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WERNERを炙ってみた

こんにちは、ばしです。

 

先週火曜日の朝のこと。

メルカリに出品中のペアの状況をチェックしようとスマホを確認したところ、なんと、朝っぱらからSo Goodなやつに遭遇しました。え?こんなのが出品されている。や、安い、なぜ? 今月は買い控えるつもりだったのですが、転がしたら儲かるやつは別です。ええいっ、先手必勝です。売れてしまう前にゲットだ。3分後にはポチっとな。またやってしまいました。

こいつ。

 

COLE HAAN “WERNER”

2足目のWERNERです。
ワーナー? ウエルナー? ヴェルナー?なんて発音するのでしょう。単なるコールハーンの中古として売られてましたが、イタリア製の特別なモデルです。

見ての通り、強烈なスペードソールなこいつは、リアル・ビンテージではなく、同社の1930年頃の復刻モデルだそうです。1足目は黒のウイングチップでした。

鳩目と同じくらい大きなパーフォレーションのこいつのソールも強烈にえぐれてます。このスペードソールを再現するためにはブレイクラピッド製法しかない、ということで、製造はイタリアとなったそうです。

担当した職人さんの名前が手書きで入ってます。ビンテージではないですが、手書き文字ってワクワクしますね。転がすつもりがマイサイズ、黒と同様、8ハーフDです。うーん、いいんだか悪いんだか。まあ、これも何かのご縁です。自分で履きましょう。

早速儀式です。
いつも通り、まずは左から。

 

ステインリムーバー

そんな古いペアではないのですが、あまり手入れしてもらっていなかったのでしょうか。色目がムラムラです。

トゥの色ムラが特にすごいです。なんでこうなるかな。

 

LEXOL

いつも通り、コバをしっかりと、かつ、シボのアッパーもしっかりと。

うん? なんだか妙ですね。何かが塗布されているように見えます。
強烈リムーバー投入して色々と弄(いじく)ってみましょう。

オーマイガー。レノマットを投入してみたのですが、なんか白いのが出てきました。で、この白いやつ、爪でこすったら剥がれます。

なんなんだ!これは! 
ガムを踏んづけたみたいですが、ソールではない、アッパーに、です。

一通り爪で剥がしますと、立派な傷が現れました。引き続きレノマットで除去しつつ、入り込んだ白い異物はマイナスドライバーでこそげます。

 

RENOMAT後

こんな風になりました。

思いますに、傷をパテで埋め、その上から塗料で色付けされたものと思われます。ていうか、傷以外の部分にパテを塗り広げすぎではないですか? パテを使用しての補修はやったことないのですが、そういうやり方が一般的なんですかね?

うーん、困りましたね。けれども、しょうがない、とりあえず前に進みましょう。

 

デリケートクリームもどき

いつも通り、100均のヒト用クリームで保湿です。

うーん、うーん・・・。

 

TAPIR LEDER OIL

オイルアップ。だけでなく、汚れも落としてくれます。キレイになあれ。

うーん、うーん・・・。

 

コロニル1909(ライトブラウン)

補色してみました。

うーん、うーん・・・。

 

モゥブレイ・トラディショナルワックス

こいつも色目が濃くなるらしい。木は森に隠せ。

隠れません、隠せません。

 

コロニル1909(ニュートラル)

いつもの仕上げクリームを投入。

うーん。困りました。湿っているからこうなのかも。乾いたら目立たなくなるかも。とりあえず右を仕上げておきましょう。

内羽根は1穴目の紐は通しづらいんで外しません。右もメンテしましたが、あんまりきれいじゃないですね。なんでだろう。まあ、左のトゥよりはましか。とりあえず一晩乾かしてみました。

翌日昼。

まあ、少しはましになったかな。

いや、そうでもないかも。遠目でも結構目立ちますね。なぜか?それは、ベースの茶色が明るいからでしょうか。

この茶色の色目、なんだか気に入らないなぁ。ビンテージライクな佇まいなはずなのに、安っぽいというか。シボ革なのに、この色目の所為でしょうか、なんか軽い感じで、コバの張り出したソールとのバランスもしっくりきません。

よし、色目を濃くしましょう。色が濃くなることによって、トゥの色ムラも分かりづらくなるかもしれません。一石二鳥を狙って、こいつらを投入です。

モゥブレイのクリーム。ネイビーとボルドーです。茶色の靴に、濃いめの色を塗り込む「アンティーク仕上げ」なるものもあるようです。こいつらを塗り重ねてみましょう。

まずは左から。

 

ボルドー1回目

少し濃くなりました。

まあ、少し、ね。

 

ネイビー1回目

おおー、だいぶ濃くなりました。

もっと濃くしよう。

 

ボルドー2回目

赤みが増して少し明るくなったような。

やはり明るくなってます。

 

ネイビー2回目

濃くはなりました。

1回目とあまり変わりません。

よし。

サフィールクレム投入

黒を塗り込みましょう。手っ取り早そうです。

いい感じです。あとは問題はトゥのムラだけです。

 

パレードグロス(黒)

指で厚めに塗り込みます。
と、ここで、「はた」、と、思いつきました。

炙ってやろう。

ぅおーっ! ムラは凄いですが、凄く濃くなりました!

