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MARELLI のイントレチャート

こんにちは、ばしです。

 

6月に買ったペアをメンテしました。

実は5月に買った靴の手入れがまだ2足残ってるのですが、順番を入れ替えです。手付かずの2足は米国製と日本製のそれぞれ結構旧めのやつで、がっつり手をかけてメンテしたいやつなのですが、このところ週末ずっとバタバタしてまして落ち着くまで先送り。

といいますのは、私ごとですが、昨年秋に独り暮らしを始めた娘がこの春に戻ってきたばかりのですが、今度は入れ替わりで息子が家を離れることとなり、この1か月ほどその準備やら引っ越し作業やらで週末ごとに結構忙しくて。

まあ、二十代半ばのオトコの独り暮らしですし、娘が一人暮らしを始める際に買った家電などもそのまま使えたりもして、準備といってもやるべきことはさほど多くはない。親がやることなんてさほどないわけですが、それでも「あれがない」「これはどうだっけ」「足が要る」といった具合で手伝うこともそれなりにあったりして。

4月から社会人となった彼の配属先は、四国・九州・滋賀のいずれかとのことだったのですが、結局最寄りの滋賀に落ち着き、車で1時間とすぐに足を延ばせる距離ということで、どんな部屋か、どんな街かと、様子見がてら往復すること片手では足らず笑。そんなバタバタも先週土曜日で一段落しまして、日曜日は簡単に手入れできそうやつと戯れました。

涼しげな1足で夏を迎える準備です。

 

 

 

マイファースト Marelli

イントレチャートです。

ブランドは「MARELLI(マレリー)」。マイファーストなシューメイカーです。しばしば見かけますが「年配の方向けの紳士靴」といったイメージです。ここでいう「年配の方」というカテゴリーに私が入るのかどうかはさておきまして、初見のメイカーですのでブランドの紹介を簡単に。

 

 

MARELLI(マレリー)

 

ブランドサイトがあるようでかなり詳しく歴史が紐解かれています。FASHION PRESSさんにも概略がまとめられていて、そちらから抜粋&引用させていただきますと、

 

1906年にイタリアのガララーテで創立された高級靴メーカー。優れた芸術性と、確固たるクラフトマンシップでヨーロッパの伝統的なエレガンスと洗練された美意識を提案し続けている。“Eleganza & Solidita=伝統的イタリアンエレガンスと確かな靴作り”をテーマに、より高度な技術、より高品位なスタイルを追求していく。

1960年、日本の株式会社ユニオン・ロイヤル(現・世界長ユニオン株式會社)が、イタリア高級靴メーカー「マレリー社」と技術提携。ライセンスブランドとして、日本でのマレリーの展開がスタートする。

2006年には、「マレリー100th アニバーサリー」モデルを発表、日本では、全国の百貨店を中心に、シューズをはじめ、ベルトなどの革小物やバッグ、シャツ、傘、手袋、スリッパ、タオル、時計などを展開する。

 

とのこと。

つまり、イタリア発で、1960年代頃から日本の靴メイカーがライセンス生産しているブランド、ということのようです。これって、マドラスも全く同じパターンですね(「madras EXTRA のキャップトゥ」参照)。マッケイが得意なことも共通してます。靴に限らず、1960s頃は海外ブランドをライセンスで引っ張って来る、というのが流行りだったみたいですね。靴に限ってみてもこの手のパターンは他にもあるのかもしれない。

 

そんなマレリーのペア。

いつ頃のものか定かではありませんが、「3穴のPTB」というスタイルがマレリーのイメージとは異なりさほどオッサン臭くもなくて、なかなかに男前ではないか。との判断なのですが、どうでしょう。

ただ、元の持ち主はやはり年配の方だったみたい。こいつメルカリで2千円ほどでだったのですが、ご家族の方が出品されていたものを安くゲットさせて頂きました。

 

少し話がそれますが、メルカリパトロールを欠かさない私が、「アンノウン扱いの掘り出し物」を漁る際、特に、最近のモノではなくてそれなりに旧い年代の出物を探すときは、

 

「父が履いていた」
「祖父が履いていた」

 

とのキーワードで検索することがあります。たまにですが、結構面白いものにヒットすることもあったりしますよ。この検索キーワードでヒットする商品は持ち主ご本人ではなくご家族の方が出品者なわけですが、年配の父親もしくは祖父の履かなくなったものを、メルカリなどのフリマアプリを使っている若い世代の家族の方が出品しているわけです。

この場合、1足だけではなく複数足がまとめて出品されていることも少なくないようです。今回も、説明文に「父が履いていたものです」とのコメントのある複数の同サイズの革靴が出品されていて、その中から「履いてみたいな」と思えたペア1足に白羽の矢を立てたとの経緯です。

 

何に魅かれたかというと、

このきめ細かなメッシュです。

旧いイントレチャートの靴ってそれなりの流通量があると思うのですが、見るからに年配者向けのデザインが多い。マッケイで「いかにもイタ靴」といったスタイルのモノがほとんどな中、こいつは昨今の本格靴っぽいスタイルでもある。

