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旧いJARMANのキャップトゥ

こんにちは、ばしです。

 

このところの寒さが少し緩んだ水曜日。

私用で有給休暇を取得しておりました。朝から夕方までのはずが、スケジュール変更となり14時前には予定終了。冬の陽射しが眩しい平日の午後の時間がぽっかりとフリーになりました。

そんなとき、貴方ならどうしますか?

私の場合は・・・、そう、靴磨きです。ほんとに馬鹿の一つ覚えです。今月12月もちょろちょろと靴を買ってますので、早いとこメンテせねばならないのです。「1000円でお釣りなやつだけ」との縛りは破ってしまったのですが、安いやつだけです。3000円以上のやつは絶対に買わないぞ。

なぜなら、この年の瀬に至っても尚、年間収支の改善を図るべくイタチの最後っ屁をかましたいと画策しているから。なもんで、自分用以外にも「転がす専用」のお安いやつをちょちょろ拾ってます。クリスマスも目前に迫って来てますので、メンテ作業は転がすやつが優先です。メンテしたら、即、出品です。

とりあえずこいつ、いってみました。

 

 

JARMAN

前日の火曜日に拾ってきたばかり。

「Jarman SHOES FOR MEN UNDER LICENSE」

アメリカのシューメイカーですが日本国内でライセンス製造されていたジャーマン。私が20代前半だった1990s前半のころ、職場で先輩が履いてました。確か、リーガルショップで26000円くらいだったと記憶しています。

ただ、

!!!

素晴らしいソールの意匠です。とてもとてもカッコイイです。こいつは当時店で見かけたものとは異なるようです。こんなソールのジャーマンではなかった。というか、こんな日本製の靴、あるんですね。驚きです。

爪先が少しばかり削れて、出し縫い糸が顔を覗かせてます。おお、手がかかってますね。こいつ、ヒドゥンチャネルです。どうやらこいつ、1980s~1990初頭のチヨダ製靴製のペアのようです。

チヨダは現在、リーガルコーポレーション傘下でシェトランドフォックスなどのアッパーラインの製造を担っていますが、リーガルとはもともと提携関係にあり、このジャーマンやジョンストンマーフィーの国内での製造を請け負っていた技術力に定評のあるファクトリーです。

サイズ表記は25EE。リーガルさんなんかと同じサイズ感ですので、私にはやや小さいな。とはいえ、大変グッドコンディションです。欲しい人いるはず。ぐひひ。てなことで拾ってきた2000円でおつりなやつ。

ソックシートのロゴも綺麗に残ってるのですが、

乾いて反り返ってます。

煎餅みたいです。醤油味だな、きっと。

とりあえず外しました。あとで平らにしよう。

 

てなことで、まずは靴本体のメンテから。
いつも通り、まずは左足から。

 

ステインリムーバー

ほとんど汚れなし。

トゥにひっかき傷がありますが、ダメージ等は皆無。あまり履きこまれておりません。グッドコンディションかと。

 

LEXOL

いつも通りの手順ですが、写真撮り忘れました。

 

デリケートクリーム

アボカドオイル入りのやつ。

結構しみ込みます。

 

リッチモイスチャー

指で直接塗り込むのですが、

肌理の細かさが指先から伝わってきます。

 

TAPIR レダーオイル

油分補給&保革。

お、いい感じで光ってきました。

 

コロニル1909(無色)

おお、いい艶感です。そして、黒の色が深い。深いいです。

右も同じ手順で、メンテ完了です。

 

【BEFORE】

【AFTER】

うん、いいですね。
大変よろしい面構えです。

 

【BEFORE】

【AFTER】

ソールも磨きました。

 

【BEFORE】

【AFTER】

元からグッドコンディションでしたが、しっとり仕上がったかな。

6穴のキャップトゥ。レースステー脇にはダブルステッチ。靴紐も昭和の誂え靴によくついてるような、やや細身でしっかりしたつくりの平紐です。

お尻もいい感じです。小さめグラマラス。
で、かっちりしてます。素晴らしい。

出し縫い糸はソール側だけでなく、こちら側も切れ込みに隠されているようです。素晴らしい技かと。

さて、仕上げです。

 

ソックシートのリシェイプ

先ほど剥がしたソックシート。
こいつらはアイロンがけしてみましょう。

裏向きにして、あて布をして、スチームアイロンです。

プシュー。

おお、よろしいのではないかな。

とりあえず片方完了。グッドです。いいねえ、と、オールブラックスの皆さんも言っているかも、言ってないかも。

左右とも完了です。

両面テープを仕込んで貼り合わせます。

イン!!

