こんにちは、ばしです。
1月下旬にこんなやつ拾ってきました。
おお、素敵な写真が撮れました。
なんかクラシカルな雰囲気です。セカストの雑多な靴コーナーに並んでたとは思えないカッコよさです。なんでこいつを持ち帰る気になったかといいますと、まあ、いつものごとく安かったのが一つ目の理由。もうひとつが、
これ。
踵。縫い目がありません。
いわゆる、「シームレスヒール」てやつです。
1足持ってます。
去年の秋に拾ってきた「旧ボノーラ」。
こいつのお尻もノッペラボウです。
イタリアの高級靴で見かける仕様です。
今回のもイタリアの高級なやつかも。
高級、と言われればそうだし、普通、と言われればまたそんな気もしなくもない。
爪先にはダメージ、というか、銀面剥がれてるし。
お尻はきれい。
形はね。傷と色むらが若干あります。
ソールはハーフラバーされてて、それなりに履かれてるようですが、とても立体的な造作です。
でもって、ヒドゥンチャネル。
やはりお安い靴ではない。
で、ソックシートには、擦り切れた下地の緑とアルファベット。
「MADE IN MARCHE 」とあります。
マルシェ?イタリアと思ったけど、フランスなのかな。フランスぽくないな。で、どこで作られたかはさておき、なんていうブランドの靴なのかな。ほかに手掛かりはないのか。
と、思ったところ、あいすみません。勉強不足でした。
MADE IN MARHE メイドインマルケ
マルシェ、ではなく「マルケ」だそう。
で、ブランド名が「メイドインマルケ」なんだそうです。
なんでもこいつ、シルバノ・ラッタンジのセカンドラインなのだそうです。セカンドライン、というべきか、カジュアルライン、というべきか。調べてみたけどあまり情報ありません。
イタリアの靴製造のメッカとされるのが「マルケ地方」なのだそう。で、シルバノ・ラッタンジがブランドを創業したのもマルケ地方なのだそう。いわば、英国靴におけるノーザンプトン、といったところなのでしょうか。そんなマルケ地方の名を冠したブランドが今回のペアです。本格的なやつです。
そんな地域、そんなブランドがあるなんて知りませんでした。まだまだ勉強不足です。ですが、なかなかに靴を見る目は肥えてきました。うん、まあね、流石だな、俺(笑)。
で、サイズはといいますと、素足でならぎりぎり履ける感じです。春先にカジュアル向けな感じ。ということで、春に向け、2月半ばよりメンテに着手したのでした。
いつも通りまずは左足から。
で、まずは靴紐を抜き切る。内羽根の靴は1穴目は抜かずにおいておくことも多いのですが、今回は交換しましょう。この華奢なスタイルにこのごつい丸紐は似合わないでしょう。
よし、進めましょう。
まずは靴の中から。
最近のお気に入り。車の室内清掃グッズでホコリ採り。
スライムがいい感じで張り付きます。
綺麗に、なった?まあ、除去されたかと思います。
では、アッパーへ。
ステインリムーバー
LEXOL
デリケートクリームもどき
リッチモイスチャー
TAPIR レダーオイル
さて、どうでしょう。
少し濃くなりました。
ガラスっぽいように思えましたが結構吸い込みます。
で、皺がきついうえに色目も周囲と異なるので目立ちますね。
もっと全体的に色濃くても良いのかも。
濃くしよう。
クリストポーニー・レザークリーム
アンティーク家具の修理職人が作ったクリームという名のオイルです。
がっつり塗り込んでみました。
おお、いいのではないかな。
右も同じ手順ののち、同様にクリストフ塗布。
指にたっぷりとって、
押し込むように、塗るべし、塗るべし。
どうだっ!!
左足の方が濃いな。
なぜでしょう。まあいいか。
で、この日は日曜日でした。あわてる必要もないし、じっくりことを進めよう。
☆★☆★☆★
次の週末の土曜日。
お、なんかいい感じ。すっかりしとり落ち着きました。
皺は色濃いですが、周囲も少し濃くなったせいで当初よりはしっとり馴染んでいるかも。
爪先の傷はしょうがないですが、
銀面の剥がれた右足トゥは、思った以上に傷が目立たなくなりました。
さて、仕上げていきましょう。
なんだけど、どちらを使いましょう。
サフィールの方が元の色目に近いですが、少し濃くするのも悪くないかも。もっと濃く、焦げ茶なんか塗りたい衝動にも駆られますが、まあ、いきなりそれは冒険が過ぎるかな。しばし検討です。
その間に、
コバインキ
まずはコバ回りから。
ペアタイプは使いやすいです。
塗って、乾かして、磨く。
いい感じ。
底も、ソールトニック塗って、乾かして、コロニル入れて、磨く。
いい感じ。
さて、
コロニル1909ミディアムブラウン
少し濃い目のクリームを入れることにしました。
おお、いい感じです。
靴紐も交換しました。
平紐の方が気分です。
履き皺を除いても、もともと皺の入ったアッパーです。
一体どういう類のアッパーなのでしょう。
かなり色艶濃く光ります。
右にもいれたらメンテ完了です。
【BEFORE】
【AFTER】
ま、綺麗になりました。
【BEFORE】
【AFTER】
こうして見比べてみますと、元の色目も結構いいですね。
クリームを落とせばまた明るい色目に戻るかな。明るい茶色は色を変化させるのも楽しみ方の一つです。
お尻。
傷やシミが若干ありますので、まあ、色は濃い目の方が目立ちはしない。ついつい木を森に隠したくなる私です。
爪先。傷部分にクリアのマニュキュアなど塗ってみたかったのですが、どれを買えばよいか、種類が多すぎてよくワカラナイ。そのうち娘に買ってきてもらってあらためて試してみよう。
ソールもきれいになりましたし、全体的にいい感じなのですが、ひとつ誤算が。何かといいますと、あらためて足を入れたら少しきついんですよね。買ったときはいけそうだったんですけどね。おかしいな。
あれですかね、
当初足入れしたのが午前中の早い時間だったからでしょうか。靴を買うときは夕方にしろ、なんていいます。朝の時間で「素足でならいけそう」なサイズ感とは、「君向きではないからやめとけ」ということなのかもしれない。
履けないものはしょうがないので、絶賛出品中です。なのですが、この手の靴って、値決めが難しいですね。メルカリの出品実績などを見ますと、1万円オーバーか、数千円か、のいずれかに振れてるみたいです。
「ラッタンジのカジュアルライン」といえば聞こえが良いですから高値で、との考えもあるわけですが、「そもそもラッタンジって?そのセカンドラインてどういうこと?」なんて人も少なくないわけで、そんな視点に立つと数千円。
なんだけれども、安く出品しすぎると不必要に相場を壊してしまうことにもなります。壊すのも、壊されるんも、できれば避けたい。うーん、高級靴としての認知を損なうことなく安すぎないけれどお買い得なこの靴の価格、って、いくらくらいなのかな。まあ、そもそもこのブランドの中古価格に相場も何もないんでしょうけどね。
うーん、悩ましいですね。いくら高級で高品質であっても、メジャーでないブランドは扱いが難しいです。さて、いくらで売れるのでしょうか。そもそも売れるのでしょうか。
売れればよし。
売れないときは濃茶を入れてみよう。
最後は真っ黒なペアになってたりして。
で、夏の早朝にだけ素足で履くか。
ま、それもまたええかもね。
いや、ホンマそれでええんか、俺。
(おしまい)