こんにちは、ばしです。
今回は3月の1足目のご紹介です。
実のところ、2月の振り返りもまだ。それどころか2月買ったペアのメンテもまだ全部終えていないのですが、まあ、拙ブログではよくあることです。今回のペアは2月後半にメルカリで発見したのですが、「2月はもうこれ以上は買えない」ということでじっと我慢しておったのでした。
「頼むから売れずにいてくれよ~」と祈りながら待つこと約10日。祈りの通じた月末にぽちっと。ほっと一安心です。で、一昨日、日曜の朝に届きまして、嬉しくて午後から早速メンテしましたのでご紹介です。
こいつ。
nil admirari
「ニルアドミラリ」
というらしい。このロゴのペアを以前セカストで一、二度見かけたことがあったのですが、どこの何者かは知らんがちゃんとした造りの割といい靴だな、との印象でした。
初見のメイカーなわけですが、今回あらためて調べてみましてブランド紹介のサイトに行き当たりました(こちら)。曰く、東京の靴メーカー「ハーモニープロダクツ」さんが展開するメンズシューズブランドらしい。ネーミングはラテン語で「何事にも驚かないこと、無感動」という意味だそうです。
ただ、あらためて「ハーモニープロダクツ」さんのホームページを見てみますと、自社ブランドはレディスのみになっている。「ニルアドミラリ」はもう存在しないのでしょうか?あるいは他の扱いになっている?詳しいことは分からない。
そこのマイサイズのをメルカリで発見。
6穴の外羽根PTBの爪先に特徴的なメダリオンが施されています。
写真で見ていても老健そうな造りです。この造作で3000円というのはお買い得っぽい印象であったわけですが、別にここの靴が欲しかったわけでもなく、この手の靴を探していた訳でもない。なのに、どうしても手に入れてみたくなった、その訳は何かといいますと、
これ。
ソールに釘!!!!!!!!!!
10本打たれてます!デザイナーは鈴木武雄氏という方だそうですが、ビンテージ好きな方なのでしょうか?詳しいことはよくわかりませんが、兎にも角にもビン靴フリークの心を揺さぶる仕様であります。
この釘ソールのペアの実物を見てみたい、履いてみたい、ということでゲットした次第です。なのですが、届いてみたら釘以外にも、事前の写真情報では分からなかった嬉しい魅力が色々と。
まずはこれ。
ソールが分厚い!!
12~13ミリの厚さがあります。レザーソールは厚手が好みな私です。ダブルソール、プラスアルファの厚みです。まさにそんな分厚さです。
加えて、ストームウエルトがギザギザです。そんなノコギリの刃のようなウエルトが、
踵までぐるりと360度。ギザギザのダブルウエルトです。こんな仕様見たことないです。嬉しい仕様が満載なわけですが、踵履き口の処理も丁寧になされていて造りもしっかりしてそうで好感が持てます。
ライナーはつま先までレザーライナー。
軽く履かれたようですがフットプリントはそれほどでもなくへたりもなし。
サイズ表記は41とマイサイズ。
で、「MADE IN VIETNAM」との刻印が。ベトナム製の革靴ってこれまで記憶にありませんが、見た限りかなり造りもよさそうです。メルカリでここの中古がぱらぱらと出品されてるのですが、「新品を4万円前後で買った」という情報が多いようです。結構いい値しますが、まあ、安物な造りではないのでそんなもんかな、と。
ただ、ここの靴全てがこの仕様ではないらしい。ブーツやカジュアル気味なやつなど色々あって日本製のもあるようですが、見た限りでは釘打ち仕様のものはこのベトナム製のダービーシューズだけのようです。
で、今回は嬉しいことにそんなやつが3000円のところ2400円にお値引き頂けました。おお、こりゃユーズドとはいえかなりなお買い得だったかも。
よし、早速履き下ろしたい。
ということで、儀式です。
いつも通りまずは左足から。
ステインリムーバー
少し汚れてましたがワックスはなし。
多少乾燥気味ではある。
LEXOL
ギザギザウエルト周りは歯ブラシで。
アッパーは布にとってしっかりと。
