こんにちは、ばしです。
予告通り、今回は新企画の第1弾です。
詳細につきましては前回の「新企画予告編」をご覧いただくとしまして、あらためて簡単にかいつまんでご説明しますと、
『メルカリの出品物の中で』
『私自身が気になる古靴を』
『その理由と共に紹介する』
というものです。純粋に気になったもののご紹介であり、広告や提灯記事ではありません。ただ、私が興味関心を持っただけで皆さんにとってはそうでもないかもしれないわけですが、私の古靴漁りの日常の中の「発掘から購入に至るまで」のプロセスにフォーカスした企画、であります。
そのことにどんな意味があるのかはわからず、また自分の靴でないものをネタに記事を書くことに気が引ける面もあるのですが、「将来的に自分の靴になるかもしれないもの」の「出会いから意思決定までのプロセスの記録」ということで自身を納得させるものであります。
てなことで、余計な言い訳と説明はこのへんにして、早速見ていきましょう。今回は、最近検索したものから随分以前に「いいね」したもので今も売れずに出品中のものまで、幅広い中から4足ほどピックアップしてみました。
では、早速。
【1足目】
https://jp.mercari.com/item/m43513486045
結構以前から出品されているこのペア。「50s ヨーロッパヴィンテージウイングチップレザーシューズ」とのこと。私には米国ビン靴に見えてるのですが、どうなんでしょうね。
きめ細かではないものの厚手のアッパーでがっちりした雰囲気のUウイング。トゥの切り返しも羽根周りもダブルステッチで大変いい雰囲気を醸してます。よだれが出ます。
踵の縫い合わせ部分。両サイドにステッチが入ってます。手間がかかってます。手間はコストダウンの一環で省かれていきますので、米国ビン靴の場合ですと、このステッチあり=旧い個体、ということになる。
余談ですが例を挙げますと、
写真は1983年10月製と思しきフローシャイムペンフィールド。昨年春に入手したこのペアの踵にはステッチがありません。これが1960-70sの個体だとステッチありとなる。踵の縫い合わせのステッチの有無は旧さをはかる要素の一つです。
戻りまして今回のUウイング。
出し縫い糸は白。外羽根なのにドレッシーに感じるのは6アイレットの所為でしょうか。このUウイングが1950sかどうかは知りませんが、コストダウンが図られる前の良質な時代のペアであることは間違い無いのではないか。なのに、なかなか売れていないみたい。
理由は何かと勝手に想像してみますと、一つは「ユーロビンテージ」なのか「米国ビンテージ」なのか、出自が曖昧なことと、もうひとつはこいつではないかな。
ソールには「MEL-LITE」との文字が。詳しいことは知りませんが、このソールはレザーではないのではないかな。断定はできませんがそんな風に見える。
私は別にアウトソールがレザーでなくとも別に構わないわけですが、2万円オーバーのアンノウンブランドですので、せめてソールはレザーが良い、なんていう方も多いのかもしれない。
こいつ、いくらくらいなら買い手がつくのでしょう? このままでも売れそうな気もしますが、20~25%安ければすぐ売れそうに思える。私もそれだと買っちゃうかもしれないな。今後も要・チェックです。経過観察案件。
【2足目】
https://jp.mercari.com/item/m95011604128
2足目もまた結構以前から出品されている米国製ビンテージと思しきやつ。「ビンテージ黒靴」というネーミング、意外と好きです。
説明文には「サイズ26cm位です」という明るいノリなのですが、アウトソールの実寸も表記部分の説明もなくなかなかに思いきれない。
ですが、
ソックシートの「TOWN SQUARE」なるロゴ。ちなみに反対側には別のロゴで、ソックシートはダブルネーム仕様となっています。どこの何者かは知りませんが、気になる。
お尻の形も大変グラマラスでキュートです。履き口はところどころ切れてしまっているように見えます。若干のダメージあるかもですが、お尻の形の素晴らしいペアは素晴らしいペアが多い、というのが持論の私としましては、大変気になる、気になる。
写真写りが明瞭でないことと、それでもわかる突っ込まれたシリカゲルが大変気になってしまう。それでも、数あるレザーとメッシュのコンビ靴の中で、Uウイングぽいスタイルはあまり見たことがありません。
アイレットのスタイルも独特で、気になる、気になる。5千円くらいなら万一履けなくとも買って詳細を確認したいところであります。こいつもしばらく経過観察。
【3足目】
https://jp.mercari.com/item/m66774768472
3足目はカナダ製フローシャイム。
こいつは先の2足よりも以前から経過観察中です。なぜだかあまり人気のないカナダ靴なわけですが、それに加えて「カナダ製フローシャイム」となりますとなおさらです。すなわち、
米国製ではなく、「なぜ・あえて」カナダ製のフローシャイムを買うのか、という理由を自分はもとより周囲にもうまく説明できない。個体の素晴らしさ以前のこの問題がなかなか売れない理由ではないだろうか。
