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箱なしデッドなエプロンフロントダービー

こんにちは、ばしです。

 

1月ももうすぐ終わりですね。

1月も色々買いました。なのですが、ブログはまだ当面は昨年に拾ってきた靴の紹介です。12月の「ゆくくる」もまだなわけですが、やはり、個別の靴の紹介はできるだけ事前に済ませておきたい。未紹介なのはあと2、3足かな。がんばらねば。でないと、出会った時の経緯などが忘却の彼方へと旅立ってしまう。記事が書きづらくなる。

今回のペアのことはまだはっきりと覚えてます。

あれは確か12月半ば過ぎのこと。昼休みに職場近くの「かつや」で豚カツを食べ、その帰りにこれまた職場近くのセカストを覗いてみたところ、見慣れぬ古そうなやつ2足に遭遇しました。どちらも、ど・ビンテージっぽくて、それがまた毎度のごとく安かったので2足とも持ち帰ってきました。今回はそのうちの1足をご紹介です。

 

こんなやつ。

どうでしょう。

ぱっと見た感じ、まあまあ旧そうですが、めちゃくちゃに旧いわけではなさそう。品質的にもそんな高級さは感じられない。

まあ、1300円+税だし、贅沢は言えません。

アッパーの革質はテラテラと光っていて厚みもなさそうな雰囲気。

とはいえ踵のシェイプはそれなりに整っていて、ビン靴らしくはある。

高級でない米国ビン靴でしばしば見かけるエプロンフロントダービーなわけですが、

あれま。そう、こいつ、未使用品であります。アッパーラインではなくとも、ビンテージのデッドストックに出会ったら持ち帰りたくなるのは人の世の常です。たぶん。

こいつがどこの何者なのか。今しばらく、ディテールなどご紹介。まずはそのものズバリ、ソックシートから。

 

COMTEMPORARY

とあります。ブランド、というか、ライン名なのでしょうね。こいつはアメリカの老舗百貨店のひとつである「JCPenny」のオリジナルのペアのようです。理由はこれ。

当時の値札が付いたままです。

数字が何を意味してるのか分かりませんが、「1999」が値段なのでしょうね。19ドル99セント。いつの時代かは知りませんが、アメリカのデパートで高級でない靴が20ドル程度で売られていた時代、なのでしょうね。

で、ソックシートの文字ですが、

Genuine Leather Upper
COMTENPORARY
Series-Genuine Leather Sole

とありますので、アッパーとソールはレザーです。で、わざわざそのように書いているということは、それ以外は本革でないマテリアルも使用されている、ということです。例えば、そもそもこのレザー風のソックシートですが、

端を少しめくってみました。
織り模様が見えます。
人工皮革のようです。

ライニングの雰囲気もソックシートと似てます。これも合皮なのかも。未使用品なので内側の印字ははっきりと判読可能です。

サイズは【7.5】。ウイズは【MED】。そのほかの数字の意味はよくワカラナイ。【MAN MADE MATERIAL】とあります。人工の素材が使用されている旨の表記。1980年代以降のペアでよく見かける表記でしょうか。

で、サイズの上。

やや擦れてますが、握手型のユニオンメイドスタンプのようです。握手型のスタンプにも何種類かあるようですが、

周囲に配置されている文字の感じがこれに似てます。こいつは1990年代のアメリカのポストマンチャッカのライニングです。青山店長の「古着屋ガレージセールブログ」の記事より画像拝借いたしました。同じスタンプであれば同じ年代となる。こいつも1990sのようです。

拾ってきた当初は1980s頃の個体かと思ってたんですけどね。理由はこれ。

LIGHT TREADのトップリフト。こいつ、1980s頃のワーク系のペアでしばしば見かけます。以前このトップリフトのペアを持ってました。

HY-TESTのUチップ

こいつ、つま先にスチールの入った安全靴です。安全靴には日本でいうところの「JIS規格」に相当する「ANJI」の印字が押されており、それにより製造年代が判別できます。このトッフリフトのペアはおおむね1980sが多いようですが、1990sまで使われていたようですね。

 

さて、今回のペアに戻りましょう。

アウトソールはレザー。

で、手書きで【4.99の文字。使用されないままスリフト等に流れて5ドル弱で売られてたんでしょうかね。【11.5】の意味はなんだろう?よくワカラナイ。

まあ、いずれにしても未使用品、デッドストックというのはいいもんですね。こいつは少しばかり私には小さそうなんで、履き下ろすのはほかの誰かにお願いしよう。

 

誰に履いてもらうことになるか決まってはいないのだけれど、とりあえずプレメンテだけしといた。いつも通りまずは左足から。

 

 

ステインリムーバー

汚れ落とし。まあ、汚れやワックスはないのですが。

このところこの工程では「LEXOL」ばかり使ってましたので久々に使ってみた。理由は特にありません。

 

 

デリケートクリームもどき

いつもの百均のヒト用クリームで保湿。

とはいっても、ガラスレザーのようにコーティングされた革のようで、ほとんど染み込みません。

ライナーにも塗ろうとしたけど、合皮にはやはり無駄でした。

内も外も、まあ、なんとなくそんな気はしていた。

 

 

クリストフポーニー・レザークリーム

染み込まないだろうけれども、一応油分も入れてみた。

うーむ、どうだろう。

 

左も同じ手順で3ステップ完了。

染み込まさなそう。

だけれども、数パーセント程度は染み込むかも。一晩寝かせてみよう。

 

 

☆☽☆☽

 

 

24時間後。さて、どうでしょう?

