こんにちは、ばしです。
まだ4年。もう4年。
最初の記事、「古ぃ靴フリークのブログ、スタート」を投稿したのが2017年11月26日。先月末に目出度く5年目に突入しました。
飽き性の私にしては結構長く続いていて、自分でもびっくりしています。で、続けるには秘訣があります。何かといいますと、「馬にニンジン」「オッサンにビン靴」。ご承知の通り、ブログ開設記念日前後のこの時期には、毎年自分へのご褒美を準備してきました。
2年目は、GRENSON G2 PERCY。でかくて転がしてもう手元にありません。
3年目は、Alligator McHale。年に1度は履くようにしています。
4年目は、SENECA。ずっと欲しくて探してたやつを手に入れました。
5年目は、何にしようか。悩んだ挙句、エキゾチックなやつにしました。
こいつ。
アリゲーターっぽい、のですが、
トゥの斑はかなり大きい。
こいつ、どうやらSea Turtle = 「亀革」らしい。そう、「もしもし~♬」の、あの亀です。といっても、連想される硬い甲羅の側ではなく、胴体や足の柔らかい部分を使うらしい。
聞くところによりますと、ウミガメの革は以前はメキシコから輸入されていたようです。で、それ以前から、日本では古くから食用等で捕獲されていて、その革は靴やカバンに財布など、他のエキゾチックレザーと同様に活用されていたようです。
その後、乱獲等の影響でしょうか、現在は絶滅危惧種として、世界的に捕獲そのものが禁止されており、貴重な革となっているようです。なので、現在流通している亀革の製品は数十年前に製造された商品か、あるいは、新規で作成する場合でもその革自体は数十年前に鞣されたもののデッドストック、ということらしい。
新しい革は全く作られません。流通しているものはすべて数十年前のものばかり。リペアする場合でも、他のダメージの酷い亀革の商品をばらして再利用するといったことが行われているらしい。亀革は他のエキゾチックレザーと比べて、かなり希少性が高いようです。
これまで何度か亀革の靴をみかけたことはあったのですが、他の人の所有物がほとんど。で、ごく稀に売りに出ていてもサイズが合わないものばかりでした。いつか手に入れたい、足を入れたい、と思っていた亀革のペア。今回タイミングよくマイサイズっぽいのを見つけ、今しかないとゲットした次第です。
ウエルカム!
シータートル!
まずは儀式!
と、いきたいところですが、、、亀の革の手入れって、どうすればいいんですかね。何に気をつけたらよいのでしょう? レア過ぎる皮革だからでしょうか、調べても手入れ方法が見つからない。まあ、海の中の生物ですから水には強いのでしょうが、変にいじくっておかしなことになっても困る。
とはいえ、同じ革ですし、基本は同じでしょう。いつも通り、「水分補給」「油分補給」「栄養補給」ということで、ブラッシングで汚れを落とした上で、「デリケートクリーム」「TAPIRレダーオイル」「コロニル1909」の定番3ステップを施しました。最後に、コバとソールもいつも通りで。
いきなりメンテ完了です。すみません、各ステップごとの写真はありません。
大きい斑部分は柔軟性が乏しいので、鞄や財布などの面積の大きい平らな部分に適しているらしい。靴の場合だと、爪先に大きめの斑、ということなのでしょう。甲の皺になりやすい稼働部分は、手足の関節のあたりの部位、でしょうか。もともと柔軟性のある個所を使用しているのではないかと思われます。
メンテではいつも通り手にクリームをとって直接塗り込むのですが、触ってみた印象としては、3つのステップの中では特に「油分補給」が大切なように感じました。亀革全般にいえることなのか、この個体に限ってのことなのかは分からないのですが、欠かせないとの印象です。
さて、亀革なのは分かりましたが、こいつはどこの何者なのか?
もしもし?あなたは何者?
