こんにちは、ばしです。
今日で八月が終わる。
つまりそれは、そろそろ夏が終わる、ということです。またネクタイやジャケパンを楽しめる季節になると思うと嬉しい。なんだけど、暑くてネクタイが締めづらいことを除けば四季の中で夏が一番好きな私としては、少しさびしい。まあ、また巡ってきてくれますので、来年の夏を楽しみに待ちましょう。
今はまさに季節の境目。
台風10号が過ぎ去ればいよいよ本格的に秋が始まるのでしょうか。しかしまあ、今回の台風は動きが遅いですね。大阪はまだ台風らしさはあまりない。このまま温帯低気圧になればよいのにね。とはいえ、外出は控えたほうが良さそうなので、この週末は家の中で靴いじりの予定です。
今月は出会いと出費の多い1ヵ月でした。
5足ちょっと買いました。「ちょっと、って、何?」と思われるかもしれませんが、まあ、あれです、そのうち。で、メンテはまだ1足しか終わってませんので「ゆくくる」での振り返りはもう少しあとで。とりあえず、早く手入れしないことには履き下せません。ということで、
先週末からこいつのメンテを始めました。
Florsheim 20713
8月1日(木)。
仕事帰りに遭遇。8月の1足目は、久々「ど・ビンテージ」なフローシャイムでした。
青窓のレギュラーライン。
薄らいでますが、なんとかロゴも判読できます。
サイズは【9.5D】。
品番は【21713】。
アルファベット二文字は【LI(エルアイ)】。
19X8年12月製、となる。
釘穴ありのトップリフト。
製造年代は1960s、ということですので、今回のペアは【1968年12月製】ということですね。今年の年末に56歳の誕生日を迎える私と同世代なやつです。
セカストで税別4900円でした。
レギュラーラインとはいえ、1960sのこの状態のフローシャイムとしてはかなり格安、お買い得といえるのではないかな。今回は「東大阪宝持店」にて購入。この店舗は、自宅と職場のちょうど中間地点に位置しておりまして、クルマ通勤の際には帰り道にちょこちょこと立ち寄るお店です。
駅からは少し離れたロードサイド店なのですが、近くには近畿大学のキャンパスがあります。大学が近くにあるリユースショップは往々にしてカジュアルな若者向けの品揃えで、ビジネスマンや向けの品はさほど多くはない。なので、特に革靴などは数が少ないです。その代わり、並んでる革靴は他店よりも安いことが多い。とはいえ、トリッカーズやらオールデンなどの人気ブランドはそれなりに高いわけですが、
フローシャイムだなんて。
若い人はたぶん知らない。ましてや、「ビンテージ」と言えば聞こえは良いですが、古びた中古のウイングチップです。就活向きでもないし、ほとんどの大学生にとっては興味の湧かない不用品でしょう。結果、売れないであろうからこの価格、ということなのでしょう。
私にとりましては、こんなラッキーなことはない。こんな出会いが偶にあるのでこまめなパトロールは欠かせません。前回この店に訪れた際には棚には並んでいなかったはずですので、今回は目出度く、取りこぼすことなく拾えてラッキーでした。
使用感はありますが、履きこまれた感はさほどでもない。
グラマラスなお尻で造りは良さそうです。
クラック&キズあり。
踵だしそんな目立たないでしょう。
こちらは放置できないな。
あとでは補修しましょう。
トゥにキズ。コバも色が剥げてますが、使用には何ら支障のない、見た目の問題です。誤魔化そう。
ソールもオリジナルと思われます。
ソール中央の減り具合も何ら問題なさそうです。
これぞまさに拾いモノですね。
早速メンテです。
キズの補修
まずは先ほどの履き口の修理から。
プロ仕様のノリで貼ろう。
剥がれた箇所の貼り合わせるに両面に糊をつけ、
ある程度乾かした上で、
貼り合わせる。
2分くらい押さえときました。
くっつきました。白地が覗いてる部分はあとで黒いクリームを入れよう。
さて、アッパーから手を入れていきましょう。
いつも通りまずは左足から。
まずは靴紐を外して内側の確認です。
タン裏はフエルトです。
スポンジの類は入ってません。
ソックシート。「41」との刻印があります。UNION MADEの文字はなし。
さて、
ステインリムーバー
いつもの汚れ落とし。
常識的な範囲で黒いクリームかワックスが塗られてました。
LEXOL
コバ周りを重点的に歯ブラシで掻き出す。
あとでスミも入れよう。
RenoMat リムーバー
強力リムーバー投入。
ビンテージ靴の旧いワックスって、落ちやすいのとそうでないのとがあるんですかね。先日メンテしたBreather Wright はステインリムーバーでは何も落ちなかったのに、レノマットで劇落ちしました。ということで、今回もレノマット投入。
まあ、ビン靴の場合は「最初からレノマット」でも良いのかもしれないな。手順の見直しも必要かもね。とりあえず「すっぴん」になったぽいな。
デリケートクリームもどき
いつもの百均のヒト用クリームで保湿です。
うん、少しばかりしっとりしました。
クリストフポーニー・レザークリーム
油分補給です。いつもなら「リッチモイスチャー」その後「TAPIRレダーオイル」との手順なのですが、どちらも切らしておりまして、今回はメンタムみたいな香りのする「クリーム」という名のオイルを投入。
うっすらと、しっかりと指で塗り込みました。
うむ、良い艶感です。
で、皆さんもお気づきでしょうか、このウイングチップの切り返し、縫い目だけです。こいつ、3アイレットのPTBの爪先にミシンとメダリオンを施したイミテーション・ウイングチップです。この手のやつは何足か持ってます。手の込んだ技が施されてるわけですが、フローシャイムでもこんなのがあったんですね。
などと思いながら右足も同じ手順で。
こんな感じ。クリームの量はBreather Wrightの時よりも少なめにしてます。そんなに傷みもなし、汚れ落としもさほど強烈には行ってないし、こんなもんで問題ないでしょう。
薄めにぬった、とはいえ、ペースト状のオイルクリームを塗り込みましたので、しばし馴染ませましょう。
ここまでが先週日曜日のことです。
1週間弱経過した昨晩、こんな感じ。
見た目の変化は分かりづらいですね。油分はまだ少し残ってます。そもそもそんな渇きもなにもなかった、ということなのでしょう。
爪先の引っ掻き傷、なぜだか少し改善したみたいです。
しっとりきめ細かになった。
ような気がする。レギュラーラインとはいえ、まあ、なんせ1960sですから。アッパーの革質は素晴らしいことはいうまでもない。早速仕上げて、台風一過の月曜日に履き下したい。
今日この後、順次作業です。
(次回につづく)