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WERNERを炙ってみた【みたび】

こんにちは、ばしです。

 

先週月曜日のことです。

2度に亘るケアを踏まえ、いよいよ履き下す予定だったコールハーンに、予定外のできごとが起こりました。

足を入れていざ出発、玄関先まで出ようとしたその瞬間、なんと! 
痛いです。小さい。1日履いたらどうにか馴染む、といったレベルではなさそうで、急遽登板を取り止めました。こ、これはいろんな意味で痛いな。

同社創業当時の復刻モデルであるWERNER。これが2足目です。
1足目の黒のウイングチップが素晴らしかったんで、同じサイズのこの茶のキャップトゥを購入。

左の黒、サイズ8.5D。小さめの作りで8.0Dの私にジャストサイズ。同じサイズの茶も当然ジャストサイズと思い、ろくに確かめてもいませんでした。

WERNER2足、週末にあらためて確認してみましたところ、

・アウトソール全長はほぼ同じ。
・アウトソール最大・最小幅もほぼ同じ。

なのに、足を入れた感じは全く異なります。

どちらも内羽根です。で、1穴目の位置が随分と異なります。茶の方が、そう、ロングノーズな感じです。この写真の時点で明らかに何かが違う・・・。

サイドビュー。なんか微妙に違いますね。補助線入れてみました。

黒のウイングチップのアッパーのラインを反転させて茶に載せてみましたところ、おお、やはり茶の方が随分と甲が低いです。アングルの所為もあるかもしれませんが、それを差し引いても茶の方が低いです。

赤の部分、スペードソールの尖った「角」の位置も随分異なります。茶の方が高い=抉れている範囲が大きい。黒のそれより1センチも上です。これもタイトになる要因のひとつでしょう。

道理で、これでは痛くなるわけです。

物理的に差異があるのは分かりましたが、同じサイズ表記なのに、なぜこんなにも違うのでしょう? 個体差によるものでしょうか? なんていいながら、下のアングルでも明らかに茶の方が甲が低いです。

内側。どちらもブレイクラピッド製法です。ソックシートの布タグはどちらも赤。ですが、デザインは微妙に異なります。恐らく、黒(左)が初期のペアで、茶(右)は次の世代。デザインが三種=第三世代まであることは確認済です。

同じサイズ表記なのに異なるサイズ感。これは世代によるものなのでしょうか? いや、ビンテージなら1960s頃はサイズよりやや小さめ、てこともありますが、こいつらは最近の、復刻モデルです。年代的にもそう変わらないはず。

製造はイタリアとのことですが、途中でファクトリーが変わった? いや、ライナーの手書きの文字は恐らく同じ工場によるものと推察されます。やはり個体差か。あるいは、モデルが異なるとラストがそもそも別? にしても、同じサイズ表記でこれだけ違うのは変ではないのかな。

 

おお、ようやくいい感じに仕上がったと思ったのに、なんということでしょうね。しかしまあ、履けないものはしょうがない。マイサイズでないやつは転がしましょう。で、どうせ転がすなら、再度手を入れてもっとカッコよく仕上げよう。

 

 

これまでのメンテの経緯はこんなでした。

◎当初:傷のパテを除去しモウブレイのクリーム塗って炙る。
◎前回:ビーズワックスとミラーグロスを塗って炙る。

で、別のペアですが、先週トレーディングポストを手入れしました際、

◎炙る際のワックスはKIWIがいい

との結論に。

(関連記事)
WERNERを炙ってみた
ワックスでWERNERを磨く
ワックスでTRADING POSTを磨きその後炙ってみた

 

上記を踏まえ、今回は以下の手順でメンテの上、メルカリへGOです。

◎あらためてすっぴんに戻す
◎トゥの傷をアドベース&アドカラーで補修
◎通常のメンテを施す
◎KIWIの茶と黒を塗りこんだ上で炙る

 

炙ったアッパーがどの程度すっぴんに戻るのか、あるいは定着して戻らないのか、も合わせて検証しよう。一石二鳥です。

善は急げ。早速やってみました。

 

ステインリムーバー

いつも通り。なかなか落ちません。

 

LEXOL

いつも通り。なかなか落ちません。

 

Reno Mat

強烈リムーバーを投入。強烈過ぎるんで、優しく撫でるように。

当初のパテ補修の跡が痛ましい。まあ、どうしようもないですね。どうせまた濃くしますから、こんなもんでよしとしましょう。

 

