こんにちは、ばしです。
今回は昨年末に立ち上げたプロジェクトの第一弾です。どんなものかといいますと、
MOTTAINAI やつをコロコロ転がすPROJECT。
略して「Mコロ」と命名しました。内容はといいますと、まだまだ履けるのに、見た目が草臥れているだけで手入れすれば蘇るのに、なのに二束三文扱いでリユースショップの雑多な靴コーナーに追いやられた不憫なやつを綺麗にメンテナンスして新たな持ち主に送り届ける、という御節介な企画であります。
昨年11月頃から対象となりそうな靴をポツポツと拾って来ております。
(「新プロジェクト「Mコロ」始動」より)
プロジェクトがスタートした昨年12月上旬以降、候補の靴はあまり増えてはいないのですが、とりあえず第一号が旅立ってゆきましたので、喜びとともにご紹介です。上の写真の一番上のやつ。
こいつ。
浅草靴誂
黒いしっかりとした造りのホールカット。ビジネスから冠婚葬祭まで幅広く活躍しそうな本格靴です。
ソックシートにはロゴが。「浅草靴誂」と書いて「アサクサカチョウ」と読む。浅草とあります通り、浅草発祥の靴ブランドです。ブランドサイトによりますと、
歴史ある職人の町、浅草。
革問屋をはじめ、製靴に所縁のあるその土地で2009年浅草靴は誕生しました。素材選びから仕上げまでの全行程を国内で行い、かつてメゾンブランドの制作も担っていたファクトリーならではの 拘りや技術の高さを活かし浅草靴は作られています。 華の個体差や釣込み時の繊細な微調を叶えるため、 1足ずつ職人の手仕事によって作り続けられています。
とのことなのだそう。
全国の皮革メイカーも支店を構えるなど今や日本の革靴文化のメッカと言って過言ではない浅草。そんな浅草で産声を上げて十五年。こだわったモノづくりをされているようです。
がしかし、
今回のペアは税込990円。定価が4万円前後の本格派のジャパンメイドがこんな投げ売り状態である理由は、浅草靴誂の名前がまだまだメジャーではないことと、このペアの状態によるものと思われます。
トゥに大きな擦れキズ。
左足外側にクラック。
踵もカタチが崩れていて、
結果として「単なる中古靴」扱いとなってしまったようです。ですが、このペア、氏素性がしっかりした日本製かつ職人の手によるグッドイヤーの本格派です。手を入れたらすぐに蘇りそう。かつ、足を入れたい人も少なくないはず。とのことで持ち帰って来た次第です。
昨年12月に手入れして12月中に旅立たせました。まずはメンテの状況からご紹介。いつも通りまずは左足から。
LEXOL
いつもの手順で。
ワックスの類は軽微でした。
外側のクラック。このままだと仕様に伴い大きくなるかも。削っておこう。
ゴシゴシ。
銀面は剥げちゃいましたがクラック自体はかなり消失しました。後で色を入れたら問題ないでしょう。
次のステップへ。
デリケートクリームもどき
いつもの百均のクリームで保湿。指にとってたっぷりと塗り込む。
かなり吸い込みました。
へんな癖のついた踵には内側からもたっぷりと塗り込む。
シューツリー入れて乾かすことでリシェイプしよう、との魂胆です。
クリストフポーニー・レザークリーム
メンタムっぽい香りのオイルクリームを投入。
ま、いつも通り。
コバインク
芸能人は歯が命。革靴はコバが命。
しっかり黒く光らせたい。
右足も同じ手順で。
しっとりしたようです。
広範囲に擦れた傷は隠しようもない。いや、隠そう。私にしては珍しく、今回は油性のクリームやワックスなどをがっつり投入しました。
サフィールクレム(黒)
油性の黒いクリーム投入。
削ったクラック部分を補色です。が、補色しきれてないな。
全体だとこんな感じ。
右足が酷いですが、左足のトゥも傷が目立つ。
サフィール・ビーズワックス(黒)
トゥに柔らかめのワックスを投入。
3回くらい入れました。で、ワックスの上からは、
コロニル1909(ニュートラル)
正しい手順なのかどうかわかりませんが、ワタクシ的にはコロニルで仕上げたい。いつも通りに入れてみた。
正しい手順なのかどうかわかりませんが、それなりには光ります。
クラックも目立たなくなった。
左足、完了です。
それなりに綺麗になったのではないかな。
こんなもんでオーケー。
次いで右足です。
このキズにビーズワックスを何度も塗り重ねる。
お、だいぶ分かりづらくなってきた。
コロニル(無色)を投入。
うーむ、まだ少し名残があるような。
コロニル(黒)も入れてみた。
あまり変化ないかも。こんなもんで。
右足も完了!
【BEFORE】
【AFTER】
すみません、照明の加減が異なるようで比較しづらいですね。すみません。
【BEFORE】
【AFTER】
まあ、それなりには整ったような。
【BEFORE】
【AFTER】
懸案だったトゥの傷はかなり分からなくなりました。
クラックも軽微にはなった。
バックシャン。グラマラスなお尻です。
都度シューツリーをいれておけば当初のような型崩れも防げるでしょう。
ソールは当初からハーフラバー済みです。
雨の日も風の日も気兼ねなく履けそうです。雨の日も風の日も、どこかの誰かに気兼ねなく履いてもらおう。とのことで、出品後いたしましたところほどなくして、
売れた!
実は、当初は欲を出して6000円で出品したのですが、なかなか売れず、タイムセールなど繰り返し結局着地は4050円。結果、
【売値4050円】-【手数料405円】-【送料850円】=【入金2895円】
となりました。買い値が1000円ほどですので、メンテ費用を2千円弱ちょうだいしたわけですが、そもそも、浅草メイドの本格靴が4000円なら安いと思うんですけどどうでしょう。
ちなみに、
爪先に擦れ傷があることとクラックの件はビフォーの写真等と商品説明で明記しております。折角買ってもらって履いてもらいますので、到着後に嫌な気分にならぬよう必要な情報は包み隠さず開示したい、というのが私の基本方針であります。
ところでこいつ、
サイズ表記は「7」。
UK表記と思われますので25.5センチ相当と思っていたのですが、足を入れたら入りました。25.5~26センチ相当サイズだったみたい。なんだ、それなら自分で履いたのに。
ですが、マイサイズであることに気づいたのはメンテ後の出品直前です。「Mコロ」の第一号はこいつでと意気込んでおりましたので、今さらあとに引けず。まあ、気に入ってもらえたみたいだし、私の元だと出番も僅かだし、良かったのではないかな。
作業は娘の部屋を拝借してます。
独り暮らしを始めたため空きが出たミシン用のデスクと照明。靴磨き&撮影には持ってこいの環境です。第2弾もここから旅立つ予定です。
次はどいつでしょう。この週末にまたメンテせねばなりません。まあ、忙しくもあり、楽しみでもある。そんなことで新企画も無事スタートを切ることができました。
目出度し、目出度し。
(おしまい)