こんにちは、ばしです。
今回は4月の1足目のペアです。
このところリアルなお店を巡らない代わり、WEBでのパトロールを頑張ってます。3月は3足とも海外からの購入でした。今回はなんとなく久々なような気がするメルカリで。安く出品されてるのをみかけてソッコーでゲット。先週末にメンテしました。
こいつ。
Allen Edmonds Leeds 9641
次のアレンは黒のコードバンのLeedsがいいな、などと思っておりましたが、コードバンではなくシボ革です。Leedsといえば黒か茶のスムーズレザーのものしか見たことありませんでした。ていうか、アレンのペアでシボ革って、そもそもあまり見かけません。
で、シボ革なら茶が好みです。シボの皺の隙間にクリームやワックスなどが入り込んで、良い感じにエイジングします。使用するクリームの色目によっても趣は変わります。黒だと何を塗っても黒、なかなか茶のようにはならない。ま、今回のペアのこの状態をエイジングと呼ぶかどうかは別にして、味が出ていることだけは確かです。
今回の茶シボのLeeds。サイズは8.5D。アレンは8Dか7.5Eがジャストです。8.5Dは1足持ってます(関連記事「Allen Edmonds Cheter」)。薄手の中敷き1枚でジャストですから、こいつもOKなはず。
品番は「9641」。「黒良い(くろよい)」と読めますが、茶色です。あ、見りゃ分かりますね。「3439」は下一桁が西暦の下一桁目を表します。
ロゴが縦文字=1990年代~2000年代ですので、下一桁9だと1999年製か2009年製ということに。WEBで公開されているアレンのカタログを参照して調べてみましたところ、どうやらこのペアは1999年製のようです。二十二年前のペア。息子と同い年だな。
ちなみに、以下が1999年のカタログ。
各モデルごとのラインナップがモデルナンバーごとに一覧で確認できます。10ページの左下がLeeds。少し読みづらいですが、今回のペアが「9641 Cognac Cashmere Grain Calf」。写真の黒が「9601 Black Cashmere Grain Calf」。2009年のカタログにはどちらも記載がありません。短命だったようです。どうせなら、モデルナンバー、逆だったらよかったのにね。
で、このペア、「リーズナブル・リーズ」、でした。当然、理由があります。
履き口かかと部分。ダメージです。ただ、これ以外には不具合はなく、普通のユーズドです。ダメージつきなので送料込みで4000円ほどと激安でした笑。おそらく修理代も同額程度でしょう。よし、修理して履こう。との前提で購入しました。
まあ、常々「チャールズ・パッチ」した靴を履きたいと思っているくらいですから、少しくらいのダメージは全く問題ありません。それどころか、「修理が必要だから安い」というのはむしろ、いい靴をリーズナブルにゲットするチャンスではないかとさえ思います。
今回のペア、購入前に想像していたほどのダメージではありません。しばらくこのまま履けなくもない気もしますが、こいつは当初の予定通りBONTAさんでリペアしてもらって、中敷き足して履こう。とその前に、儀式です。
メンテです。
いつも通り、まずは左から。
ステインリムーバー
おそるおそる、です。と言いますのは、この色目がとても気に入ってるんですよね。茶色の古靴は、良くも悪くもメンテして色が変わることがあります。こいつには、あまり変わらないでいて欲しい。
まあ、この時点では大きな変化なし。
LEXOL
歯ブラシがしがしと。コバ周りももちろん、アッパーもがしがし。
それほど変化してません。ああ、よかった、ラッキーです。
デリケートクリームもどき
いつも通り。
いつも通り。
TAPIR LEDER OIL
油分補給&保革&追加の汚れ落とし。
ツヤがいい感じです。っとここで、最近買った「ブートブラック・リッチモイスチャー」の手順を飛ばしてしまったことに気づきましたが、まあ、次の機会にしましょう。仕上げです。
コロニル1909シュプリームクリームデラックス
いつも通り。
いつも通り、良い感じです。
右も同様の手順で、メンテ完了です。
で、ここで悩みが。
靴紐。最初から付いていた丸紐のままがいいのでしょうか。平紐のストックもあるがどうしよう? どっちが似合うでしょう? 通し方はどうしよう? 最近いつも悩みます。
で、結局、今回は当初の靴紐のままで、通し方だけオーバーラップに変更しました。ていうか、ストックの紐はよく見たら71センチと少し短かった笑。
【BEFORE】
【AFTER】
まあ、あんまり変化ないです。見た目はそれなりに履きこまれてるように見えるのですが、そうでもないんですよね。
【BEFORE】
【AFTER】
レザソール。減りもへたりも僅か。ヒールトップもオリジナルのままです。やはり、見た目ほどは履きこまれていないようです。推察しますに、単にシューツリーを入れられないままに使用されてきたペアではないかと。いわゆる、初期の「餃子靴」状態、だったのかも。ソールの状態からはそのように思えるのですが、実際のところはどうなんでしょうね。
などと夢想しながら、最後にトゥだけワックス入れました。右のトゥ、隠し切れない傷があります。が、仕事でよりも、休日にデニムなんかに合わせる機会が多そうですから、まあ、あまり気にする必要もないでしょう。
とはいえ、早く履きたい。
さっそく仕事で履いてみました。
うん、良いです。とても良い。
アレンは、釘を一本も使わないというのがこだわりです。そうすることで、柔らかでしなやかな履き心地を実現しているんだと思います。今回のLeedsも、私の大好きなアレンの履き心地です。ダブルソールだとそれが一層実感できます。
一般的に、
「ビン靴」といえば、古いものの方が品質が良いとされています。80年代よりも70年代、欲を言えば60年代がベスト。しかし、それは、もうすでに存在しないか、現存していても海外生産に移管してしまったシューメイカーの話なのではないか、と。
そもそもアレンは、一貫して昔ながらの製法による米国内製造を続けてきた稀有な会社です。そして、1970年代以降、多くの同業他社が廃業や大手傘下へと統廃合される中を今日まで生き抜いてきた、米国を代表するシューメイカーです。そんなアレンですから、オールデンがまたそうであるように、1980-90年代といった比較的新しい年代のものでも、こだわりの品質なんだろうと推察する次第です。
ただ、近年はアレンも他の企業の資本傘下となり、インド製のアレンなんかも流通し始めているようです。今後は、「縦文字アレン」が、チャーチで言うところの「旧チャーチ」的な存在になっていくのかもしれません。
私が所有しているアレンは全部で12足。そのうちの8足が「縦文字」です。ほかの古い年代のアレンや、ほかのメーカーの70年代前後のペアと比較しても、その品質が劣っているようには思えません。
なので、
少しくらいのダメージなら修理して履こう、という気になるんですよね。
今回も良い買い物ができました。近々、BONTAへGO!です。リペアの状況はまた別途ご報告予定です。
とりあえず、大阪にBONTAがあって良かった。
(関連記事:「BONTA de 靴修理」の記事一覧)