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Dr.Scholl’s のダービーシューズ

こんにちは、ばしです。

 

「お買い得」なやつに目がない私。

リユースショップでもネットでも、そんなやつに遭遇しますとついつい予定外の買い物をしてしまいます。まあ、そういう意味では大体いつも、十中八九予定外なわけなのですが、またまた今回もそんな風に買っちゃいました。

 

こいつ。

チャーシューではありません。
ごっつい塊肉みたいな風貌ですが、靴です。

トップリフトは猫なやつ。
で、ソール中央に「Dr_Sc」とあります。

このペア、久々に国内WEBショップさんで購入させていただきました。送料税込8000円でお釣り。こいつ「Dr.Schott’s」なるブランド名にて販売されておりました。単純な入力ミスと思われますが、お蔭で検索でもひかっかからず、人目に触れることがなかったと推察されます。

ネットサーフィンしてて旧そうなアンノウンな奴に出会った場合、写真を舐めるようにチェックする私です。「ソールに文字はないか」「内側の文字は判別できないか」「説明にない情報はないか」「ほかに何か手掛かりはないか」と、拡大したり、画像加工や補正などして、余計なお世話といわれるくらい写真を眺めまわすわけです。

今回もそんな風にチェックしておりましたところ、見つけたこのソールの印字とお買い得な価格を無視できなかった次第です。

 

Dr.Scholl’s

ええ、そうです。
こいつ、ショールのペアです。

販売サイトには内側の小窓の写真はなかったので、届いて現物を確認して一安心です。ドクターショールといえば現在はフットケア製品のメーカーとして有名ですが、その昔には靴も作っていたのでした。靴が先?フットケア製品が先?どうなんでしょうね。vcleat.comさんの記事によりますと、

Dr. Scholl’s– founded in Chicago in 1906. Focused on orthotics. Brand sold to Schering-Plough in 1968. Name owned by Caleres.

とのこと。

フローシャイムと同じシカゴ創業の同社。その後、Caleres社が北米での販売を担っていたこともあったらしい。Caleresといえば、数年前にアレンを傘下に収めたあのCaleres(当時の社名はBrown shoe company)です。

英語版WIKIによりますと、これが1979年のことらしい。資本関係はといいいますと、メルク、バイエルといった医療系を変遷していくようですので、同社はフットウェアよりフットケアの方が秀でていたとの世間の評価だったのでしょうね。

さて、そんな中でショールはいつ頃まで靴を作っていたのであろう。

調べてもよくワカラナイ。しばしば見かける「Copeg」のペアは新しいものでも1970s頃までのものが多いような。こいつも同じような感じでしょうかね。「Copeg」は1足持ってますが、今回はそちらのラインではなく、木釘のない「Scholl’s」のペア。

タン裏はフエルトです。

サイズは、、、読めません。
8.5C?でしょうか?25.5-26.0相当サイズとのことでしたので、まあ、そんなもんですかね。

ソックシートにうっすらと何か書いてます。
調べてみましたところ、元はこんな風だった模様です。

「Air-Pillo」なるラインの模様です。こちらから写真拝借いたしました。クッション性の高い中敷きが特徴だったんでしょうね。クロスビースクエアの「Air Film」もそうですが、ナイキのエアシステムのような歩きやすさの追求は50年以上も前から続いている、ということなのでしょう。時代は変わっても、人が求めるもの考えることは皆同じ、ですね。

 

さて、ど・ビンテージをお買い得にゲットしましたので、早く履きたいな。
2週にわたってメンテいたしました。

 

届いた時点がこの状態です。

アッパーは皺のきつめのシボ革です。何の革でしょう。ウォーターバイソン、かと思ったけどなんとなく異なるような。ま、何でもいいんですけどね。爪先に削れなどありますが、クラックはなさそう。

先ほどのソール。ハーフラバーならぬ「ハーフレザー」が施されたのか、前半分だけソール交換でリペアされたものなのか、よくわかりませんが、大変大変かっちりしたソールです。

かっちりしているのはソールだけでなく、この踵回りも。

もうね、ガチガチに硬いです。乾燥しているといえばそうなのでしょうが、踵回りって何か芯が入ってるんですよね? そいつがとにかくかっちりがっちりしている印象です。加えて、アッパー全体も多少乾燥しているでしょうから、合わせ技でガチガチです。

緩めましょう。
いつもの手順で行きましょう。
まずは・・・、

紐をぶち切りました。
太い。太すぎて抜く際に鳩目を傷めそうです。
そのくらい太かった。
元からの紐はこれにてサヨウナラ。

 

ステインリムーバー

いつもの要領で。

 

LEXOL

いつもの要領で、

コバ回りも、親子穴も、シボの隙間も、歯ブラシでしっかり掻き出す。

 

グリセリン保湿

硬い=乾き、というわけではないでしょうが、割れたりしたらダメなんで、がっつり手順を踏みましょう。

ここまでが先々週の週末のお話。

丸1日経ってからコットンパフを外して、さらに24時間後に追い「デリケートクリームもどき」を施しました。

 

☆★☆★☆

 

先週の土曜日。

おお!

