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たまにはイタ靴、たまには布タグ(その4)

こんにちは、ばしです。

 

過ぎ去りし初夏のある日。

ふと思った。「そろそろ原点回帰しよう」。枯渇する一方であろう「1960s(以前)の米国靴」漁りに精を出そう。そう思いまして、8月に1足、9月にも1足ゲットしました。なんせ半世紀前の品ですので、今後も長持ちするようメンテはしっかりと念入りにせねばなりませんが、革の質の良さなどに触れるのは結構楽しいものでもあります。で、何故なのでしょう、そんなときに限ってそれ以外のいろんな奴らに出くわすもんで、戸惑い半分&嬉しさ半分な今日この頃です。

今回は9月に買った「布タグのイタ靴」です。

米国ビン靴の場合、ソックシートに「布タグ」は高級でないことの代名詞です。遭遇した時点で「ああ、1980s頃かな、大したクオリティではなさそう、残念」となる。後期のボストニアンなんかが顕著な例かと思います。ただ、イタ靴の場合はその限りではないらしい。顕著な例はフェラガモ「TRAMEZZAトラメッザ」。こいつは同ブランドの最上級ラインなわけですが、ソックシートには布タグ仕様です(記事後半で写真掲載してます)。

トラメッザの存在を知ってからは、たとえ布タグであったとしても注意深く眺めるようになりました。で、今回はどこの何者かワカラナイのですが、なかなかよさげな奴を拾ってきまして、ご紹介です。

 

 

こんなやつ。

自宅近くのセカストで遭遇した茶色のロングウイング。茶のロングウイングを探していたわけではないのですが、

この特徴的なメダリオンに一目惚れしてしまいました。

特長的かつボリューミーなトゥの形状。どこの何者だろう。LLOYDっぽい雰囲気かも。ドイツかその周辺、東欧系の靴かな? なんて思っておりましたところ、

見えますでしょうか。タグの右下に「MADE IN ITALY」の文字。こいつ、イタリア製のようです。タグには、

 

THE SHOES
TRANSWORLD
SPORTMAN

 

の文字。どこの国か知りませんが、シューメイカー名ではなくショップ名のように思われます。英語ですから、アメリカ?イギリス?カナダのショップ?ひょっとして日本とか? 調べてみたのですが分からず終い。ただ、「布タグのイタ靴はハイクオリティなものが多い」との印象です。色々眺めまわした上で「これは買いだ!」とのことで持ち帰ってきた次第です。

ディテールのご紹介の前に、サクッとメンテしましたのでその状況から。いつも通りまずは左足から。

 

 

ステインリムーバー

思いのほか茶のクリームが塗り込まれていた。

 

 

RENOMAT リムーバー

強力リムーバーですっぴんにしてみた。

 

 

デリケートクリームもどき

結構吸い込みました。

 

 

クリストフポーニー・レザークリーム

他のオイル系のクリームを切らしておりまして、メンタムっぽい香りのオイルクリームをうっすらと塗り込んでみた。

少し色が濃くなりました。
さて、しばし浸透させよう。その間に右足も同じ要領で。と思ったら、

あれま。

結構な傷です。なんの傷でしょう。
気にしない、気にしない。

右足にもクリストフポーニー。

15分ほど前に先に塗り込んだ左足にはそれなりに浸透したように見えます。さらに15分ほど放置して、左右ともに乾拭きしたら仕上げです。

 

 

コロニル1909(ムショク)

おお、いい感じです。

分厚いけど柔らかできめ細かなアッパーです。ただ、爪先のキズが結構目立ちますかね。ちょこっとだけワックス入れましょう。

 

 

KIWI パレードグロス(茶)

簡単に塗れるやつ、私向きなのを塗り込んでみた。

まだ傷は見えますが、ほんの少しだけ隠れてくれたような。機会があればプロに磨いてもらってもいいかもね。けどまあ、履いてればどうせまた傷などつきますし、当面、ワタクシ的にはこれでオーケー。

最後に、靴紐を通したらメンテ完了です。

 

 

どんっ。

おお、迫力ありますね。

 

【BEFORE】

↑これが、
↓こんな感じに。

【AFTER】

少しだけ色が濃くなったような。
あらためて、革質はよさそうに見えます。

目を引くメダリオン。
何がモチーフなのでしょうか。とてもとても素敵です。唯一無二、誰とも被らないやつです。このペアの最大の特徴と言えそうですが、他にもこだわりのディテールが。

イタ靴にしては分厚いソール。
そして何より、

コバの目付。

踵まで360度ぐるりと、相当に深くて粗いギザギザです。で、よーく見ると出し縫い糸が見えます。

方や、底側。ダブルソール(?)の底に糸は見えません。ヒドゥンでしょうか。グッドイヤー製法?と思ったら、

内側にも縫い目が。どうやらブレイクラピッド製法のようです。おお、いいですね、私のお気に入りのスタイルです。

分厚いソールのイタ靴って、ブレイクラピッド製法のことが多いように思えます。そんなやつは往々にして布タグだったりする。過去にもそんなやつが結構いました。

 

こんな感じ。

右上から時計回りに、

トラメッザ(茶)
トキオ・クマガイ(黒)
ア・テストーニ(黒)
トラメッザ(茶)

どれもソールは厚く、どれもブレイクラピド製法で、どれも大変素晴らしいペアです。うち2足はすでに旅立ちましたが、それなりにいい値で旅立っていきましたので、ソールの厚いイタ靴(=ブレイクラピッド製法のことが多いような気がする)は狙い目かなあと思ってます。

 

今回も「当たり🎯」でした。

ハーフラバー装着済です。サイズ表記は7.5、UKサイズと思しきこいつ、私の足にちょうど良さげです。まあ、だから持ち帰ってきたんですけどね。中敷きは、薄いのがあってもいいかも、無くてもいいかも、どうだろう。とりあえず追加はなしで履き下ろしてみた。

外羽根がかなり閉じます。
羽根は閉じ気味が好みです。
いい感じ。

指先に適度なゆとりあり。全長もちょうどいい塩梅です。ただ、くるぶし外側が履き口に少しだけ当たります。痛いというほどではないのですが、丸一日履いた夕方、右足だけですが擦り傷みたいになってました。やはり薄手の中敷き1枚足しましょうかね。革1枚+踵にだけコルクシート、なんてのがちょうど良さそう。

爪先がぽっこり。
ボリューミーでチャーミングなフォルムです。
スーツよりジャケパンの方が似合いそう。

 

紺ブレ&チノパンに合わせてみた。

気張らず、堅苦しくなく、気軽過ぎずで履きやすい、合わせやすそう。パンツはデニムでもいいかもしれません。

どこの何者か。

謎です。解き明かしたい。今のところ手掛かりすらありませんが、気長に探ってみましょう。分かれば嬉しい。ですが、まあね、別に分からなくとも問題はない。転売するなら判明してた方が良いでしょうが、オンオフ問わず活躍しそうな汎用性の高さ、それでいて個性的、そんなやつを転がすことはないだろうな。であるならば、

 

謎は謎のままなのも悪くない。

 

(おしまい)

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