会社山陽」なる会社のもののようです。
株式会社 山陽は、創業100年を超える総合タンナーです。
古来から、姫路はミョウバン質の豊かな市川など、
地形的な優位性から白革の産地として有名でしたが
約100年前、姫路に収容されていた日露戦争の
ロシア人捕虜に近代鞣方法の技術者がいたことから、
姫路官財界が「姫路製革所」を開設、
1911(明治44)年に山陽皮革株式会社に改組され、
株式会社 山陽に社名変更されて現在に至ります。
一般社団法人日本タンナーズ協会という協会が運営している「日本革市」というサイトに、日本のタンナー及び皮革に関する情報が満載です。
それによりますと、まったくもって不勉強だったのですが、日本におけるタンナーの歴史は古く、「兵庫(姫路・たつの)」「東京」「和歌山」の3県が、国内皮革の三大産地と呼ばれているそうです(参考記事)。
で、三大産地の中で生産量日本一なのが兵庫県。
そんな兵庫県姫路市に本社を置く100年企業の株式会社山陽。県外唯一の営業拠点は東京・浅草。紳士靴用の製革において日本でトップシェアを誇るタンナーだそうです。
ということで、早速手入れをしてみたところ、新たな謎、というか、技の跡、を発見してしまいました。
詳細は次回。
続く~。