おーっ、いい感じになったのではないでしょうか!?

ただ、両面テープだとはがれやすいです。セメダインとかのほうが良かったかな。まあ、それはいつでもできます。足を入れて、体重をかけて圧着させよう。足を、

イン!!

うん!? 
あれれ?? 
普通に入りました。

紐をキリキリと締め上げても窮屈ではない。それでいて羽根がぴっちりと閉じています。どういうことか、じゃ、じゃ、ジャストです。

 

「買う前にサイズ確認くらいしろよ」

そんな声が聞こえてきそうです。が、馬鹿みたいに靴を沢山買う私は、購入前に足を入れることは滅多にありません。ビン靴の場合、乾いた状態で足を入れると履き口が裂けることがありますので、一通り保湿等を行うまでは足を入れない。

なので、サイズ確認ができない。けれど、それで全然かまわない。サイズがあえば、自分で履く。あわねば、転がすまでよ。なので、極論を言えば、急ぐ理由も、確認する必要もないのです。

こいつ、「25EE」サイズです。
リーガルさんのこのくらいのサイズは私には爪先まわりが少し窮屈な印象なのですが、こいつはそれほどでもないな。なぜでしょう。木型の所為? ま、ラッキーです。

で、なんかシールが貼ってあります。

 

この商品には、
特殊なオイルレザーを使って
おりますので、履き初めは靴下に色
がつく場合がありますので、あらか
じめご了承くださるようお願
い致します。

とのこと。

オケー。ラジャーです。それは構わないのですが、オイルレザーなんですか、これ? 特殊って、どう特殊なのさ?? わお、ミステリアス。気になります。まあ、秘密はいずれ解き明かさねばならないな。

それより何より、このソールです。転がす専用、と思いつつも、もったいないな、マイサイズならよかったのにな、なんて思っていたのでした。伝わったのでしょうか。

羽根のダブルステッチが効いてます。英国靴ライクなデザインかと思うのですが、何か違う、なんとなく異なる雰囲気。「日本製の古靴」、といった印象が醸されているように思えたりするのは気のせいか。

あらためて、全景。

素敵です。履きこまれてもいないし、ここ一番で履く「一張羅」だったのですかね。元の持ち主はどんな紳士だったのでしょう。仮に、1980s後半に30代半ばで購入したとしますと、今頃70代前半くらいの御年齢と思われます。

遺品整理でしょうか? 
少し早くないですか? 
生前整理でしょうか?
いわゆる「終活」か?

いずれにせよ、このところ、1980s=バブル期頃の時代と思しきペアによく遭遇します。高級品が売れ、コストダウンの重要性が低かった古き良き時代の品です。そのひと昔前、1970s頃の、所謂「昭和の時代の誂え靴」もしばしば拾ってきておったのですが、それらの元の持ち主も歳を重ね後期高齢者となって数年が経ちます。その時代のモノがリユースショップに持ち込まれる、といったフェーズもそろそろ終わりに近づいているのかもしれない。

 

リサイクル市場に流通していて、比較的安く簡単に手に入るジャパン・ビンテージ。ですが、店で目にするものも年月の経過とともに、その時代も高度成長期からバブル期へと徐々にシフト、そろそろ世代交代でしょうかね。そう思うと、これまで拾ってきたマイサイズでない奴らを転がす勇気がなかなか持てないんですよね。

靴好きとはいえ限度があります。増える一方なのはまずい。一定数を越えぬよう転がさねば。と、いつも思うわけですが、単なる中古ではありません。希少な、そして、時間の経過とともにさらに希少になっていくビンテージ靴です。誰かが保護せねばなりません。

それが私である必要はないのでしょうが、こんなにも頻繁に出会ってしまいますと、そりゃあ、なんとなく責任みたいなものを感じてしまうわけです。ある程度は増えるのはしょうがない、もう、ね、無理に手放さなくてもいいんじゃね?

 

そんな気がする今日この頃です。

 

(おしまい)

 

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