マイファースト LUDWIG REITER

こんにちは、ばしです。

 

このところ海外からも買ってます。

ええ、靴の話です。でも、だめですね。サイズをミスってばかりです。自分用にせっかく海外から取り寄せた靴なのに、小さくて自分で履けない。

円安だし、送料も結構かかるし、お安くもないわけですが、まあ、貴重な本格ビンテージです。売れさえすれば利益はなくとも損はしない。なのですが、王道的なモノ以外もあったりして、買い手がなかなかつかないことも少なくない。

その点国内はいいですね。メルカリなんかでも、試着はできなくとも日本語で質問したりして、全くの見当外れなサイズに手を出すことは滅多にありません。送料込みだし、送料別でも千円までと安い。なんて言いながら、最近はメルカリではあまり靴は買ってないな。ここ3か月ほどを振り返りますと、7割方がリユースショップです。

たまたまです。

まあ、強いて理由を挙げるなら、最近特にお買い得な掘り出し物がリユースショップに多い、ということでしょうか。季節柄、生前整理や断捨離なんかで流れてくる品が多かったのかもしれません。他の人にとってどうなのかは知りませんが、私にとってはありがたいことです。特に12月はそんなやつがたくさんでした。

今回もそんな1足。

 

ぼろいです。

大変ぼろい。非常にぼろい。滅茶苦茶ぼろい。年の瀬にありがたく拾ってきました。こんなのを「ありがたい」なんていう輩はあまりいなさそうです。どのようにぼろいかといいますと、

つま先がぼろい。

ぼろいというか、もう相当なダメージです。傷だらけのアッパーは誤魔化せても、トゥのダメージは誤魔化しようがありません。なのですが、アッパーの革質は素晴らしく、ソールもつま先以外はへたりもありません。おお、こいつはきっと名のある奴なはず。と思ったら、やはりそうでした。

 

 

LUDWIG REITER (ルーディックライター)

ボヘミア北部出身のLudwig Reiter氏により1885年に創立されたオーストリアのシューメイカー・ルーディックライター。

イタリア人の元で修行を積んだのち独立したReiter氏が創業者であり、今は四代目となるファミリー企業だそう。なんでも、当初は軍靴や警察向けに靴を生産していたそうですが、1900年代初頭の息子の代に最新のグッドイヤー製法を取り入れ、昔ながらの工房から機械式工場に生まれ変わる。その後、2つの世界大戦を通して国内最大の靴メーカーへと成長した・・・。

そんなルーディックライター。

ウィーンを拠点とする現存するメイカーです(参考:同社ホームページ)。現役のお安くないメイカーゆえ、中古でもお安くありません。海外からでもお値段高いし、国内では高いうえに球数も少ない。今年2023年中に手に入れたいと思っていたシューメイカーの一つでしたが、一足早く、昨年末に私の元にやってきてくれました。

まあ、状態に関しましては、流石にここまで酷いものは想定してなかったんですけどね。しかしまあなんでまた、どうすれば爪先だけこんな風になるのでしょう。

ただ、修理しないといけないほどの酷さもあって、お値段なんと【500円+TAX】。加えて、何よりこいつ、ジャストマイサイズなのです。修理代かける価値は十分にあります。プロに直してもらって自分で履こう。そんなこと考えるのは私くらいでしょう。今年はこのパターンでお宝ゲットしてやる、ぐふふ。

5穴+4フックの内羽根キャップトゥ。
なかなかこのスタイルはないです。
探しても多分出会えない。

革質も羽根から足首周りは柔らかで、それ以外はきめ細かくもとてもかっちりしています。

タン裏も、

ライナーもすべてレザーです。かつ、非常に上質で滑らかです。

バックシャンも素敵です。

つま先は、、、この状態です。修理に持ち込む前に最低限のメンテナンスは施しておきましょう。いつも通り、まずは左足から。

 

ステインリムーバー

ぼろいですが、ワックスや汚れはほとんどありませんでした。

どのような職業の方が履いていたのでしょう。
単なるギヤとしてお払い箱寸前まで履かれていた印象です。

 

