こんにちは、ばしです。
今年最初の金曜日。
仕事帰りにいつものごとく、リユースショップを巡りながら自宅へと車を走らせました。年末年始に新しい旧い奴が店頭に並んでいるかも。もしそうなら見逃す訳にはいかない。
年始早々セカストはセールやってるみたいですが、対象は服だけみたいです。なんで靴やネクタイは対象外なのだ。合点がいかぬまま何軒か巡って最後に自宅近くのセカストへ。
こんなやつ、拾ってきました。
HY-TESTのローファー
3記事連続でローファーです。今回は「ハイテスト」。ど・ビンテージです。靴はセール対象外、なのですが、売れ残ったこいつには赤札がついてました。
まあ、結構ぼろいです。いや、ぼろく見えます。傷だらけですが、当たり前です。なぜならこいつ、ワークシューズだから。このトゥの内側にスチールキャップが入っているだなんて、ビン靴好き以外は夢にも思わないでしょうね。
久々のアンノウンブランド扱いは米国製のビンテージシューズ。1911年創業の【International Shoe Company】の抱えるブランドのひとつだった「HY-TESTハイテスト」(現在はウルバリン傘下らしいです)。
この手の、「一見すると普通の革靴に見えるのに実はワークシューズ」といったペアをしばしば見かけます。というか、以前はちょこちょこ見かけました。最近は少し球数も減ってきたのか、そろそろ絶滅危惧種入りともいわれているようです。
1足目はレザーソールのロングウイングでした。
ボストニアン製のこいつはハイテストではなく「アイアンエイジ」。ぱっと見にはほんとにただのロングウイングなのですが、こいつの爪先にもスチールキャップが仕込まれてます。私には少しでかくて転がしました。ちなみに、スチールキャップのペアはその外にも1足転がしました。
2足目はちょうど4年前に拾ってきたこいつ。こう見えてこいつにもつま先にスチール入ってます。1980sと思しきペアでした。偶然でしょうか、これも茶色。
で、今回も茶色。
今回はハイテスト。で、ローファーです。
あ、値札が・・・。
こいつ、最初に見かけたときは確か5000円くらいの値札だったのですが、いつの間にか900円となり、さらに50%オフになってしまったらしい。不憫なやつです。不憫なお安いペアですが、前回同様にTUFGUMのラバーソールにLIGHT TREADのトップリフトと本格派なやつです。
ただ、今回はサイズはかなり大きめです。「10D」。私にはでかすぎます。まあ、だれか履くでしょう。で、四角く囲われた印字。中央上段、「Z41」と読めます。これは安全靴の規格基準のことを指します。
そのほかの印字を手掛かりに年代などが判別できるのですが、今回は掠れてしまって判読できません。ただ、ソックシートの「ハウス型ユニオンスタンプ」や、同じくHY-TESTのハウスマーク付きのペアの情報などより、今回のペアは1970sの製造の可能性が高そうです。
ネットで見かける同様のペアは「1970s後半」との触れ込みのものが多いのですが、ハウス型のユニオンスタンプは1972年頃まで、との情報も。何がどうなのか、この辺の詳しいことはそれ以上はわかりません。
ハウス型ユニオンスタンプ。
通常なら長靴の下の「Factory」の文字の後ろに数字が続くのですが、これはそうではないようです。滲んで見えないのですが、何もないわけではない。
「Factory** 」てな感じ。「**」部分、なんて書いてあるんでしょうね。
まあ、いずれにせよ、こう見えて旧いペアで、そのうえ、ワークシューズです。
見た目にはぼろいですが、
なかなか貴重なやつです。
特に、
「スチールキャップ入りのローファー」というのは滅多に見かけないように思うのですが、どうなのでしょう。私自身初めてみました。こいつ、見た目ほどには痛みはなく、ダメージもなさそうです。きれいにしましょう。
いつも通り、まずは左足から。
ステインリムーバー
すれ傷は沢山ありますが、細かなものばかりです。
モカ部分も色は剥げてますがほつれなどはなし。大きな傷やクラックなど、程度のひどいダメージは見受けられません。
コバの境目、色ぬけしてます。
なんでこうなるのかな。まあ、あとで補色しましょう。
LEXOL
コバ周りも、モカ縫いの縫い目あたりも、しっかりと搔き出す。
うん、すっきりしてきました。
デリケートクリームもどき
渇きはないのでグリセリン保湿はなしで。
代わりに「もどき」をたっぷりと。
TAPIR レダーオイル
油分補給&捕獲。
うん、なんかいい感じです。ワークシューズのくせに、柔らかでなかなかのアッパーの革質です。これぞまさにビンテージです。
さて、オイル入れましたので時間を置きましょう。ここまでが朝9時前の作業です。この日はこの後、ご先祖様の墓参りにゆく予定ですので、右足もオイル入れて、数時間放置します。
左右とも完了です。
左足のほうが程度はひどいようです。
これならきれいに蘇りそうです。
楽しみ。
☆★☆★☆
さて、5時間経ちました。午後14時半。
だいぶ乾いた感じです。
補色して仕上げていきましょう。
コロニル1909(バーガンディ)
去年の誕生日の娘からのプレゼントを投入です。
おお、いい感じです。
こんな状態の右足も、
おおー、いいです。いつもなら指で直接塗り込むのですが、今回はベネトレートブラシで全体的にかつ擦れ傷部分は押し込むように入念に。とてもいい塩梅に補色され、かつ馴染んでゆきます。
よし、先ほどのコバ周りも、入念にかついつもよりもたっぷり多めに塗りこもう・・・。
???
!!!
ガーーン。
口が開いてます。
開いた口がふさがらないとはこのことです。
しゃあないです。とりあえず先に作業を進めましょう。
塗りたくりましたので補色はばっちしです。少し時間をおいてから、余分なクリームをしっかりと拭き取る。
大変きれいにはなったのですが、、、。
うーん。オーマイガ涙、です。
こいつ、どうやら「セメント製法」のようです。ダメージには全く気づきませんでした。ですが、
アッパーはいい感じに補色できました。
踵回りもばっちしです。
ソールもヒールも減りは大したことない。
まだまだ履けます。
このソールの出し縫い糸はイミテーション?なのでしょうか?
であるならば、リアルな糸にしてやろう。セメントのソールは剥がれたらマッケイのように内側から縫えば修理が可能です。以前もBONTAさんに持ち込んで直してもらいました(過去記事こちら)。
今回もそうしよう。
こいつは復活させねばなりません。
そうすべき理由があるのです。
(次々回につづく)