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Florsheim 31714 “The Laurel”のメンテ

こんにちは、ばしです。

 

今回は前回からの続きです。

コストダウンに伴う品質の低下が始まり、時に「魔の1973年」などとも揶揄されるまさにその「1973年製」のザ・ローレル。今回はこれをメンテナンスする中で、その品質について感じたことなどをつらつらと書き記すものです。

メンテの内容と手順はいつも通り。
まずは左足から弄りました。

 

 

LEXOL

いつも通り、汚れ落とし等。

ワックスなどは塗り込まれいないみたいですが、結構光ります。1960sのローレル同様にグレインレザーであはあるのですが、こいつはガラスレザーぽいようにも思える。旧い個体もこんななのでしょうか?

 

 

デリケートクリームもどき

いつもの百均のヒト用クリームを塗り込んでみた。グリセリンと水が主成分なのです。水分&栄養補給。

 

 

クリストフポーニー・レザークリーム

油分補給。クリームというなのオイルを塗り込む。

ガラスっぽい見た目なのですが、水分・油分ともにそれなりに浸透はするみたい。

 

 

ソールにトラディショナルワックス

アッパーにオイルを塗り込みましたので、しばし放置して浸透を待つ。ホントは丸一日くらい放置すべきかもですが、面倒なんで15分に時間短縮です。その間にソールのメンテ。ソールトニックを切らしてまして、Mモウブレイのトラディショナルワックスを塗り込んで、コバもコバインクできれいにブラッシュアップです。コバが乾いたら最後の仕上げ。

 

 

コロニル1909(ムショク)

いつものクリームで仕上げ。

色は濃くなり、すっきり整ったみたい。

さて、右足も同じ手順で弄ってメンテ完了です。

 

【BEFORE】

【AFTER】

おお、いい艶感です。

 

【BEFORE】

【AFTER】

ソールもしっかりきれいに整いました。

で、お気づきかどうか、

紐を交換しました。新品ではないのですが茶の紐に替えた。茶のアッパーに黒でも問題ないのですが、茶靴には靴紐も茶色の方が私好みなのです。

コバも整ったし、トゥもワックスなしでも十分光る。

お尻の艶感も問題なし。

品質が低下し始めて以降の年代の品。

とはいいながらも十分に高品質ではないかと思ってみたり。実のところ、「少しだけ違いが分かるオトコ」である私には、それ以上のことは何がどうなのか、正直わかりかねます。

なもんで、論より証拠です。1960sのローレルは持っていないけれど、1960sのレギュラーラインのエプロンフロントダービーなら持っております。3足で何がどう違うか、見比べてみた。

左が今回の1973年製「LAUREL」。
中央が1964年製の「PLATEAU」。
右は1967年製の31828(名称不祥)

3足ともフローシャイムなわけですが、
この3足で何がどう違うor違わないのか。
わかりやすいところから確認です。

バックシャン。1960sの2足はどちらもドッグテール仕様です。かつ、真ん中のプラトーは縫い合わせた両脇にもステッチが走っている。1964年製が一番手をかけられています。

アッパーの革質は三者三様なわけですが、

明らかに中央の黒が一番上質です。多分カーフですが、もうね、革質はもちもちです。3足の中で一番古いのに一番クオリティが高そうです。右の茶はシボ革なのですが、今回のローレルのようなガラスレザーっぽい表面の光沢は皆無です。

茶の2足を比べてみる。

似たような感じといえばそうですし、違うといえば違う。

やはり違いますね。ザ・ローレルはガラスレザーっぽい光沢です。ガラスレザー?でも水分油分は吸い込みました。よくワカラナイ。で、ガラスだからダメっていうわけでもないでしょうし。好みの問題かな。私は・・・、どっちも好みだな笑。

ただ、何と言いますか、革質だけでなく、羽根周りの納まり具合などを見ますと、やはり向かって右の1967年製の方が整っているように思える。やはり1960sに軍配、ですね。けどまあ、それも並べて見比べたら、の話です。

単独で見ればこれはこれでやはり上質なビンテージ靴、と言って差し支えないのではないかと思う。そして、これまでこのエプロンフロントのスタイルに積極的でなかったのに、今回「この個体なら大丈夫」と思った理由がこれです。

再掲ですが、こいつ、サイズが「8EEE」であります。

「3E」ウイズの米国製ビンテージ靴って、滅多に見かけないように思う。幅広?甲高?過ぎると感じられてなかなか買い手がつかなかったのかもしれない。今回こいつはメルカリで送料込みで5500円だったのですが、「3E」がお買い得価格だった理由の一つかもしれない。

で、「滅多に見かけないから良い」ということではなく、私にとってウイズが大きいということは「履いた時に羽根と羽根の隙間が狭くなる」、ということです。外羽根も内羽根も閉じ気味が好みです。

足を入れてみた。

おお、いい感じです。

くっつくほどではありませんが、かなり閉じています。繰り返しになりますが、羽根は閉じ気味が好みです。私見ですが、外羽根の羽根が開き気味なのは見た目にあまり素敵ではないように思うんですよね。

 

参考まで、開き気味な例を挙げてみますと、

wrightのエプロンフロンダービー

こいつ、サイズは【US8D】とマイサイズで履き心地もジャストなのですが、紐を締めあげても羽根はこれ以上閉じない。開き加減としてはこれがギリ、かな。これ以上開いたら目も当てられない。プレーンでアイレット少な目のエプロンフロントは、余計に羽根の開き加減がいつもより目立ってしまうような気がするんですよね。

そもそも、爪先から甲周りがジャストフィットな3or4アイレットのペアで羽根が閉じ気味になるものにであったことがないような気がしないでもない。

その点、3Eウイズのこのローレルは申し分ない。

写真では素足ですが、靴下を履けばやや足は太るわけですが、そもそも3Eですので結構ゆったりしてます。踵履き口付近はそうでもないのですが、甲から爪先にかけてゆとりがかなりある。かつ、幅広というよりも甲高で、仕事用の薄手のものなら靴下履いてもばさほど見た目の印象も変わらないのではないかな。中敷き等の調整なしで、そのままでちょうどよさそう。

マイサイズのザ・ローレル。

これまで見かけたやつはCもしくはDウイズのものが大半だったのでした。まあ、履くには履けるのですが、きっと羽根は閉じてくれない。今回はばっちしです。羽根のしっかり閉じる、そんなローレルを待っていたのでした。十年待った甲斐がありました。来週いよいよ履き下ろします。

しばし出番を待て。

 

(おしまい)

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