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Imported Calf Brown Derby Dress Shoes by Dack’s

こんにちは、ばしです。

 

先々週の日曜日。

玄関先で靴のメンテ作業をしておりましたところ、郵便屋さんが2足届けてくれました。どちらもカナダから。それぞれ異なるセラーから。買った時期も異なる。けれど、同時に到着です。

先週の土曜日。

とりあえず、1足だけ、メンテしました。

こいつ。

 

 

茶色のダックス

カナダのシューメイカー・ダックスのペア。
いつものカナダのセラーから購入。いつも通り、船便でちょうど6週間でした。
購入を決めた理由はこれ。

今にも大きな口を開きそうなステッチ。最近の靴ではめったに見ない意匠です。なぜここにこうなのか。目的も理由も良くわからないステッチ。プレーントゥ好きの私の心が妙にくすぐられたのでした。

アップで。こいつはハンドソーンだそう。インソックにそのように書いてありました。
あれれ? コバに出し縫いの糸が見えません。

底にもありません。ひょっとして、ヒドゥンチャネル? 
いえ、どうやらこのペア、セメント製法のようです。がーーん。
けどまあ、当時としては最先端の技術搭載のモデルなのかも。今の見立てと当時の見立ては違いますからね。まあ、いいも悪いも、買っちゃったし。

サイズ表記は「485」。「4」=「D」ウイズ。「85」=「8.5」。US8.5Dです。
で、このロゴ、ダックスのペアの中でもたまにしか見かけないやつです。年代は分かりませんが、クラシカルな雰囲気が素敵だと前々から思ってたやつです。ラッキー。

ロゴの下には「IMPORTED CALF」とあります。ネットで同じ型の黒のペア、ほか、を見かけましたが、どうやらこのペアのアッパーはイタリアン・カーフのようです。

グッドイヤーのトップリフト。おんなじのを確か持っていたような。

百貨店ブランド「Lytton’s」のペアのトップリフト。ちなみにこいつも3穴です。年代も同じくらい? 3穴が流行りだったのでしょうか。トップリフトの形状やデザインから年代判定ができればよいのですが、フローシャイム以外では確立してないのでしょうか。

 

で、このペア。このスタイルはなんと表現すればよいのでしょう?
出品されてたときの長い名称を多少端折ってタイトルにしてみたのですが、正式な名称とかあるのでしょうか?

ヴァンプPTB? モカPTB? うーん、よう分からん。
まあ、いいか、なんでも。

さて、さっそくメンテいきましょう。
いつも通り、まずは左から。

 

 

ステインリムーバー

マット調になりました。
結構ワックスべったりでした。

 

LEXOL

コバ周りを中心に歯ブラシでガシガシと。アッパーも歯ブラシで。

 

リッチデリケートクリーム

おお、いい感じでしっとり、です。

 

ブートブラック  リッチモイスチャー

さらに、しっとりもっちり。これ1本あれば保湿はOKなような気がしてきます。個人的な感想ですが、クラックなどのダメージの予防に効果的なのではないかと。全体に塗るのは偶に、で、普段は甲の皺になる部分にだけ、でもいいような気もします。値段高いしね。

 

TAPIR レダーオイル

保革&油分補給&取れきれなかった汚れ落とし。
まあ、いつもどおりです。

 

コロニル1909シュプリームクリームデラックス

茶色のも持ってますが、いつも通りニュートラルで。

いい感じに仕上がってきました。

で、この肉割れみたいな縦縞はなんなのでしょう? 
調べてみましたところ、皮革関連の用語で「トラ」といわれるものだそうです。

このアッパー、牛の首から肩にかけての「ショルダー」と呼ばれる部分の皮らしい。ダブつき、大きなひだのようなこの個所を鞣して平らな革にすると、ひだの折れ目が筋状の痕として残り、周りより若干薄い色に染まるのだそう。それが「トラ」。

おお、私の「肉割れ」との拙い比喩もあながち間違いではなかったようです。で、この縞模様はあくまでも「染まり方」の問題であって、品質にはなんら問題ないのだそう。ほお、いろいろありますね。またひとつ賢くなりました。

 

LINCOLN WAX

折角なんで、トゥだけポリッシュ。

3度塗り重ねてみました。いい感じかな、と。

乾きが癒されたように思えます。まずまずではないでしょうか。

右も同様の手順でメンテ完了です。

 

 

【BEFORE】

【AFTER】

アッパーの革質が素晴らしい。

 

【BEFORE】

【AFTER】

あちらこちらに色ムラがあるのですが、若干ましになったような。まあ、多少の色ムラやダメージは、そもそもそんなに気にしない性格です。ビンテージだしね。で、こいつは、色ムラのマイナスポイントを補って余りあるビンテージ・クオリティではないでしょうか。素晴らしい。

 

あらためて、サイドビュー。

このステッチ部分、実はジッパーで、ぐるりと開く・・・、わけないです。開く意味ないし笑。真上からだと見えない、存在に気づきづらいんですよね、このステッチ。誰が何の目的で始めた意匠なのでしょう。

羽根部分、アップ。ダブルステッチからシングルへと切り替わるステッチワーク。素晴らしいです。

ヒールカップ。ドッグテイルです。前方の羽根から続くステッチ。とは別に、踵履き口だけダブルステッチ。染みや傷が目立ちますが、まあ、勲章みたいなもんです。こういうの、大好きです。

下方正面から。ガバっと、口が開きそう。先ほども触れましたが、真上からだとストームウエルトのように見えて、そうとは気づきづらいステッチワークです。見えないところに手の込んだ、「粋」な技かな、と。

 

 

やはり、このペアの最大の長所は、この素晴らしいアッパーなんでしょうね。
厚く、柔らか。で、この発色。イタリアらしい革質です。

 

 

カナダ靴は、立地はアメリカの隣なのに、イギリス靴の影響の方が強いです。そんなカナダで作られたイタリアンカーフのペアを日本で履く笑。

カナダ靴は、アッパーの革質のバリエーションが非常に豊富です。
ワニ、水牛、ダチョウ、ラクダ、アンテロープ・・・。
エキゾチックレザーの割にお買い得なのが多いです。

 

今回も送料込みで6500円。

まあ、はっきり言って、中古とはいえこのクオリティでこの値段は安すぎです。
こんなのが手に入るのなら、中古の靴買うなら、国産よりも絶対カナダのビン靴となってしまうなあ。日本の大衆革靴メーカーさんには大変申し訳ないけれど、コストパフォーマンスの差がでかすぎますね。これじゃあ、逆立ちしても追いつかない。若い人が海外製にばかり流れ過ぎなければよいですが。

 

余談ですが、

今は、ユーズドの流通が凄まじいですから、それに伴い、若い人達のモノを見る目も一昔前より格段に上がっている、と思って間違いないでしょう。昔のように都会のセレクトショップに足を運ばずとも、近所のリユースショップの靴コーナーにグリーン・チャーチ・ジョンロブなんかが並んでます。いいモノを見れば目は肥えます。年齢は関係ない。

中古品に限ったことではありますが、これまでは隣り合わせになることが無かったモノ同士がお店の棚に並ぶ時代です。ましてや、今ここ、だけでなく、大人の事情で世に出た過去の妥協の産物みたいなものまで店頭に並び晒される時代です。無かったことにはできない。われわれ消費者にとってはありがたいですが、メーカーにとってはシビアな時代なのかもしれません。

 

さておき、カナダ靴。
そのうち値も上がるわな、間違いなく。
そんな、カナダ靴。
買うなら今のうちでしょうね。

 

次はエキゾチックなやつにしよう。

 

 

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