こんにちは、ばしです。
いやあ、参りましたね。
1ドル150円!ですって。
ビン靴は当面海外からは買えないな。
ま、しょうがないです。円安は日本にとっていいことも沢山あるわけですし。私も当面は国内回帰でいこう。古靴漁りは近場とメルカリをメインとすることにします。送料も安上がりだし、エコノミーに行きたいな。
そんな10月なのですが、
実は1足目は海外から到着したのでした。
ようやくメンテしました。
御披露目です。
こいつ。
Nunn Bush ankle fashioned Custom Grade
2足目のナンブッシュです。
マイファースト・アンクルファッションです。
箱に入って届いたので「おお、箱付きか!?」とびっくりしたのですが、なんの関係もない靴箱でした。ええい、まぎらわしい笑。
ですが、箱の中身は大変すばらしい。
モカ縫いのウイングチップが特徴的なビンテージです。ネットで検索しましたところ同じスタイルのペアいくつかにヒット。それらによりますと、「Custom Autograph」というラインのペアと思われます。インスタでもそのようにご紹介してたのですが、あらためて確認してみたら、すみません、違ったみたいです。
うっすらとで見えづらくてすみません。今回のは「CUSTOM GRADE」のようです。「Custom Autograph」との違いはよく分かりません。まあ、どちらも年代的にも近そうだし、アッパーラインであることも同じみたいです。
ナンブッシュの「CUSTOM GRADE」がいつ頃のペアなのか、詳細な年代判別法はよく知らないのですが、おおむね1950s~60sあたりらしいです。米国のビン靴蒐集家デビッドさんがブログ「vcleat.com」で1954年のカタログを掲載されてます(参考記事こちら)。
こんな表紙らしい。
おお、なんか雰囲気ありますね。
画像拝借させて頂きました。
中面はこんな感じ。
素敵なペアが品番とともに紹介されております。全48ページ、あらためてくまなく目を通させて頂いたのですが、残念ながらブラインドブローグのペアの掲載ありませんでした。どうやら今回の私のペアはこのカタログ作成以降、1950s後半~1960s頃のペアのようです。
・・・と思ったのですが、すみません、違ったみたいです。
「カタログになくとも、古い広告に同じスタイルのペアがあるかも」とネットサーフィンしておりましたところ、昨夜、新たな事実を発見しました。ビン靴ブログの大先輩であるTomojin329 blogさんの記事「NUNN-BUSHのロゴ考察」に遭遇。
以下、スクショ拝借させて頂きます。
Tomojinさんによりますと、今回のペアと同じ、真ん中の筆記体のロゴは「1948年~1950年代初頭」だそう。
おお!まさに同じ筆記体ロゴです。
確かに、デビッドさんのカタログが1954年ですので、1950年初頭までの製造ならば掲載がないのも辻褄が合います。CUSTOM GRADEが1950s~60sということは、このぺアは1950s初頭の製造、おおよそ70年前のペア、ということになります。
おお、思いがけず、どえらいペアを入手してしまったかもしれないっ。
そんな「ど・ビンテージ」なペア、今回はebayで購入しました。
エコノミーに行きたい、なんていいながらええの買ってますな。などと思うなかれ。こいつ、靴代そのものはなんと20ドル!!でした笑。送料が36ドルと靴の約2倍かかりましたが、トータルでも8000円ちょっとです。激安です。右から左に転がしただけで恐らく儲けがでそうです。売らないけど。
円安だから皆買わないのかな? そもそも日本人はこのところebay見てないとか笑。 アメリカ国内も不景気なようですし、あちらの方々もビン靴買ってる場合ではないのでしょうか。まあ、いずれにせよラッキーでした。
で、さらにラッキーなことに、
少しピンボケですが、「8 1/2 C」です。8Dの私には程よい感じと思われます。まあね、マイサイズっぽいから買ったんですけどね。
ところで、そのサイズ表記の横に「965」とあります。1965年9月かとも思いましたが、どうやら品番のようです。
とても古いペアの割に、状態は全体的にとてもいいです。ダメージもほとんどないし、ビン靴なディテール満載です。さくっとご紹介です。
まずはあらためて、
サイドビューから全体像の確認。
分厚いシボ革のアッパー。トゥにシボ感がないのはなぜでしょう。ごしごしと磨いたら平らになったのかな。で、見ての通り、レザーソールに釘打ちヒールです。
Vクリートは外付け。1960sぽいですね。オリジナルなのでしょうか。Vクリートや釘打ちヒールは滑って危険、との声も多いですが、私は大変好きな仕様です。まあ、好き嫌いというよりは実用面ですかね。最近ずっと車通勤なんで、あまり気にならない私です。
タン裏はレザー。で、特徴的なのがソックシート下のスポンジです。
ギザギザです。なぜそうなのかは分かりませんが、ギザギザです。
角度を変えてもギザギザ。当たり前か。 調べてみたところ、カスタムグレードのソックシートの写真ごくごく僅かなんですよね。で、似たようなのは見当たらない。このギザギザのスポンジ仕様は1950s初頭頃までの仕様、ということなのでしょうか。兎にも角にもこんな仕様は初めて見ました。他にもあったんでしょうかね。調べてみよう。調べてみました。
ありました。
おお!ギザギザです。
筆記体です!!