変化なし。ガックリ笑。

まあ、ごくごく一部は浸みたような。

気がするだけ?

いや、少しは、部分的には浸透したみたい。ですが、ま、全体としては予想通りです。余分なオイルをぬぐって、いつものクリームを塗って(これも染み込まない恐らく)、プレメンテを完了させよう。

LEXOLで拭った。

なんか、「てらてら」とした光り方が安っぽい。ガラスレザーみたく表面がコーティングされているのでしょうが、見た目には素敵ではないな。いっそのこと、表面のコートがない方がいいかもしれない。ということで、

 

RenoMat リムーバー

強力リムーバー投入。強く擦り過ぎるとアッパーの色まで落としかねないこいつで、表面だけ剥がせないだろうか、との考えです。まあ、上手くいかなくともなんら問題ないわけですし、やってみよう。

この甲にレノマットを塗る。

布に多めにとって軽く擦る。

お、なんかスカスカした感じになった。これ以上はまずそうですが、てらてらとした光り方よりはましかも。

向かって左の右足は、前日のオイルをLEXOLで拭ったあとの状態なのですが、左右で全然異なる雰囲気になった。良かったのか悪かったのか。まあ、良しとしましょう。

左右ともにRenoMat投入完了。

多少差異はありますが、ま、いいでしょう。このあとコロニル1909(ムショク)で仕上げ、紐を通したらプレメンテ完了です。

 

どんっ。

なんともかんとも。

 

【BEFORE】

【AFTER】

うん、いい感じに艶感が減じた。
安っぽさも減った、のではないかな。

 

 

【BEFORE】

【AFTER】

紐も通って形も整い、だいぶ見れるようになりました。ま、お世辞もにも高級とは言えないわけですが、もともとこんな靴です。ま、気軽に履けていんではないかな。

 

 

で、あらためてこいつのサイズ感について。

【US7.5 MIDIUM】とのことなのですが、

本当にそうなのだろうか?

私の足は逆立ちしても入りません。長さはさておき、幅がかなり狭いように見える。ほんとにミディアム・ウイズなのだろうか?Cウイズか、下手すりゃBウイズ相当、なように思える。計ってみた。

アウトソール全長は28センチ。
まあ、そんなもんでしょう。で、幅。

9.5センチ弱。うーむ、だいぶ細いんじゃね?
そういえばUS7.5Cのペアが1足あります。

スペシャルケアを施したBreather Wright

幸か不幸か、売り出し中ですがまだ売れずにいるこいつ、サイズは【US7.5C】です。比べてみよう。

シェイプは随分と異なりますが、どちらも同じエプロンフロント=Uチップです。

コバの張り出し具合が異なりますのでアウトソールの長さは若干異なりますが、アッパーのトゥから踵まではほぼほぼ似たような長さです。

ただ、アウトソールはやはり今回の方がかなり細いですね。

やはり、だいぶ差がありますね。明らかに細い。

細い。

細い。

細い。

表記は【US7.5M】なれど、実際は【7.5B】くらいのサイズ感です。いやあ、こういうの、困るんですよね。何がって、サイズの説明が難しくて転がしにくいです。

 

表記は7.5Mとありますが、実際は表記以上に狭い印象です。日本サイズでいえば「かなり細身の25.5センチ」、もしくは、「やや細身の25センチ」相当サイズかと思われます。外羽根なので甲の高さはさほど問題ないでしょうが幅が細身ですので、仮にBまたはCウイズの方でも甲が薄くて幅が普通な方の場合は足にフィットしづらいかもしれない云々。

 

なんて風な説明が必要となります。で、ややこしそうな説明が必要な時点で、それだけで敬遠されがちで売れ行きがイマイチ、なんてことが少なくない。試し履きできればいいんでしょうが、ネットでは無理がある。ああ、参ったな、困ったもんです。

 

ですが、

ま、誰かの足にフィットするでしょう。

デッドを履き下ろせない私が言うのもなんなのですが、靴は履いてなんぼです。高級ではなくともデッドなビンテージだし何よりレザーソールの本格派です。履きたい人はきっといるはず。ガンガン履いてくれる新たな持ち主を探してやろう。

しばし、待て。

 

(おしまい)

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