ジャパンビンテージ「White Bear」

こんにちは、ばしです。

 

4月になり大阪はすっかり春の陽気です。

近所の桜もピークを迎えた先週日曜日。冬物のジャケットをクリーニング店に持ち込んだ後、久しぶりに靴メンテに勤しみました。最近のニューカマーの2足を弄りまして、それぞれ今回&次回とでご紹介の予定です。

まずは今回の1足。今年第一四半期に拾ってきた2足のうちの残りの1足で、先週の記事「ゆく靴くる靴(2026年1~3月)」でちらりとご紹介したやつです。出会いは毎度のごとくセカスト。雑多な靴コーナーから嬉々として持ち帰っ・・・、もとい、救出してきました。

こんなやつ。

 

 

White Bear

ブランド名は「White Bear」、ということでよろしいですよね。推察しますと、きっと店主が色白の大男であだ名が「シロクマ」だったのではなかろうか。

で、「NAGOYA.OSAKA by NARA」、というのがよくワカラナイ。推察しますと、店主の名前が「奈良さん」で名古屋と大阪にお店を構えていた、とかではなかろうか。まあ、ジャパンビンテージであることには間違いなかろう。

で、「NAGOYA→OSAKA」、の並び順ですので、きっと名古屋発祥なんでしょうね。おお、そういえば最近なにかと名古屋づいてる私であります。そんな私向けの一足であるといえよう。

こいつ、セカストで500円+taxと激安だったのですが、

タダモノではなさそうに思えた。

なんてったってUウイングであります。日本製のビンテージ靴でこのスタイルはかなり珍しいのではないかな。と、思いきや、

なんと。こいつ、切り返しはなくてミシンステッチのみのイミテーションUウイングであります。なおかつ、

多重ステッチ。

狭く密集した三連+その外側に二連の五連のステッチ。いやはや、芸が細かい、細かすぎます。

余談ですが、細かなひび割れが見えます。ダメージ、と言うほどではなさそうですが、見た目にはイマイチなこのひび、ワックスが塗られた状態で長い時間を経たから、ではないかな。旧いワックス落としたらきれいになるかな。なればよいのですが。

ステッチに話を戻しますと、

五連のステッチは羽根の付け根にも。踵へ向けて履き口と平行に弧を描きながら装飾のように走っています。失敗の許されない一発勝負のミシンワーク。想像するだけでも息が詰まる。正確かつとても美しい職人技です。で、

この羽根の付け根部分も切り返しはなくてステッチのみです。

爪先側と踵側の継ぎ目部分ならびに履き口はダブルステッチ。丁寧な技です。

とてもとてもグラマラスなヒールカップ。どんだけ丸っこいねん。と思う。

内側には釘穴が。そう、こいつ、旧いハンドソーンウエルティッドのペアでありあす。道理で、職人技満載であります。

右足のソックシートは糊の粘着力なくなり剥がれてました。ソックシート自体は合皮のようであります。

削れて詠みづらいですが、上段に「NEWSTER」、下段に「SHOE FOR MEN」との文字。年代を感じさせるトップリフトです。

サイズ表記は25.5センチとあります。
おお、これってひょっとしたらギリ履けたりするかな。しないかな。

一縷の希望を胸に抱きながら早速メンテです。
いつも通りまずは左足から。

 

 

LEXOL

コバ周りを掻き出す。

まあそもそも汚れの類はあまりない。

 

 

RenoMat リムーバー

爪先と踵付近、相当にワックスの類が塗り込まれていたみたいでかなり手強かったです。予想はしていましたがそれ以上でした。強力リムーバーをボロ布に浸けて、優しく拭いて、真っ黒になり、またボロ布に・・・を繰り返すこと10回。

ようやく布が黒くならなくなった。いや、厳密には薄墨程度に汚れるのですが、べっとり真っ黒、とはならない程度にまでは除去できたと思う。

 

 

リッチデリケートクリーム

アボカドオイル入りのデリクリを投入。

スベスベします。気持ち良い。

 

 

TAPIR レダーオイル

油分補給。なのですが、手強い汚れも除去してくれるオイルです。

この工程でも少しばかり布が黒くなりました。何度も何度も厚く塗り込まれていたのか、あるいは当時の旧いワックスが今のそれよりも強力なのか。は、判らない。

まあ、それなりにすっぴんにはなっているかと思う。これ以上はダメージにつながるといけないのでやめとこう。

 

 

プロペト

ホワイトワセリンで追いオイルしてみる。

ギトギト。

右足(向かって左)も同じ手順でプロペトまで施してみた。

いつもなら丸1日くらい放置するのですが、乾燥しているわけでもなさそうだし放置時間は約20分と気持ちばかりで次のステップへ。

 

ステインリムーバー

表面に残ったホワイトワセリンをしっかりと拭き取る。

この工程でまたもやボロ布がうっすらと黒くなった。ステップごとのボロ布の汚れの変遷を写真に撮っておけばよかったな。ですが、事前にはそんなにまでワックス塗り込まれてるなんて予想してなかったし。別の機会でやってみます。

さて、仕上げです。

 

 

コロニル1909(ムショク)

いつもの仕上げクリームを塗り込んで、足を入れてみた。入るには入ったけどやはり少し小さいです。自分では履けない、悲しい。

最後に、靴紐を通したらメンテ完了です。

靴紐を通しながら思ったのですが、この羽根周り、かなり柔らかなレザーです。キッドスキンやカンガルーみたいな雰囲気に思える。アッパーとは異なる革なのかもしれないな。履き心地アップにつながっているのかもしれない。

そんなこんなで、メンテ完全コンプリートであります。

 

 

【BEFORE】

【AFTER】

おお、すっきり艶やかです。

 

【BEFORE】

【AFTER】

へたりもなくグッドコンディションなアウトソール。とりあえずソールトニックだけ塗り込んでおいた。

美しいフォルム。

いつ頃の年代かは分かりませんが、当時このスタイルの靴を履いていた人はほぼいなかったのではなかろうか。相当にこだわったオーダー内容かと思う。

とても美しいアッパー。
目立つキズやダメージはありません。トゥの細かなひび割れもだいぶ改善したかな。

と思いきや、厚塗りされたワックスの所為か小指付近には若干の表層的なひび割れが。まあ、やむなし。さほど目立たんでしこのままで。で、その下には規則正しいステッチが。とても美しい。

アウトソールの角は斜め45度てくらいに削られています、いわゆる「矢筈仕上げ」というやつですが、これも正確かつ非常に丁寧に仕上げられています。そこかしこに感じられる当時の職人の秀逸な技。

そしてそれに相応しいアッパー。

とてもとても肌理の細かな甲の革質。
ワックスなしでもツヤツヤです。で、

その上の羽根周り。やはり革の種類が異なるように思える。

うーむ。

いつまでも眺めていたい。

秀逸なジャパンビンテージを手に入れてしまったようです。

先月娘が結婚したのですが、義理の息子がちょうどこのくらいの足サイズなんですよね。いや、彼にはひょっとしたら少しだけ大きいかも。まあ、その時は中敷き1枚追加させよう。恐らく今後も古靴を押し付けることになりそうなわけですが、まあね、それは我が娘を娶った者の宿命なのであります。

覚悟せよ。

 

(おしまい)

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