驚くほどに見た目の変化がありません笑。

羽根周りはわりと柔らかくなったのですが、全体的にまだ固い。オイルをいれましょう。

 

TAPIR レーダーオイル

入れました。
それも2度塗り重ねました。
なんだけれども、よくワカラナイ。
せっかくなんで、あれこれ入れよう。

 

クリストポーニーレザークリーム

クリーム、とは名ばかりの、オイルです。

メンタムみたいな匂い。そういえば二十代のころ、メンソレータムをアッパー全体に塗りたくったことがありました。あの時はコシがなくなるほどに柔らかくなった記憶が。今度また試してみよう。

とりあえず、がっつり塗り込み完了です。

 

☆★☆

 

翌日。

艶感ゼロ、マット調になりました。

オイル入れた翌日は大体いつもこんな感じです。

さて、仕上げていこう。まずはソールから。

昨日、ソールトニックはたっぷり2度塗り済です。

パレードグロス塗り込んで、

ブラッシングして、

ウエスで拭いたあとにコロニル(ムショク)。

ツヤツヤです。

昔から、ソールはキスできるくらい磨くのが好みです。ただし、滑りますので注意が必要です。

さて、アッパーです。

左甲にシミがあります。木は森に隠しましょう。
補色を兼ねて濃茶のクリームを塗り込むことにしました。

歯ブラシでゴシゴシ。
出し抜い糸にも色を入れてしまおう。

おお、いい感じにムラが隠れました。

10分ほど乾燥です。
その後ウエスで拭きとり&磨いたうえで、入念にブラッシング。

色は少し濃くなり、艶感が増しました。
シミはマシにはなったけど、わかるにはわかる。

まあ、あまり気にならない性質です。
このままでいいや。
それよりもトゥの傷が気になる。
せめて「ぴかり」と光らせよう。

ビーズワックスなど入れてみました。
まあ、マシにはなったでしょう。

右も完了。

さて、どの紐にしよう。新しい紐やら、購入した当初ついてて交換した古い紐など、いろいろあります。なんか合うやつあるでしょう。

短めの茶色を通して、メンテ完了です。

どーん。

うん、まあこんなもんで。

 

【BEFORE】

【AFTER】

おお、艶はそのままに、色が少し濃くなりました。

 

【BEFORE】

【AFTER】

チャーシュー(塊)から焼き芋に変身した、そんな感じ。
とりあえず靴紐はこのままでいってみましょう。

 

さて、簡単にディテールなど確認です。

3穴Vフロント。

乗せモカ、ていうんですかね。

米国ビン靴でよく見かける「エプロンフロントダービー」に親子のパーフォーレーションがあしらわれた、そんなスタイルです。

羽根周りはダブルステッチ。パーフォレーション周りのステッチは割と細かいです。高級な雰囲気はありませんが、頑丈かつ丁寧にしっかりと作りこまれた、そんな印象です。

さて、

サイズは大丈夫かな。

おお、よかった、マイサイズです。
ただ、足を入れた感じはまだ固いです。

とはいっても、乾燥等による硬さではなく、何と言いますか、ソールもかっちり硬くてアッパーの革も分厚い。そして何より、踵回りのホールド感がかなり強く硬い。これって、サイズが合わないとすぐに靴擦れしそう、そのくらい強めにホールドされます。

まあ、いいとか悪いとかではなく、そんな感じです。

がっつりメンテしたけど、それでもまだかなり硬め、かっちりしてます。ビンテージだからそうなのかどうかわかりませんが、まあ、全体的に硬いからソックシートにはエア、ということなのかなと思ったり。

3アイレットVフロントのエプロンフロントダービー。好きなスタイルですが、ともすれば古臭いよう思えたりもするのですが、こいつはアッパーのシボとパーフォレーションのお陰でこじゃれてますかね。どんな服にでも合わせやすそうです。

仕事でもいいのでしょうが、春先にカジュアルなジャケパンの足元が似合いそうに思えます。デニムでもいいのでしょうが、オフホワイトのパンツなんかで綺麗めに合わせたいな。こいつ履くとき用に調達せねばなりません。

 

春はもう、すぐそこです。

 

(おしまい)

 

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