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madras EXTRA のキャップトゥ

こんにちは、ばしです。

 

今回はジャパン・ビンテージです。

昨年12月に近所のセカストで拾ってきた奴なのですが、これがもう最高に素晴らしくて。中古靴漁るのが趣味でよかった、あらためてそう思いました。

前置きはなしで、ご紹介。

 

 

madras EXTRA

マドラス、です。

ええ、あのマドラス。オッサンな私が言うのもなんですが、なんとなくオヤジくさい庶民的な印象のシューメイカーのマドラス。しかし今回、私がそれまで抱いていたそんな印象は大きく覆ったのでした。

内羽根のぽっこりしたフォルムのキャップトゥ。
で、シューツリー付きです。値段はいつものごとく数千円。もう、ラッキー以外の何物でもないのですが、安かったことが、ではなく、ジャパン・ブランドの古靴にこんなのがあるんだ、ということを知れてラッキー、と思う次第です。

初見のシューメイカーです。
概略を簡単に確認です。

 

 

マドラス

1921年創業のマドラス株式会社。

2年前、2021年に創業100年を迎えられたそうです。おめでとうございます。ホームページに詳しい歩み(「マドラス100年の歴史」)が紹介されておりますので詳細はそちらをご覧いただくとして、かいつまみますとこんな感じ。

 

☆★☆

 

1921 年(大正10年)
二代目岩田武七氏が亜細亜製靴株式会社を創業。米国からグッドイヤー・ウエルト式製靴機械を輸入し、民間用の紳士靴の量産を開始。

1938 年(昭和13年 )
ドイツ、イギリスなどから最新式製靴機械を輸入し、コンベヤーシステムを採用。 マッケイ式製靴の生産を開始。

1946 年( 昭和21年)
イタリア・ベネチア郊外のバッサノ・デル・グラッパにて「バレンチノ・マドラス社」が創立、madrasブランドが誕生。

1965 年(昭和40年)
イタリア最大の靴メーカーとなった「バレンチノ・マドラス社」との技術提携により日本にmadrasブランドが上陸。

1966 年(昭和41年)
イタリア・マドラス社との提携によりマッケイ式製靴が主力となる。

1983 年(昭和58年)
アジア製靴株式会社からマドラス株式会社に社名変更。

1994 年(平成6年)
全世界のmadras商標権を、イタリアのバレンチノ・マドラス社より譲受。

 

☆★☆

 

すみません、かいつまんだつもりですが、何分百年企業です、説明が長くなるのは致し方なし。三代目JSB岩田剛典氏のご実家との話は聞いたことありましたが、そんな長い歴史を誇るシューメイカーさんだとは勉強不足で知りませんでした。

グッドイヤーから始まり、イタリア・マドラス社と技術提携。その後は商標権を譲受とあります。元が米国靴のリーガル対して元がイタリア靴のマドラス。そんな2社が日本にあるなんて、おもしろいですね。

ちなみに、「マドラス」のブランド名ですが、初期の頃に生産していたモカシンの原材料となる原皮がインドのマドラス地方で入手できるものだったことに由来しているのだそう。

そんなマドラス社との提携を機にマッケイが主力となり、それが今も続いている日本のシューメイカー・マドラスの靴。

たしかに、内側にはとても綺麗な縫い目が走ってます。

ソックシートには「EXTRA」とあります。アッパーラインなのでしょうね。「ITALY」とあるので、このペアはてっきりイタリア製なのかと思ったのですがそうではないらしい。イタリアの「BASSAND DEL GRAPPA」にて創立されたmadras、との意のようです。

艶やかなアッパー。
カーフでしょうか。
革質はとてもとても上質です。
オリジナルと思われるシューツリーもとてもチャーミングです。

お尻も大変グラマラス。
お尻が素敵なペアはすべてが素晴らしいことが多い。

ステッチワークも素晴らしい。ちなみに、キャップトゥに見えますが、一文字もステッチのみのイミテーションキャップトゥです。

もうね、素晴らしさがプンプン漂うバックシャンです。

手入れの必要性もないくらいですが、そこは古靴です。
いつも通り儀式です。

 

ステインリムーバー

汚れやワックスなどはほぼなし。

 

LEXOL

コバ回りもきれいに。
ま、そもそもきれいなのですが。

 

リッチデリケートクリーム

アッパー、すべすべです。

 

リッチモイスチャー

青っぽくなりました。

 

TAPIR レダーオイル

ま、見たまんま。

さて、オイル入れましたので、気持ちばかり時間を置きましょう。その間にソールのメンテ。

 

ソールトニック

そもそも使用感の薄いペアです。
ソールも特段ダメージ等はなさそうです。

ちっちゃな小石をカッターナイフの先で除去。

 

パレードグロス&コロニル

ソールもぴかぴかが好みです。

サイズ表記は7&1/2。
UK表記でしょうね。
マイサイズなはず。

ヒドゥンです。丁寧な仕上がり。このままでもいいのでしょうが、長持ちさせる意味も込めてハーフラバー施す予定です。

さて、仕上げです。

 

コロニル1909(ムショク)

栄養分と油分を加えたら黒の深さが増しました。
素晴らしい。

なんだけれど、

あ、爪先に傷発見。
少々の傷やダメージは気にならない性質ですが、せっかくなんできれいにしよう。

ビーズワックス入れました。
目立たなくはなりましたかね。
まあ、こんなもんで。

さて、右も同様に仕上げてメンテ完了です。

どーんっ。

うん、いいですね。素晴らしい質感。
そして、ぽっこりと丸みを帯びた古い英国靴ライクなフォルム。
とてもとても好みな雰囲気です。

 

【BEFORE】

【AFTER】

うん、いいですね。整いましたね。

シンプルでいながらボリューミー。

おお、ヒドゥンの切れ目がきれいです。

サイドビュー。美しい。

とても丁寧なステッチワーク。

同じくらい上質なペアは数あれど、
どれにも似ていない、独特の雰囲気を醸すペア。
そんな上質なジャパン・ビンテージな1足です。

 

で、ふと、
「ビンテージ」ってあらためてどういう意味?
と思いググってみました。曰く、

ヴィンテージ(ビンテージ,Vintage)は、完成度が高い、古くて価値が高い、年代物のアイテム、また商品。ファッションでは、古着のことなどを意味する。 「由緒ある、古くて価値のある」といった意味で、もともとは、当たり年のワインをさす。

のだそう。

すなわち、古ければビンテージ、というわけではなく、製造時期や型式に希少性があり、古くて価値のある物でなければならないらしい。なるほど。まあ、価値とは絶対的なものではなく相対的なモノでしょうから、古いものは全てビンテージとなる可能性を秘めている、ということかもしれないな。

ところで、

一般的にビンテージと言われるものの旧さ加減は、製造してから30年以上100年未満のものを指すようです。100年以上前のものはビンテージではなく「アンティーク」と呼ぶらしい。

こいつはどのくらい前のものなのでしょう?
毎度のごとくざっくり1980sくらいでしょうかね。ソックシートの意匠などを手掛かりに調べてみるつもりですが、もしご存じの方おられましたらご教示ください。

ヴィンテージとは「完成度が高い、古くて価値が高い、年代物のアイテム、また商品。」とのことでした。素晴らしい完成度です。

革質も、フォルムも、唯一無二です。
ずっと眺めていたい素晴らしさです。

 

凄いヴィンテージを手に入れてしまったのかも。

 

(おしまい)

 

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