こんにちは、ばしです。
相変わらず円が安いですね。
今週は136円台後半まで乗せました。世の中的には良い円安と悪い円安があるようです。今回のがどちらなのかはよく分かりませんが、海外から靴を買う人にとっては少々痛手な円安です。
1ドル=「100円」だったのが「130円」になりますと、100ドル=「1万円」で買えていたものが「1万3千円」となります。差額の3千円はでかい。馬鹿にならないです。私の場合ですと、ツイてる時ならリユースショップでアンノウン扱いのビン靴が1足買えてしまうほどの額です。
嗚呼、これはもう厳しいね。折角の個人輸入のメリットが減ってしまった。当面は海外からは買いづらいな。などと思い始めた5月のある日のことです。
アメリカからミントなペアが届きました(←バカ)。
こいつ。
NUNNBUSH Wing-tip Tassel Loafers
ウイングタッセルのペア。
ナンブッシュです。意図していたわけではないのですが、思えばマイファーストNUNNBUSH。これまで、単に出会いがありませんでした。
初見ですので、さくっとブランド略歴をご紹介。
NUNNBUSH
ビンテージ靴好きには馴染みのある米国メイカーのナンブッシュ。流通量もそれなりにあるようです。アメリカのビン靴蒐集家のDAVIDさんによりますと、
”Founded in 1912 in Milwaukee WI. Purchased by Weyenberg in August 1967”
とのこと。1912年創業ですので、「老舗」というほど古くはない。で、創業から半世紀後の1967年にはウエインバーグ傘下に。WEBショップさんなどを拝見しておりますと、ナンブッシュの靴でハイクオリティとされているのが1950年代や60年代のもののようです。時代背景もあるのでしょうが、自力で靴づくりをしていた時期のものの方が本来のナンブッシュ・クオリティ、ということみたいです。
NUNNBUSHの年代判別方法には詳しくありませんが、
茶色に白文字の小窓の今回のペア、どうやら1980sのペアのようです。この年代のペアは「高級靴」ではなく「大衆靴」の範疇のクオリティのようです。
そんな「大衆靴のナンブッシュ」をなぜこの円安な時期に購入したのかといいますと、
ミントコンディション!です!
デッドではありません。ソール中央あたりに砂利を踏んだような跡がありますので、履かれたことは確かです。
とはいえ、せいぜい1、2度程度でしょう。
オリジナルなトップリフトの削れもほぼ皆無。ソールもヒールも中敷きも、ロゴの擦れはほぼなし、です。
で、そんなペアがなんと!送料別15ドル!です!
1ドル100円が130円になったとはいえ、円安による負担増はわずか450円。というか、為替に関わりなく、マイサイズのミントなペアが15ドル+送料。トータルでも6000円ちょっと。これは、買い、でしょう。こういう掘り出し物があるから毎日のネットサーフィンは欠かせない。
マイサイズの8D。
とはいえ、スリッポンのサイズ感はなかなか難しい。ローファーは素足で履くことが多いですし、7.5Dでも履けるペアは沢山あります。今回の8D、ひょっとしたら大きいかも。ま、そのときは転がそう。ミントなペアだし、儲けはなくとも損はしないでしょう。
さてさて、サイズ感はどうなのか。
サイズ表記8Dの割には、なんだか少し細身に感じられて不安になります。
Wの両サイドが踵まで伸びるロングウイングなスタイルがアメリカらしい。見る限り、甲はそれほど低いわけではなさそうです。
すぐにでも足を入れてサイズ感を確認したいところですが、あまり履かれていないビンテージです。履き口が裂けたらまずい。足入れはしっかり保湿した後で、というのが最近のマイルールです。
てなわけで、儀式です。まずは、
ステインリムーバー
まあ、ほぼデッドに近いペアで、ワックスも汚れも何もなしです。
乾燥している感じでもないのですが、念のため。
グリセリン保湿
夕方になり、少し日が暮れてきました。さて、急いで右も。
タッセル部分もしっかりと覆いました。
グリセリン保湿って、この状態でどのくらい放置すればよいのか、未だによくわかってません。ただ、時間が足りなくて浸透度合いが均一でないと仕上がったときに色ムラになりかねない。それに、今回のペア、アッパーはガラスっぽいです。そもそも、浸透するのかどうかすら分かりません。まあ、いずれにせよ、時間は長めの方が良さそうです。
ということで、24時間放置しました。
【BEFORE】
【AFTER】
見た感じ、色目はそんなに変化はありません。が、甲のあたりの細かな皺が伸びたように思えます。触った感触も当初よりだいぶしなやかに、柔らかくなりました。「裂け」「ひび割れ」といった事故防止が目的です。問題はないでしょう。このあとシューツリー入れて、週末まで乾燥させました。
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見た目の変化は、、、どうでしょう。
左アップ。
タッセルがふんわり。
次いで、右。
あれ、閉じてます。どうやらこのタッセル、右だけ、先端がうっすらとつながったままみたいです。あとで切り離しましょう。
とりあえず、メンテ続き。
リッチモイスチャー
保湿は十分かと思いますが、念のため。
クリーム等のせいなのか、そもそもの色ムラなのか、よくわからない。
TAPIRレダーオイル
ぎらり。
ぬらり。
コロニル1909シュプリームクリームデラックス
いつもの手順で仕上げ。
うーん、よくわからない。右も仕上げました。
右のタッセルの先っぽ、切り離して左同様にばらしました。
【BEFORE】
【AFTER】
うーん、あんまりよくわかりません。
【BEFORE】
【AFTER】
よくわかりませんが、なんだか少ししっとりしたような。
ですが、もとからミントコンディションですし、見た目は変化なくても問題なし。履き口の破れ防止が目的です。十分保湿できたでしょうし、足入れてみましょう。
サイズ感は問題なしです。全長も長すぎず短かすぎず。幅が細すぎないかと心配でしたが、それも問題なさそうです。
アッパーが堅そうなのが心配でしたが、それも適度に柔らかくなりました。ただ、足入れ感は特段素晴らしい、というわけでもありません。なんといいますか、甲の上部、タッセルの上のベロの部分の内側あたり、ややひっかります。ライニングが縮んで端の部分が内側に軽くカールしているような感じ。
これは、グリセリン保湿の所為ではなく、届いた時点からそのような感じでした。まあ、なんというか、高級なペアはでなく、一般大衆的なクオリティかなと。ですが、悪いわけではない。特段素晴らしいわけではない、という意味です。ま、その方が気軽に履き下ろせるってもんです。
折角なんで、スリッポン・サークルで記念撮影。
全11足。
もう1足あれば時計のように12になるな、なんて思いましたが、よくよく見てみますと、あれれ、アレンのGRAYSONがありません。仲間外れは良くないな。ということで、後日再度記念撮影しました。
全12足。12時の方向から時計周りに、
【12時】Allen Edmonds Grayson
【1時】REGAL Imperial Grade
【2時】FREEMAN nos w/box
【3時】GUCCI Horsebit Loafers
【4時】Friedman
【5時】今回のNUNNBUSH
【6時】J&M for for Arnold’s Boot Shops
【7時】BARBICHE
【8時】REGAL East Coast Collection
【9時】J&M ARISTOCRAFT
【10時】LeeKee made in HONGKONG
【11時】FLORSHEIM
おお、なんか素敵です。
夏の週末に、素足で履くやつら。
たくさんあって嬉しい。
とはいえ、
そんなのばかり12足。
そんなのばかり、
もう、これ以上は要らないな。
たぶん。
(おしまい)