デリケートクリームもどき
しっかりと吸い込みます。
だいぶ濃茶になりました。
リッチモイスチャー
もちもちになるやつ投入。
コバ回りにもしっかり塗りこみました。
TAPIR レダーオイル
油分補給&保革。
最近の革靴って、こんな風にいろいろ手を入れられることってあまりないんでしょうね。特段高級ではないもののいい感じになりそう、いい感じで育ちそうなアッパーです。
さて、オイル入れましたので気休めですがしばし浸透。その間にソール周り。
いつもの要領で色々入れました。
レザーソールリキッド。
ついでトラディショナルワックス。
でしっかりと磨く。
おお、いいねえ。
積み重なった層のグラデーションが綺麗っぽいです。コバインクは色がのっぺりとした仕上がりになりますので今回は塗るのはやめとこう。今回はコロニルのダークブラウンをしっかりと塗り込んで磨きました。
おお、まずまずいい感じ。
さて、仕上げです。
コロニル1909(ニュートラル)
ムショクのいつものクリームで仕上げ。
色を入れたらそれなりに染みそうです。
分厚いソールもアッパーも、育て甲斐のある茶靴かな、と。とりあえず初回メンテはニュートラルのクリームだけにしときます。それでこの色艶ですし、ワックスはなしで。
てなことで、右足も同じ手順で仕上げてメンテ完了です。
どんっ。
おお、いい感じかも。
ビフォーアフターでも確認。
【BEFORE】
【AFTER】
引き締まりました。
【BEFORE】
【AFTER】
色艶もなかなか素敵です。
【BEFORE】
【AFTER】
見えない細部にこそ神は宿る、はず。
キスできるほどに磨いたった笑。
ソールとコバ回りばかり褒めておりますが、
ボリューミーなフォルムも素敵です。
分厚いソールにギザウエルト。
それに負けないぽっこりトゥ。
大変素敵なバランスではないかな。
お尻もぽっこり素敵です。お尻の形の良い靴は、トータルで良い靴であることが多い印象です。
何がモチーフか分かりませんが、メダリオンのデザインも素敵で気に入りました。
カジュアルになりそうな色とデザインですが、5穴でなく6穴なことがカジュアル過ぎない理由ではないか。ジャケパンスタイルの足元に程よく収まってくれそうです。
昨日さっそく履き下ろしてみました。
甲はそれほど高くはない。
Dウイズくらいな感じでしょうか。私にはちょうどです。爪先周りはゆとり有りで、足指が靴の中で動かせるほどの余裕です。
件の分厚いソール。厚い割にはそれほど硬くはありません。ただ、特段柔らかいわけでもない。履きならす必要がありそうですが、安心感は抜群で、忍者にマキビシ撒かれてもへっちゃらそうな頑丈さ加減は感じます。
ギザギザウエルトがチャームポイントなわけですが、遠目ではあまり分かりません笑。で、写真の通り、積み上げた踵は後ろ側が少し高めです。履いて歩いて違和感はありませんが、いつもの靴とは少し異なる歩き心地です。
茶のアッパーの革質は可もなく不可もなく、といった感じでしょうか。メンテから丸1日経ち、茶の色目が少し明るくなりました。シンプルなスタイルでポッコリしたフォルムだけに、茶の色目が薄すぎるとカジュアル過ぎるかもしれない。
再度、日曜のメンテ直後。
うん、いい感じです。
やはり茶の色目は少し濃いめ、このくらいの方が好みかも。トゥのあたりを重点的にダークブラウンか黒など入れて表情を変化させてみよう。茶靴ゆえの楽しみです。育て方によって、ドレスからカジュアルまで、いろんなスタイルに合わせられそうです。
今回のニルアドミラリ、初見のブランドだったわけですが、あまり聞いたことのないブランドでも頑張ってるものも少なくない。これもそのうちの一つ、ではないか、そんな風に感じた次第です。
よし、こいつは少し育ててみよう。まずは分厚いソールに私のフットプリントがつくまで、週イチで登板です。ちょうど「毎日違うタイクツ」中なわけですが、先日「ネクタイの数>靴の数」なことが発覚したところです。差分をこいつで補おう。当面は毎週月曜日が出番です。
ヘビーイーローテーション♬
(おしまい)