こんにちは、ばしです。
ひと月ほど前のことです。
海外サイトでチェックしてたペアがいきなり50%オフに。それも複数のセラーで何足も。世界的に景気がよくないんでしょうかね。あるいは、皆、お金を払ってまで中古靴を買いたくはない?
お金を払ってまで中古靴を買いたい私ですが、海外からは送料も高いし、よほどお買い得でないと、ね。そんな私にとって「半額」はかなり魅力的です。お買い得さ加減に思わずぽちっ、とな。
こいつ。
NUNN BUSH ANKLE FASHIONED
FLEXIBLE FETHERWATE
ナンブッシュのペアです。
シミはありますが、とても綺麗なフォルムのヴァンプローファーです。
送料込みで40ドルちょっと。このくらいの値段なら、海外からでも気兼ねなく買えます。
「ANKLE FASHIONED」ラインの、
「FLEXIBLE FETHERWATE」仕様のヴァンプローファー。
アウトソールの返りの良さと軽さが特長のペアらしい。
いや、そんなことより、このフォルム。
大変綺麗です。
口が「がばっ」と開きそう笑。
どんなふうに縫われているのでしょう。ラインに沿って小穴が並んでいます。顔を縫われた痕みたいです。君のニックネームは「フランケン」にしよう。
サイズは8D。マイサイズです。ほかの数字の意味はよく分かりませんが、このラインはおおむね1960s頃のもののようです。
大衆靴メイカーのナンブッシュ。
特段高級というわけではありませんが、1960sのペアのアッパーは往々にして上質です。くたびれた印象のこいつも、きちんと手入れすれば蘇る、はず。
がっつりメンテしましょう。
と、その前に。
ありゃりゃ。口、開いとるし。
そんな説明あったっけ??
50%オフとなった分は修理代に消えそうです。
ほんともう開いた口が塞がりません。
まあ、それでもお買い得なやつなので、
そんなに腹が立たない私です。
さて、いつも通りいきましょう。
ステインリムーバー
両足いっぺんに進めてます。
爪先のシミが結構すごいです。
LEXOL
水分を結構吸い込みます。
ゴールデンハーベストっぽい色目は乾いてるせいなのかも。当初よりは色濃く仕上がりそうです。まあ、ビン靴あるあるですな。
レノマット
シミがすごいので、強烈リムーバーを投入。
色落ちしやすいのでガシガシやるのは禁物です。軽く撫でるように。
あんまりきれいになりません。
爪先以外はいい感じです。
とりあえずこのまま進めましょう。
グリセリン保湿
がっつり保湿です。
ぐんぐん吸い込むので、結局翌日までこのまま放置しました。
さて、24時間後。
うん、いい感じです。
爪先以外は。
まあ、メンテ途中のことですし、気にしない、気にしない。
さて、オイル入れましょう。
TAPIR レダーオイル
全体的にしっかりと、
2度塗りしました。
このまま3日放置したのち、追いオイルです。
クリストフポーニー レザーセラム
オイルです。
ギトギトです。
でも、爪先は・・・。
この後、爪先にだけ追いセラムしました。
先週金曜日夜のお話です。
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さて、36時間後。
一昨日、日曜日の午後。
しっとりしました。水分補給に油分補給はこれ以上は必要ないでしょう。
手触りがすべすべなのは、もともとのポテンシャルかと。
爪先は・・・、まあ、しょうがない。
別角度から。
形はきれいに整いました。
仕上げていきましょう。
まずはソールから。
赤文字で「3R」。どんな意味かな。わからん。
いつものパレードグロスがなくなったので、トラディショナルワックス入れました。
コロニル・ニュートラルで仕上げ。これはいつも通り。
ソールもぴかぴかが好みです。
次いで、コバ回り。
粉拭いたみたく白くなってます。イケてません。
ブラッシングしたうえで、黒いクリームを入れて物理的に黒くしよう。
歯ブラシ使いました。
まあ、こんなもんで。
さて、アッパー、仕上げていきましょう。
コロニル1909(ムショク)
指にとって、
ぬりぬりと塗り込む。
全体的にしっかり塗り込みました。
このあとウエスで拭いてブラッシング。
どうだ!
おおっ、いい感じです。
爪先はなにか追加施術が必要そうですね。
とりあえず右も。
いい感じです(爪先以外は)♪
しゃあないですね。
爪先だけ補色しましょう。
コロニル1909(濃茶)
どうでしょう。
少しはマシ、かな。
でも、左の擦れ傷がどうにもこうにも気になります。この後、傷のあたりにビーズワックス(茶)を入れて、再度コロニル(ムショク)で仕上げました。
メンテ、完了!
【BEFORE】
【AFTER】
おお、いいかも。
【BEFORE】
【AFTER】
トゥの傷もだいぶ目立たなくなりました。
【BEFORE】
【AFTER】
いい感じです。
保湿&油分補給&ムショクのクリームでこの仕上がり。全体的に補色が必要かもと思ってましたが、不要でした。やはりアッパーの革質が素晴らしいんだと思います。
色目はだいぶ濃くなりました。オイル入れた分、濃さは増してはいるでしょうが、元の色目はビフォーほどは薄くはなかったのではないかな。
今回、レダーオイル2度塗り+セラム入れましたが、ぐんぐん吸って吸って、吸いまくりです。アブラギッシュでギトギトなのは最初だけで、丸1日経てばすべすべになりました。
ビン靴は履き口のダメージ回避の意味から水分補給は欠かせないわけですが、このくらい旧いビンテージは、想像以上にアッパーから油分が抜けてしまっているのかも。思ってる以上に油分補給が重要なのかもしれないな。
最近また旧いビンテージをちょこちょこ弄ってますが、あらためてそんな風に思う次第です。
さて、サイズ感の確認です。
なのですが、左足ソールにダメージあります。
プロに修理してもらおう。
とりあえず右足だけ入れてみました。
ベリーベリーいい感じです。
素足でジャスト。履き口はゆるみが一切なし。とてもしっかりフィットしてます。爪先周りは幅も長さも適度にゆとりあり。ですが、緩いというわけではない。靴下履いても履けなくもなさそうですが、そもそもローファーは素足で履くのが好みです。
申し分ないサイズ感です。
爪先の擦れ傷も気にならないし、
何より色艶が素晴らしいです。
1960sのペアは、手をかけた分だけ応えてくれます。
磨きのスキルなどは不要です。必要な手順を踏みさえすれば、誰がやってもおおむね同じようには仕上がります。自分が凄腕のシューシャイナーになったような気分になれます。まあ、腕ではなく、靴のおかげなんですけどね笑。
ですが、これぞまさにビン靴メンテの醍醐味です。
今日はバレンタインデー。
まだ2月も半ばではありますが、
立春以降、日ごとに暖かくなってきてます。
春もそう遠くはなさそうです。
今月中には修理完了しとかねば。
準備万端整えて、春の到来を待ちましょう。
(おしまい)