 

さて、傷の補修です。
コロンブスのアドカラーとアドベースを準備しました。

この深い傷を目立たなくしよう。出品時にはその旨きちんと書くつもりですが、どうせなら目立たない方が靴も次の持ち主も嬉しいでしょう。
うまくいきますように、と願いつつ。

カッターの刃でない部分にベースを乗せて、傷部分に投入します。

はみ出た部分は濡らした布で擦ると取れるらしい。

目立つ傷なのですが、思ったほど深いわけでもなく。こんなでいいのかどうか自信ありませんが、まあ、前に進みましょう。

 

さて、40~50分くらいで乾くみたいなので、その間、右足のケアを進めておきましょう。

まずは、いつも通りの手順で。

リッチデリケートクリーム、TAPILレダーオイル、コロニル1909.

右はそんないダメージなくて、結構いい感じなんですよね。うーん、もったいないがしょうがない。

今回のために、KIWIのワックスを追加で購入&100均でオイルライターとオイルを調達してきました。

オイルライターなんて20代のころ以来です。赤い炎。火の温度は赤よりも青の方が高温です。最初使っていた100均のターボライターは炎が青でした。炙る温度が高すぎたのかもしれない。今回はこの、龍が火を吐くようなオイルライターで炙ります。

まずはトゥから。パレードグロス(茶)を指でしっかりと塗り込んで、

赤い炎で炙り、ウエスで磨く。

おおー、なんかよさげな予感。
茶を2度、さらに、黒を2度、特にトゥと踵回りを入念にワックス入れ、入念に炙り、磨きました。

こんな感じに。

おお、いい感じです。シボ革に黒いワックスを塗り込むだけだと、隙間が黒く、ほかは茶色のままです。煙が出るくらいしっかりと炙ることで、シボの隙間に入ったワックスもキレイに溶けてしみ込んで全体的に濃くなりました。

踵回り。グッドです。まさに、バーニッシュ・ブラウン、て感じです。
これです、これ。目指していたのは、まさに、これだったのです。

 

てなことで、右は完了です。
さて、そろそろ乾いたであろう左のケアの続きです。

アドカラーの「コイチャ」を、白のアドベースの上に塗ります。

あ、あのう、すみません、全然濃くないんですけど・・・。
クロのアドカラー、買ってません。ということで、しょうがない。

クレムの黒を混ぜてほんとにコイチャにしてみました。

黒の量を調整しながら少しずつ乗せていきます。

うん、まあまあ、ですかね・・・。

さて、左も右同様に、KIWIの茶と黒で、同じくらいの回数を塗り、炙り、磨きました。完了です。

どーーんっ。

左のトゥ、色ムラはもうどうしようもありませんね。もう、アウトオブコントロールです。

除光液で色剥がしたうえで塗りなおすくらいしないとどうにもならなさそう。傷も結構目立ちますね。やった意味、あったかな笑。

とはいえ、全体の色目としてはまずまずかと思われます。
さてさて、あらためて、ビフォーアフターです。

 

【買った当初】

 

【前回メンテ終了後】

 

【今回、最終形】

 

うん、いい感じです。確実に濃くなりました。当初から目指していたのはこの色目だったのでした。

シボ革のスペードソール。アクの強いペアのはずなのに、ロングノーズ気味な所為か、なんだかのっぺりした締まりのない印象だったこいつ。

色を変え、紐を変え、紐の通し方も変えました。

トゥの色ムラはさておき、これなら仕事の足元でもビシッと渋く決まるかな。
私には小さくて履けないけど。

 

さてさて、あとは新たな持ち主を探すだけです。
まあ、いい靴ですし、安く出品すればすぐに売れるんでしょうけど、それだとこのペアにも、内側にサインまで施した職人にも失礼ってもんです。

ここは、少しばかり儲けるのが、みんなのためなのです。
そう、みんなの、ため。

 

今回の結論。革靴を炙るなら、

【KIWI】✕【オイルライター】。
【KIWI】最高。
【DAISO】最高。

 

みんなで、さ、行こう。

 

(関連記事)
イカしたCOLE HAAN」(黒のペア)
WERNERを炙ってみた」(茶のペア・最初の記事)
ワックスでWERNERを磨く」(茶のペア・前回)

 

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