ただし、トゥだけ濃くて浮いてます。

他の部分も炙ろう。

ワックスの油分が溶けて、染み込んで行くようです。実際にどの程度染みているのか定かではありませんが、明らかに色目が濃くなって、てらっ、とした艶感が増します。

全体的に炙りました。色目が濃くなると同時に、シボ感が強くなったような印象です。このあと、モゥブレイのトラディショナルワックスを再投入。濃くなりすぎた色目が少し軽減して、全体が馴染むような気がします。

左足、完了です。

明るく残っている斑模様は、除去しきれなかったパテかと思われます。メンテを始める前はこんな風に炙るなんて予定してませんでした。こうなることが分かっていたら、サンドペーパーでやすって除去しておいたのですが、しょうがない。

比べてみますと、随分濃くなりました。トゥの色ムラはさておき、全体的な色目はだいぶ希望に近づきました。

20代の頃、当時お気に入りの明るめの茶色のペアに、KIWIの濃茶や黒のワックスを厚く塗ってはジッポーで炙る、なんてことをよくやってました。いい感じにエイジングするんですよね。当時はスモーカーで、タバコ吸いながら靴の手入れしてまして、いろいろと試してみたと記憶しています。まあ、靴にとって良くはないでしょうし、邪道なのかもしれませんが、いろんなやり方があってもいいかな、と笑。

 

【ご注意】
☆実施の際は屋外もしくは玄関の三和土で(WAXは想像以上に燃えます)
☆実施に際してはくれぐれも火の用心&不審者に間違われぬよう(時節柄)
☆ジッポーかチャッカマンがお勧め(百円ライターは手元が熱くなります)
☆実施はあくまでも自己責任で(上手くいくとは限らない&やけどに注意)
★特に集合住宅にお住まいの若い方、寒空ですが屋外で作業がマストです!

 

さて、右にも同じ手順を施しましょう。結構大変ですがしょうがない。
休む間もなくやってみました。メンテ&炙り完了です。
どーんっ!
いや、違うな。

ばーんっBURN!!

左右で色目が異なります。右が若干薄いかな。左の色ムラも目立ちます。が、まあ、全体の雰囲気はメンテ前よりはグッドです。ビフォーアフターで確認です。

 

【BEFORE】

【AFTER】

靴紐も濃茶に交換しました。

 

【BEFORE】

【AFTER】

うん、やはりこのソールには濃い色目の方が気分です。スパルタンな印象が増したように思いますが、どうでしょう。

1足目の黒と比較してみました。2足とも同じサイズなのですが、スペードソールの尖り部分の場所が異なります。

布タグのロゴもほんの少しだけ異なります。どっちが年代的に古いのでしょう? なんとなく黒の方が革質が良いように思いましたので、黒のロゴが最初の復刻分と想像しますが、どうなんでしょうね。

ブレイクラピッド製法ですので、中にマッケイの縫い目が見えます。タン裏の仕様が若干異なりますが、ほかはほぼ同一の仕様です。

記念撮影です。

コールハーンのこのモデルを2足持ってるモノ好きは私くらいかもしれませんね。黒が良かったので茶色にも手を出しましたが、こうして並べてみますとやはり、外鳩目の黒の出来栄えが素晴らしいですね。比べて茶色、やはり少々印象が薄いというか、大人しい感じがします。

けれども、単体で見ればまずまずですかね。

こいつはしばらく、こまめに手入れです。ワックス&火炙りを繰り返して、ビンテージ感をさらに増していきたいと思います。色はもっと濃くていい。トゥのムラが分からなくなるくらいまで濃くしよう。左右の色目も同じくらいにして、いい感じに育てていこう。

今回、約25年ぶりくらいに靴を炙ってみましたが、なかなか面白い、興味深かったです。色の濃さの調整はできませんし、ムラの出方も全く予想がつきませんが、どんなふうに仕上がるか、結構楽しめます。

 

セカストでぼろい安い靴拾ってきて、いろいろ試してみよう。

 

 

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