こんにちは、ばしです。
新品のブーツを買った記憶がほとんどない。
そんな私が言うのも何なのですが、ブーツは新品よりも中古品を買った方がいいんではないかな。ドレスシューズはきれいな方がいいでしょうが、レザーブーツ、中でも特にカジュアルに履くカントリーライクなやつなんかは、新品よりも履きこんだものの方が雰囲気があって良い。
例えば、こんなやつ。
金曜日仕事帰りにいつものリユースショップで拾ってきたモンキーブーツ。履きこまれた感満載のこいつを見て、
「草臥れたぼろいやつ」と思うか。
「いい味出してるやつ」と思うか。
意見は分かれるところでしょうが、新品では決してこの味、雰囲気が出ないことは間違いない。この状態に至るまで一体どのくらいの年月がかかったのだろう。
「この状態」とはどんな状態かといいますと、
ご覧の通りアッパーは使い込んだ野球のグローブみたいです。なんだけれども、ダメージはあまりなさそうなんですよね。こまめに手入れしてもらっていたのかも。
とはいえ、
腰裏には広範囲なリペアの跡。程度は分かりかねますが、踵周りのダメージは避けられないほどには履かれた模様です。ちなみにこのペア、恐らくトリッカーズのイーサンかと思うのですが、リペアのため貼り付けられたレザーが広範囲にわたっていて、内側の手書き文字があったであろう部分が隠れてしまい正体不明となっとります。
内側踝上部のこのあたりを剥がせば正体が確認できそう。ですが、何か判明したからといって靴の状態や履き心地が変わるわけでもなし。折角綺麗に修理されれるし、ま、このままで、判らぬままでいいや。
で、
ITSHIDEイッツシェイドのコマンドソール。履きこまれたブーツのソールにしては減りはほとんどありません。これって、リソールされてる?
元がラバーがレザーかは知りませんが、先程の腰裏の丁寧な仕事とオールソール、修理代はかなりかかってそうです。
こいつを眺めていて改めて思ったことは、
新品には新品の良さがあるわけですが、中古には中古の良さが、メリットがある、ということ。この手の中古の靴を買うということは、「靴そのもの」を買うだけではなくて、「履き育てるまでの時間」も一緒に買う、ということでもある。いい感じでエイジングしていても、価格は新品よりも遥かに安い。タイムイズマネー、ではなかったのか笑。
好みはあろうかとは思いますが、
中古品の流通が一般化した今の時代こそ、「新品か中古か」ではなく「新品も中古も」、「OR」ではなく「AND」、両方を選択肢とすることで、本格靴をより一層楽しめるのではないかと思うのです。
ユーズドの場合状態は様々。今回のようにリペア費用がそれなりにかかっているものもある。リペア痕があると流通価格は下がる傾向なわけですが、愛着を持って大切に扱ってこられたがゆえのリペア痕なわけです。そんな風に大切に履きこまれてきた靴に触れること自体にも価値があるように思えるのですがどうでしょう。
私も若い頃はお気に入りの靴を履きこんで、修理屋さんのお世話になりながら履いたりしてました。トップリフトは何度も何度も交換して、オールソールも2回くらいやって履きつぶすまで履きました。多分、新品時の購入価格よりリペア代の方がかかってただろうな。こまめなメンテナンスは言うまでもありません。
残念ながら、これから新品を買ってそんな風に履き育てることは今後の私の人生ではほぼありえなさそうです。何故って、ご承知の通り私の家には靴は腐るほどあって、よく履くものでも登板機会は年に20回にも満たない。新品を草臥れるほどに履きこむ前に私の方が先に草臥れたジジイになっちゃいそうです。
なので、
それが自分ではなく他人が履き育てたモノであったとしても、「いいなあ、素敵だなあ」と思ってしまう。今回もそんな風にエイジングした何処かの誰かの元相棒。なぜそんなやつをなぜ手放すことになったのか、事情は知りようもないですが、こうして巡り会ったのも何かの縁です。
ジャストマイサイズのこのブーツ。
その思いとともに勝手に引き継がせてもらうことにしました。とりあえず、まずは儀式です。今日から来週末にかけて、がっつりメンテです。
どんな顔を見せてくれるのか楽しみです。
(おしまい)