LEXOL

コバ周りもきれいに。

つま先は・・・、これ、修理できるのかな・・・。

 

リッチデリケートクリーム

面積の大きなブーツには「もどき」が常なのですが、敬意を表して値の張る方のクリーム投入しました。

結構吸い込みます。
2度塗りしました。

 

リッチモイスチャー

いつもの手順で。

傷は隠せませんが、アッパーの肌理はやはり細かくて上質そうです。

 

TAPIR レダーオイル

油分補給&保革。

傷が、傷が、、、。

さて、気休め程度ではありますが、15分ほど浸透させましょう。その間に、コバ周りに黒いクリーム入れました。

あ、あまりきれいにならないな。まあ、修理に出すし、そのあとで再度、でもいいでしょう。そんなことより、

このアッパーの艶感です。大変素晴らしいです。

爪先以外は、ね。

さて、何か「通常プラスアルファ」が必要そうです。

 

耐水サンドペーパー

1500番手の残りがありましたので、こいつでなだらかにしましょう。

どないでしょう?
少しましになったような。
さて、アッパー全体の仕上げ&補色です。

 

コロニル1909(黒)

全体に黒のクリームで仕上げです。

ましにはなったでしょうかね。
もう少し傷が目立たない方がよいな。

 

サフィール ビーズワックス

3回ほど塗り重ねてみました。

ましにはなったな。

いや、凹凸がずいぶん残ったままです。1500番のサンドペーパーでは全然足らなかったようです。よし、ここは追加施術です。

 

かっさ棒

コードバンの毛羽立ちを抑えるかっさ棒。今回はコードバンではありませんが、こいつで圧力をかけてみました。潤滑油替わりに再度コロニル1909を厚く塗って、ひたすらしごく。

ひたすら、力を入れて上下に動かす。

どうだっ!

まあ、少しはましになったんではないでしょうか。
右足も同じ作業が残ってますので、いったんこの辺で左足は作業終了です。同じ手順で右も仕上げたら、私のメンテ作業は終了です。

 

【BEFORE】

【AFTER】

まあ、まずまず、素人の作業としては褒めてもらいたいところです。靴ひもは洗って干してるのですが、そのまま再利用するか、新品に交換するか、検討中。

 

【BEFORE】

【AFTER】

サイドビューが素敵なのは、このスタイルとアッパーの革質のおかげです。拾ってきてよかったと感じる瞬間です。

かっちょええです。

元はヒドゥンチャネルです。

キャップトゥもそれなりになりました。

あとは、ソールつま先の修理です。と、その前に。毎度のごとく今回も玄関先で作業しておりましたら、近所の爺さんが靴をもって現れたのでした。

 

爺さん曰く、

ワシには重いんやわ。
年取ったら軽いのがええねん。
これ、兄ちゃん履いたってくれ。

とのことで頂戴いたしました。KEENのジャスパーというモデルらしいこいつ。足を入れたらなんと、ジャストマイサイズ。爺さんとおんなじ足サイズらしい。近所のナスさんの茶飲み友達のバンドウさん、ありがとうございます、大事に履かせていただきます。

ちなみに、この二人は私が玄関先で作業をしてるとよく声をかけてくれる爺さんたちです。ナスさんの方は、以前私がメンテしてたらそれを見初めて「その靴、売ってくれ」とのことで、ジャパンビンテージをお買いあげになられました。

 

そうそう、こいつ。

中井特製」とのタグのついたジャパンビンテージ。昭和な誂え靴のこいつは今、近所の昭和な爺さんちにあります。こうしてあらためて見ますと、こいつなかなかにかっこよかったな・・・。

 

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そんな風に脱線しすぎてる間に修理が完了しました。

前回記事のHY-TESTと2足まとめて修理をお願いしてまして、一昨日BONTAさんで引き取ってきました。で、見事!に蘇りました。どんな風に蘇ったかと言いますと・・・

 

次回、感動のクライマックスへ。

 

(つづく)

 

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