ディテール確認しながらご紹介です。
サイドビュー。
ロングウイングです。なかなかに珍しいように思います。以前メルカリ等で見かけた亀革のペアは、そのほとんどが昭和なジャパンビンテージといった趣の靴ばかりでした。昭和の頃の日本製のペアが大半でしたので、サイズ感も25センチくらいの小さめサイズが多かったと記憶しています。
角度を変えて、前方斜めから。
ソールはダブルソール。エキゾチックレザーであることを除けば、ごくごく普通のアメリカンなロングウイング、といった趣です。
踵。
左右ともに釣り込まれた跡(穴)があります。
360グッドイヤーウエルト&ダブルウエルト、ということでいいのでしょうか。
ソールは釘打ち&Vcleat仕様。
年代はいつ頃でしょう。
外付けVcleatですから、米国靴なら1960s-early70s頃かと思われる作りと質感なのですが、こいつはそもそもどこで作られたのか。と、思ったら。
「HECHO EN MEXICO」とあります。
スペイン語で、「ヘチョエンメヒコ」と発音するそうです。英語だと「MADE IN MEXICO」。メキシコ製です。亀革はメキシコから輸入していたことが多いとのことでしたが、靴の製造もメキシコのよう。メキシコのシューメイカー? 他の国メイカーがメキシコで作らせた?どうなんでしょうね。
さて、内側。
アーチサポートはありませんが、ソックシートの形状だけ見れば雰囲気的にはハノーバーっぽい。
レザーライニング、のようです。前側は穴あき仕様。と、ソール中央になにやら刻印があります。
光の加減変えてみました。下段はソールと同様に「HECHO EN MEXICO」の文字。上段は、
カッコ良さげなロゴ。「G.B.H」とあります。
G.B.H。
聞いたことありません。ebayで検索してもヒットしない。ググったら1件。SUPER8SHOESさんで1足扱いが(←流石!)あったようです(SUPES8HOESさんのG.B.Hのペア)。が、やはり詳しいことはよくわからないようです。
扱いづらいと言われる亀革で仕立てられた見事な1足。詳しいことは分かりませんが、それなりの技術を持ったシューメイカーなのではないでしょうか。今も存続しているのかいないのか。亀、捕れないし、今は亡き、名もなきメイカーなのかも。まあ、亀革オンリーなシューメイカーではないでしょうが、どのメイカーでも扱えるわけでもないでしょうし、看板商品であったことは間違いないでしょう。
メンテもさくっと、だし、メイカーも良く分かりませんので、記事に書くこともあまりない。しょぼい記事になりそうなんで、写真沢山撮りました次第です。太陽の下だとこんな感じ。
結構赤いですね。
ぱっと見、アリゲーターです。なので、アリゲーターとして紹介されることも少なくないようです。見分け方は、斑の大きさが一様でなく、特にトゥ部分に大きな斑のあるものは亀であることが多いようです。
アリゲーターの靴と比べてみました。
向かって左はAlligator McHale。カナダ製です。
確かに斑の小さい部分は似てますが、全体を見れば明らかに似て非なるものではあります。他人とは絶対被らなさそうです。
で、こいつのサイズ感ですが、、、。
どれがサイズ表記なのでしょう?
「*75 7463 3」
「470 C」
と読めます。下段の「470」は「7.0Dウイズ」、と読めますが、それなら後に続く「C」は要らない。何より、私の足が問題なく収まりますので、それほど小さくはない。これはサイズ表記ではなさそうです。
とすれば、上段の「75」がサイズの可能性が高い、前の「*」はアルファベット?数字? 擦れて読めません。が、恐らく、7.5サイズであることは間違いなさそうです。その割にはほんの少し大き目で、US8Dの私にジャストサイズです。
北米大陸にあるメキシコはアメリカと地続きのお隣ですが、歴史的には永らくスペインの植民地だった歴史もあります。このペアのサイズ表記は「US」ではなくヨーロッパサイズなのかも。こいつはUK7.5サイズなのかもしれません。
エキゾチック。
なんかゾクゾクする響きです。
エキゾチック・レザー。
いつからなぜそう呼ばれるようになったのだろう。
なぜゾクゾクするのだろう?
あらためて調べてみました。
エキゾチック【exotic】 の解説
1. 異国の情緒や雰囲気のあるさま。異国的。「―な建物」
2. 風変わりで、奇妙であるさま。主に物理学で、物質や粒子の性質が通常のものと異なることを意味する。
異国的、異国情緒といった意味の様です。なるほどね。
確かに、ワニやトカゲ、ヘビ、ダチョウ、ラクダ、象、サメにエイ、何て言われると、異国情緒を感じます。
ただ、亀革に関してはその昔日本でも使われていて、そもそも食用だった、ということらしい。昔話にも出てくるくらいですから、馴染みはなくとも特段異国情緒を感じるものではなかったのではないか。
そもそも食用とのことであれば、食べた後、その皮まで利用したということではないか。「MOTTAINAIもったいない」精神から生まれたものではと思うのは私が古臭い日本人だからでしょうか。
ま、カメに限らず他のエキゾチックレザーなんかもきっと同じでしょう。日本だけでなく海外でもきっと同じで、昔の人は大自然の貴重な恵を「MOTTAINAI」精神で使い尽くしたのではないかと思います。
ともあれ、そんなエキゾチックレザー。やはりゾクゾクします。今持っているエキゾチックなやつら、折角なんで集合写真撮りましょう。
おお、なかなかの光景です。
二時の方角から時計回りに、
Dack’s (ラクダ)
Church’s(アザラシ)
McHale(ワニ)
FootJoy (サメ)
HENDERSON BARACCO(ハラコ)
で、今回のペア。
合計6足。6足です。
あと1足で7足です。
あと1足で「エキゾチック・ウイーク」ができるな笑。
まあ、仕事では履けないやつがほとんどなんですけどね。
履いても、分からない? やっぱり気づかれるかな。
ばれるかばれんか、それもゾクゾクしそう。
5年目のご褒美。
我ながらグッドチョイスでした。
素敵な出会いに恵まれて大満足です。
皆さんも自分へのご褒美を忘れないでね。
私なんていつもそんなのばっかり笑。
来年6年目のご褒美はどんな靴にしようかな。
考えるだけでも楽しい。
今年も残り僅かですし流石に鬼も笑わんでしょう。
ですが、笑われても一向にかまわん。
楽しみは自分でつくるもんです。
メリークリスマス。
(おしまい)