こんにちは、ばしです。
いやあ、ようやく涼しくなってきましたね。
嬉しい。ありがたい。何がって、ジャケット羽織ってネクタイ締めて電車で通勤できる季節がようやく到来したのでした。ええ、昨日から衣替え&電車通勤にあらためました。振り返れば、今年の夏はホントに異常な暑さで、屋外での靴メンテ作業も滞り気味でした。9月半ばからようやく作業を再開。
手始めに弄ったのは3足のフローシャイム。
右は【Florsheim imperial 93605】。
濃茶のコードバンのロングウイングです。
左は【Florsheim The Kenmoor 30736】。
いわゆるVARSITY型の青窓ロングウイング。
順次メンテしてどちらも履き下ろしました。
今回は真ん中のやつ。前々から欲しいと思いつつもなかなか巡り合えなかったやつなのですが、メルカリで出品された直後のやつを発見、5分間の検討時間を経てぽちった8月最初の獲物であります。
詳しくご紹介。
Florsheim Imperial “The Bradley “
フローシャイムのインペリアルと言えばLWB(外羽根ロングウイング)のケンムール、というのが一般的なわけですが、今回はケンムールではない。
vcleat.com/florsheim-shoe-catalog-fall-1969 より
米国のビン靴蒐集家DAVIDさんのブログ「V-cleat.com」が記事中に紹介されている1969年のカタログにも掲載されているこのモデルは「THE BRADLEY」というのだそうです。こんな繊細な内羽根のウイングチップもフローシャイムにはあるんだ。europeanblendさんのブログN.O.S. w/box (旧お気に入りモノ図鑑)の記事を見てそう知ったのはいつのことだったか。
黒い印字で品番92315。
アルファベット2文字は「BI」でしょうか。
であるならば1968年2月製、となる。
ソックシートの端はV字型で、
タン裏の革はスムーズでクッション入り。なおけんたさんのブログ記事「Florsheim Imperialの年代判別についてのまとめ」通りの仕様です。
そんな「がち」なやつが今回もまたお買い得でした。お買い得なのには理由があるのです。理由は3つ。
理由その1。
大きなダメージではないですが、小指側にクラックの芽がちらほら。
理由その2。
履き口にも僅かですがダメージあり。まあ、使用にはまったく問題ない程度のものであり私はあまり気にならないのですが。
履き口はね、多少のダメージはしょうがないです。
履いてりゃそうなる。そんなことより何より、ダメージを補って余りある踵の意匠です。この写真だけ見れば誰もフローシャイムとは思わない。十人中8人くらいはチャーチ製と答えるのではないかな。
最後に理由その③。
トップリフトが交換済みであること。
文字が擦れてますがBILTLITEのトップリフトのようです。そりゃね、道具として履き倒してれば踵もすり減るし履き口に多少はダメージはできるわな。ちなみに、元のトップリフトはこんなだったらしい。
「アーチラバーヒール」との名称だそうです。
さきほどのeuropeanblendさんの記事より写真拝借させて頂きました。そういえば以前、この半円のラバーが特徴的なこの仕様のペアを1足持っておりました。
1968年7月製のこいつは「THE SUTTON」というモデルです。今回のBRADLEYと同様に1969年のカタログに掲載されているのですが、
こいつのトップリフトが「アーチラバーヒール」でした。なんでも、耐久性に問題でもあったのか短命に終わった仕様だそうです。意外と貴重だったのかもしれない。転がさずにおいときゃBRADLEYに移植も可能だったかもしれません。まあ、やむなし。どっちにしろ、早めの交換が必要となりそうなわけで、事前に交換済というのはありがたくはある。
そんなわけで、アンダー1万円。
それも1万円を大きく下回る額で売りに出されていたのでした。ただ、ダメージはあるものの手入れはすでに十分に行き届いている。それもそのはず、出品者さんは拙ブログも読んでいただいている、私と同様のビン靴フリークな方だったのでした。
すでにメンテ済ですのでこのまま履けるわけですが、そこはそれ、我が家での逗留に当たっては儀式が必要なのです。1960sのペアは特に、アッパーの状態を実際に指先で感じないわけにはいかない。すでにメンテ済ですので、通常プラスアルファ、スペシャルメニューで行きたいと思います。早速メンテです。
いつも通りまずは左足から。
(次回につづく)