こちらのペアの写真は、我が敬愛する青山店長の「古着屋ガレージセールブログ」より拝借させて頂きました。
フローシャイムのVIKINGのようなこのペアは、1940~50sの「AUTOGRAPH」ラインのペアとのこと。これで年代は確定ですね。
おまけ。
爪先側前方のライニングは穴あき仕様です。フリーマンのペアでこういうの見かけたことあります。通気性の向上、ということなんですかね。結構古くからある仕様なんですね。気持ちは大変ありがたいのですが、効果あるのかな。
そんなディテールのナンブッシュ。
古いやつなんで、きちんと手を入れましょう。念のため保湿もしっかり行いますので、左右同時で進めていきます。紐を抜いて、ブラッシングしたら、いつもの手順で。
ステインリムーバー
ワックスはそれなりに塗り込まれていたようです。
剥がしたらマットな感じに。
LEXOL
コバ周りもしっかりと。アッパーもしっかりと。
キズもクラックもなし。状態は悪くない。きちんと手入れしてもらっていたんだと思われます。
グリセリン保湿
あ、ミイラ男が2人。実はこの日、もう1足同時でメンテしておりました。
奥がナンブッシュ。手前は奈良巡りで拾ってきたフローシャイムです。こちらも近々詳細ご紹介予定です。
さて、本日の作業はここまで。
10月半ばの日曜の西の空。
少し寂しげでありながらも素敵な雰囲気でした。
鉄塔のシルエットがいとおかし。
☆★☆★☆
さて、翌々日の火曜日夜。追加作業です。
タピールで油分補給。週末に仕上げる予定ですので、早めに入れて乾燥させておこうとの算段です。
左足に入れてみました。いい塩梅です。右足にも塗り込み、週末までおやすみなさい。
一昨日の日曜日。
もう、油分は全く感じられません。吸い込んだようです。な、上に、乾いた感じも少なからず。よし、仕上げていきましょう。
リッチモイスチャー
も一度保湿。
もっちりです。
さて、後はいつものコロニル入れてメンテ完了です。
【BEFORE】
【AFTER】
靴紐は新品の平紐に交換しました。トゥの光り方はイマイチです。ワックス入れてないんで。まあ、このままでいいです。
【BEFORE】
【AFTER】
ソールも磨きました。見えないところも丁寧に。神は細部に宿る。是非僕の財布にも宿ってくれたら嬉しいかな・・・。
【BEFORE】
【AFTER】
羽根の縁取り、3連ステッチのようです。補強された付け根部分の造作が質実剛健な感じでよろしい。お世辞にも綺麗とはいえませんが、実用性重視な「ギヤ」「道具」な雰囲気で好みです。
シングルソールですがとてもしっかりしてます。このあたり、まさにビンテージといった感じです。
ヒールカップ。外側がかなり低く傾いてます。大変グラマラスです。大変よろしいです。
BLIND BLOGUE。
またの名をAUSTERITY BLOGUE。
これで3足になりました。
並べて記念撮影です。
左は名もなきジャパン・ビンテージ。
右はHANKYU-UMEDA。
日本製の古いやつでサンドイッチしてみました。
ブラインドブローグといっても三者三様ですが、考えてみますと外羽根のブラインドブローグってあまり見ないですね。このモカ縫いのステッチをカカト方面まで伸ばすのはしんどそうです。それもあって外羽根?
ま、そんなことはないでしょうが、
いずれにせよ、
なかなかに技ありの凝った意匠であることは間違いないですね。
今まで見たことない切り返しです。今後も似たようなのに出会う可能性は低そうです。
最後に、
あらためて全景。
70年の時を経て、日本へ、私の足元へたどり着いたNUNN BUSH。
早速にサイズ確認してみましたところ、Cウイズですがそれほど細身ではない。普通に8.5Dくらいのサイズ感でした。薄手の中敷き1枚INしてちょうど良さそうな感じです。
こいつ、
履き下ろすのに若干勇気が必要ですが、
靴は履いてなんぼです。
で、スーツよりジャケパンが似合いそうです。
シャツ&ネクタイはどの組み合わせいいかな。
あれかこれかそれか、しばし検討してみよう。
それもまた、楽しいひととき。
(おしまい)