そういえば、以前も似たような旧いイントレチャートの靴を持ってました。

そうそう、こいつ。「IVAN BULBON」なるメイカー名のタグが付いたこつ。これも今回同様にキメの細かなメッシュで最近の本格靴っぽいシェイプのペアでした。

とても素敵だったのですが、休日用なのにホールカットというスタイルが何に合わせたらよいかわからなくて、購入後の2年間で1、2度しか出番がなかった。結局、転がしたのですが、実はちょっと後悔してたんですよね。

登板頻度はさておき、この手の靴はやはり1足くらいは手元に置いておきたい。特に、これだけキメの細かなメッシュのアッパーというのは最近のモノではとんと見かけません。ビンテージ品ゆえの仕様なのかもしれない。そもそも出会うことも稀なので、安さも手伝い今回のペアをゲットしたとの経緯です。

 

ちなみに、以前のと今回とではメイカーは異なるのですが、共通点があってちょっとびっくりしてます。

これはIVAN BULBONのアウトソールの写真です。サイズ表記の上に「PAT. No. 755225」と書かれたシールが貼られておりました。で、

なんと今回も似たようなシールが貼られています。

いや、似てるどころか番号も全く同じです。

以前も今回も、これが何に関する特許なのか調べてみたのですがよくワカラナイままです。ただ、この2足に共通しているのは「キメの細かなイントレチャート」であることですので、アッパーのメッシュの編み方などに関連するものなのかもしれない。

 

実際、かなり出来の良いアッパーです。

キメの細かさもさることながら、履き口に縁取りとして施されたメッシュ。かなりの職人技のようにも思える。

羽根の内側はパイピング処理されています。メッシュの端がほつれないようにパイピングしてそのうえから縁取りの装飾、なのか。そうであるなら、かなり分厚くなりそうな気もするのですが、まったくそんなこともない。縫い目も乱れはなくとても丁寧な仕事です。

羽根周りの仕様。メッシュを編んで1枚革を作ってそれで靴を作ったのか、編み方に何か特徴があるのか。よくわかりませんが、これだけ細い革を均等に手で編むのは難しそうです。機械で編んでるのかな。いずれにせよ、端からすぐに解れてしまいそうで靴に仕立てる際の扱いも難しそう。かなりの技術が必要と思われます。

 

素人が聞いた風なことを、と思われるかもしれませんが、革でメッシュを編んだことがあるんですよね。余談ですが、

このシステム手帳、外側のメッシュは私が自分で編みました。

大学生だった1990年ころ、システム手帳が流行ってた時代に作ったものです。父と叔父が財布などこの手の革製品の製造に関わっておりましたので、「他人とは違うのが欲しい&作ろう」ということで、父にもらった鹿の革でメッシュ部分を作り、それを使って叔父にシステム手帳に仕上げてもらった三十数年前の品です。

社会人になってから仕事もこいつだったので7,8年は使ったような。網目は結構粗めですが、このくらい幅広でも扱いづらくて結構難儀した記憶があります。もうずいぶん長いこと使ってませんが、記念にと一応捨てずにおいております。何せお手製です。

 

メッシュにばかり着目してますが、他の様子はどうかと言いますと、

内側。前方に縫い目が。マッケイです。

ライニングは前半分がメッシュ。ナイロンみたいな丈夫なケミカル素材で編まれたようなやつです。

後半分はレザーライナーで、布タグが付いてます!まあ、糊で貼ってるだけなんで端から剥がれてくるみたいですが。

反対側には印字が。

「8903 25 1/2   7」とあります。UK7=25.5センチということですが、「8903」は何か意味があるのでしょうか。1989年03月の製造、とか? おそらくこいつはメイドインジャパンのライセンス品と推察しますが、ユニオンロイヤルさんに問い合わたら当時の記録は残ってるのでしょうか?なんか、旧すぎて分からんような気がする。気が向いたら問い合わせてみよう。

そんなことで、アッパーもソールも傷みはなくグッドコンディション。ということで、さくっとだけ手入れしといた。

 

 

LEXOLで汚れ落とし

 

デリケートクリームで水分補給

 

クリストフポーニー・レザークリームで油分補給

細い革ですので、乾燥等によってしなやかさが薄れると切れやすくなるかもしれない。ダメージを防止する意味からも水分&油分補給は手を抜けません。ダマにならぬよういつもより少なめに指により、指先全体に広げてから塗り込んでみた。

 

このあと、ソール周りをキレイにしたら、最後にいつものコロニル入れて、メンテ完了です。

 

 

【BEFORE】

【AFTER】

シングルソールの旧い英国靴みたいな佇まいです。

 

【BEFORE】

【AFTER】

ソールもピカピカにしたった。

 

【BEFORE】

【AFTER】

すっきり整った。

ような気がする。

 

サイドビュー。

底面から踵方面上方へと流れる網目が美しい。

美しい。

美しい。

 

足を入れてみた。

やや幅広。素足で若干のゆとりあり。

羽根はかなり閉じる。
薄手の中敷き1枚足しても良いかも。

元の持ち主の爺さんが大切に履いておられたことは想像に難くない。家族の誰かが引き継げればそれに越したことはないのでしょうが、親子でも足のサイズは同じとは限りません。今回の出品者は娘さん=女性のようでしたので、履こうにも履けないとの様子であったと思われます。

 

縁あって手にしたのは赤の他人ですが、引き継いで大切に履かせて頂きます。

 

 

次は「曾祖父が履いていた」で検索してみよう。

 

(おしまい)

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