そう、そんなことを無視すれば、カナダ靴はそもそも素晴らしいし、この個体も他にはない特徴がある。
明るめの茶のシボ側のロングウイングスタイル。古臭いといえばそれまでですが、ビン靴好きには馴染みのスタイル。と思いきや、これは、イ、イ、・・・。
よおく見ますと、実際には切り返しはありません。
要はこれ、プレーンなアッパーにウイングチップのようなステッチとパーフォレーションとメダリオンを施した「イミテーション」です。なんでそんな手間を、と同時に、普通にパーツを縫いつなぐ方が作業も簡単なのではないか。
コメント欄はそれなりにやり取りがあったようですが購入には至ってない模様。理由は分かりませんが、ひょっとしたらサイズでしょうかね。「8.5」とのことですが印字部分の写真がないしアウトソール全長も記載がない。特に、カナダ靴は米国靴とサイズの表記方法が異なります。USで「8.5D」はカナダ靴だと「D8.5」となる。このあたりのことが写真にも説明にも皆無で、本当に8.5なのは分からないしウイズも分からない。
ただ、それでもこんな素敵なやつが送料込みで7500円というのは、どう考えても安いと思うのですが、まあ、人気の有無というのはどうにもなりません。チノパンやジャケパンスタイルに合いそうなこいつ。木枯らしの季節がとても似合いそうです。秋になってもまだ売れずにいたら、で、ほんとにサイズが8.5でウイズがC以上であるなら、こいつは我が家に迎え入れることを真剣に検討すべきかもしれないな。
【4足目】
https://jp.mercari.com/item/m61145968711
最後はジャパンビンテージ。こいつは2週間ほど前に見かけたものですが、その後ずっと気になってるやつです。
ブランドはムッシュニコル。
ブランド全盛期の1980s後半~1990s前半頃のペアではないかと勝手に推察しております。今も現役のブランドですが、DCブランド全盛期の頃はその中でも群を抜いてカッコよくてお値段も高くて、当時二十歳前後の私にはなかな手が届かなかった、それがニコルというブランドです。
アウトソールにステッチ2本。製法はどうなっている?ブレイクラピッドでしょうか? で、セラー曰く「サイズ感は25-26」とのことですが、ようよう見てみますとアウトソールには「25」の刻印。うーん、どうでしょう、25.5ならいけなくもないかも。25は素足でも流石にきついか。
でも、気になる。何がって、
このスタイル。当時の日本製かと思うのですが、もうね、まさに「アメリカンビンテージ」です!
フローシャイムでは1940s頃のこのスタイル。この手の靴がモチーフなのでしょうね。1990年頃に半世紀前を懐かしんだノスタルジア、みたいな。あ、勝手な推測です。
私、1997年から2009年まで東京におりました。で、2000年頃だったかと思うのですが、半年ほど仕事でニコルさん本社によくお邪魔しておりました。創業者である松田光弘さんともお目にかかれましたがやはりカッコよかった。
白髪にサングラス。白いTシャツに黒いパンツ。手首の真っ赤なゴムバンドみたいなあれはなんだったのだろう。残念ながら足元は全く記憶にないのですが、この靴がばっちり似合いそうなイメージです。
当時すでに社長を退かれた後でしたが、名刺交換させて頂けたりミーティングをオブザーブされるなどその後も何度かお目にかかれたり。そんなこともあって、このブランドには今も憧憬の念を抱いている私です。
そんなニコルの、1940sへのオマージュ。
マイサイズなら即ぽちっといくところなのにな。まあ、マイサイズでなくとも送料込み4800円だし、買っちゃってもいいんでしょうけど、靴は履いてなんぼです。履けないとつらい。
こいつ、スタイルがスタイルです、今どきではないし、若い人は買わないんでしょうね。とはいえ私も、もし履けたとしても何にどう合わせるべきか想像つかないのですが、そんな癖のあるやつにこそ惹かれてしまうこの気持ち、お判りいただけるのではないしょうか。
こいつは多分買わないかも。けれども、この後どうなるかは経過観察です。4千円を切ったりしたら買っちゃうかも。まあ、それはそれでまた良しです。
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てなことで、
初回の今回は4足、私の内なる声とともにご紹介いたしました。まあ何と言いますか、フツーの人はスルーするようなペアばかりかもしれないですね。まあね、中古とはいえ百足以上持ってますと普通の靴では飽き足らなくなるものです。ですが、見方によっては「おおなるほど」となることもある、かも。ない、かも。
で、4足は少し多いな。最初は5足くらい必要かななんて思ってたのですが、いやいやどうしてどうして、詳細に記事を書くのは思いのほか大変です。記事の文字量を減らして代わりに更新頻度を上げたはずなのに、本記事もすでに4000字を超えました。もうね、靴のことになると言葉が尽きません。
次回からは3足ずつ、こんな感じで、気になるやつとその理由を私なりの目線でご紹介していこうと思います。
ビン靴を買いたくなるような記事で、ビン靴好きを増やしたい。仲間が増えると嬉しいな。増えますように。でもって、
私のペアももっと売れますように。
(おしまい)