Florsheim imperial 93605(後編)アッパーのメンテ

こんにちは、ばしです。

 

前回からの続き、後編です。

品番93605。

8月末にアメリカから届いたコードバンのフローシャイムです。コードバンの靴はあれやこれやと持ってますが、フローシャイムは今回で3足目です。1足目はこんなやつでした。

(過去記事「コードバンシューズをメンテ」より)

品番92621。黒のPTB。グッドコンディションでさほど旧く見えませんが、こう見えて1970年12月製です。こいつは、私の人生初のコードバンシューズでもあります。もったいなくて年に数度しか出番がないのですが、墓場まで持ってくやつです。

2足目は内羽根のウイングチップでした。

(過去記事「新入りコードバン」より)

品番6S33820-2。特殊品番のこいつはこれまで手に入れたコードバンの中で最も上質なコードバンでした。9.5Cと私にはサイズがかなり大きくて手放したわけですが、うーむ、売らずに手元に置いとくべきだったか。まあ、人生は長いですので、今後いつの日かまた再会できることを期待しよう。

今回の93605は、茶色ですがかなり濃色です。先の2足のちょうど中間くらいの色目かな。そもそも茶は濃いめが好みです。私向きと言えそうですな。メンテしたらどんな風に仕上がるのでしょう。いつもの手順で、

いつも通りまずは左足から。

 

 

LEXOL

茶色が濃い理由として、ひょっとして黒のワックスなどが入れられているのではないか、と思っていたのですが、

ワックスやクリームはなし。
地色がこんなみたいです。

 

リッチデリケートクリーム

アボカドオイル入りのデリクリで保湿&栄養補給。

水分含んだ所為あり甲がガサガサです。
まあ、その措置はあとで。
それよりも色目のことですが、

踵内側は赤の濃い茶色です。一枚革のPTBと違い、LWBは何点ものパーツから構成されてますので、部位等によって色目も異なる。これもまた個性です。で、パーフォレーションにひび割れ等がないことをあらためて確認です。この状態は今後も維持せねば。ゲットした私の使命であります。

 

 

TAPIR レダーオイル

軽く油分補給&追加で汚れ落とし。

マット調に変化しました。まあ、こいつ使う際のいつものことです。軽くとはいえ油分入れましたので15分ほど放置してから順次仕上げていきます。

 

 

コロニル1909(ニュートラル)

サフィールのコードバン用クリームもあるのですが、ニートフットオイルのケモノ臭がどうにも苦手で、爽やかな香りのいつもの万能クリームを投入してみた。

輝きはイマイチです。ざらついてます。届いた時点からくすんでおりました。コードバン特有の艶感が欲しい。そんなときはこいつ。

 

 

カッサ棒

水牛の角です。

アビィレザースティックなるコードバン専用のモノも売ってますが結構いいお値段なので、マッサージ用の代替品を購入しております。さらに言えば、水牛でなくとも「ティースプーン」でも代用は可能です。ええ、前回コバ周りのメンテで使ったティースプーン、実はあれを使ってやってみましたことがありますが特段不具合はなかった。

ガルジョンマーのメンテ

 

実際、最近は素材が水牛以外の素材のモノも流通しているようなので、代替品となりうるものは様々にあるのでしょう。なんせ、やることはシンプルです。撫でつけて毛羽立ちを抑える、シンプルにこれだけです。

ご存知の通りコードバンのざらつきは、使用に伴う「毛羽立ち」です。

コードバンとは馬のお尻の革なわけですが、革の銀面を削ってその下にあるコードバン層を表出させたものです。いわばスエードのようなもので、そのままでは毛羽立っている。それをメノウなどの鉱物で撫でつけ寝かしつける。「グレージング」と呼ばれる加工工程だそうですが、これによりコードバン特有の濡れたような光沢が生まれる、ということなのだそうです。

てなことで、早速にざらつき・毛羽立ちを撫でつけましょう。コロニル1909を潤滑剤代わりにしてかっさ棒でごしごしと擦る。その後、余分なクリームを拭き取ったうえでブラッシングを施す。

ワシャワシャ、ガシガシ、と、何度も丹念にブラッシングをしますと、

それなりに光る。甲部分はまだ毛羽立ち感が残ってます。もっと力入れてやるべきでしょうか。あるいは、潤滑油替わりはコロニルでなくやはりニートフットオイルがベターなのか。けどまあ、過ぎたるは猶、といいます。今回は、こんなもんで。

側面にもカッサ棒。

 

おお、いい感じです。
そんな感じで全体にカッサ棒&ブラッシングで右足完了。

まあ、それなりに、それなりに。

プロはもっと光らせるのでしょうが、素人の私はこんなもんでオケー。右足も同じ手順で整えたらメンテ完了です。

 

【BEFORE】

【AFTER】

あんまり光ってないな。

けれども、コバ周りはすっきり整いました。

 

 

【BEFORE】

【AFTER】

いや、それなりには整ったかな。まあ、誰もビフォーアフターで比較なんかしないし。

アフターのこの状態を見ればコードバンということくらい分るでしょう。

分かる?分るよね?分かれよ。

あ、分かるね。
大丈夫そうですね。
誰がどう見てもコードバンです。

遠目で見ても鈍く光るコードバン・シューズ。

そもそも、私はナチュラルな光り加減が好みです。ハイシャインが苦手なこともありますが、あまり綺麗に光り過ぎてるとガラスレザーのように思われてしまいませんか。コードバンにワックスを入れると特にその傾向が強くなるように思う。

そもそも、コードバン特有の光沢はグレージングによるものであってワックスによるものではありません。光り方が乏しくとも、僕は、あくまでも自然な雰囲気を大切にしたいと思う。

へへ、負け惜しみ言うてみたわ。

 

そんなこんなで、

右はアレンのマクニール

茶のコードバンのLWBがこれで2足になりました。こうしてみますと、やはり似て非なるものですね。マクニールは「俺はマクニールだっ」て顔立ちをしています。色も微妙に違います。少しだけ違いの分かるオトコである私の目にその差は明確です。

まあね、革靴に興味ない人から見ればどちらも同じに見えるかも。

うちの家族も似たようなもんです。これ以外にほかにも似たような靴を沢山持ってるわけですが、「またおんなじような靴買ってきて」などと揶揄されることもしばしばです。

なのですが、いや、まあ、君らの言わんとするところは分からなくもないけれど、それは違う、そうではない。

どれも似ているようで微妙に違うのさ。

 

 

その差がまた素敵。

それがコードバンなら尚更です。
革の宝石。そう呼ばれるのも頷けます。
思わずポチっとするのも頷けます。
そんな風に頷いていたら、

結構増えて7足になった。

おおっ。

壮観です。
いつの間にそんなに。
転がしたら儲かりそうです。
いや、非売品です。
コードバンはもう手放さない。

たぶん。

 

(おしまい)

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