赤いオーストレッグのスリッポン

こんにちは、ばしです。

 

前回に続き今回もニューカマーのご紹介です。

先週木曜日のこと。セカストの雑多な靴コーナーで、これまで見たことのないようなアッパーのペアに遭遇しました。お値段はといいますと税別1900円と大変リーズナブル。そういえば、

「2千円以下は持ち帰る」

以前はそんなマイルールもありました。なのですが、古靴漁りは小休止中の身の私です。今回はスルー。一旦はそうしたものの、うーむ、どうにもこうにも気になる。

とりあえず写真をパシャリ。

で、自宅に帰ってから調べてみたところ、どうやら初見のエキゾチックレザーであることが判明。うーむ。今回はこのままやり過ごそうかあるいはそれとも・・・。散々悩んだ結果、「二度目の遭遇はいつになるのか」「そもそも二度目はあるのか」「後悔はしたくない」、との考えに至り、翌日あらためて救出に向かう。

道中、万一誰かに攫われていたらどうしよう。「どきどき7:ワクワク3」くらいな心持で入口から一直線に雑多な靴コーナーへ。おおっ、ちゃんと待ってくれておりました。いいやつです。

 

こんなやつ。

大きな鱗と小さな鱗。蛇ヘビのような、蜥蜴トカゲのような。蛇と蜥蜴が合体したような動物なんて心当たりがないな。甲部分が蛇で他が蜥蜴か。と思ったていたら、こいつ、

元はこんなだそうです。神戸市立王子動物園のXより写真拝借しました。これ、ダチョウの足だそうです。ちなみにダチョウの足は爪が2本なのだそうです。で、これが、

こうなるっ。

ぐおぅ、えぐいです。ハンドメイドマーケットプレイス・CREEMAさんの出品物より写真拝借しました。ええ、こんな爪が付いたままのが売ってるみたいです。ていうか、すでに売れたみたい。すごいです。王子動物園さんのダチョウ時代の足の写真に照らしますと、この黄色く着色されたこいつは左足のようです。

なるほど、確かにダチョウの足で間違いない。

手前側が少しばかり浮き上がってますので、靴に生まれ変わっても実際の足に向き通りに使用されているようです。

これって要はダチョウの足の革を剥いだ、ってことですよね。よくもまあ、そんなこと思いつきましたね。ですが、時速70kmで走る現存する世界最大の鳥類の足ですので、靴に仕立てる程度の大きさはあるということのようです。

甲部分はダチョウの足のデカイ鱗を使用。ほかの部分は細かな鱗の箇所を使用しているようです。ダチョウの足=オーストレッグの靴はググったらちらほらとヒットするのですが、甲革だけオーストレッグで、それ以外の部位は一般的なスムーズレザーを使用したモノが多いようです。

その点こいつはオール・オーストレッグです。おそらく靴職人さんも扱う機会の非常に少ないエキゾチックレザーだったでしょう。贅沢であると同時に製作には職人技も必要であったろうと思われます。

こいつ、どこのどんな腕のある職人さんが作ったのでしょう。

手掛かりは僅かです。まず、左足のソックシートには薄れた文字が見えます。

「Lily…」と読めますが、全体像は不明。

右足にも何か書いてある。先ほどのLilyの下段に小さめ文字で書いてあるようなのです。「MADE IN ***」とかかも。なんだけれどもこちらも読めず。唯一ちゃんと読める文字は2か所だけ。

その1。

甲の裏側に手書き文字が。「40145」とあります。こいつはどこぞの国の誂え靴、である可能性が高そうです。

センターエラスティックのゴムが少々伸びております。そしてその先にはフットプリント。フルソックであります。

少しばかり剥がしてみたら縫い目が。こいつ、マッケイ製法のようです。

アウトソールはレザー。とてもかっちりしています。見た目にもかなり上質なように思えるわけですが、縁に縫い目は見えません。

いや、よおく見てみるとうっすらと縫い目のような膨らみが。

こいつ、こんなに薄いシングルソールなのにヒデゥン仕上げのようです。おお、職人技です。どこの国の職人の手によるものなのか。

で、文字の類その2。

トップリフトに「Pt FINE」の文字。旧い日本製のペアで「FINE」の文字のあるトップリフトを見かけたことがあります。これも恐らく日本製かな。

総じて、

こいつは日本製の誂え靴と推察されます。しかしまあ、あれですね、「足から靴を作る」だなんてなかなかに洒落が利いてます。1羽から2枚。1羽から1足分。そゆの好きです。幸いにもマイサイズ、素足でちょうどなサイズ感です。時は春。すぐに素足な季節です。夏には履き下ろそうと思う。てなことで、早速メンテです。

いつも通りまずは左足から。

 

 

LEXOL&コバインク

ブラッシングの後、コバ周りを集中ケア。

まずまず。

 

TAPIR レダーオイル

オーストレッグは水を嫌うとのことなので、オイルで汚れ落とし&油分補給してみる。

汚れはそれなりに落ちた。ワックスの類はなさそう。ええ、この手の革にワックスはたぶん入れない。

サドル部分はこんな感じ。「仮面の忍者・赤影」みたい。こいつは赤影と呼ぼうかな。

油分を吸って色が濃くなりました。

 

 

コロニル1909(ムショク)

いつもの仕上げ用クリームを投入。

色は濃いまま。

鱗(大)はツヤツヤになった。忍者のように思えましたが、どちらかと言えば恐竜に近いな。ワイルドを通り越して狂暴な雰囲気でもある。こいつを履いたら足の速い狂暴な男に変身したりして。などとつまらぬことを考えながら、右足も同じ手順で弄ってメンテ完了であります。

 

【BEFORE】

【AFTER】

色濃く艶感も上がりました。

 

【BEFORE】

【AFTER】

一見すると爬虫類ですね。ダチョウの足だとすぐに判る人の方が少なそうです。

間近でみますと、サドル部分はトカゲ、甲はワニかカメ、他はヘビ、そんなような雰囲気です。

いずれにせよ、強そうな雰囲気であることに間違いはない。同じオーストリッチでも羽根後のブツブツ=クイルのあるオーストリッチレザーとは似てもいない、まったくもって非なるモノであります。

比べてみた。

右はMAXVERREマックスヴェッレ

イタ靴です。トゥとストラップを見れば誰もがダチョウだと分かるわけですが、この2足を並べてどちらもダチョウだとは思わないでしょうね。

例えるなら、左が九州で右が北海道。いや、例えになってないわけですが、きっと私の言いたいことはなんとなくご理解いただけるのではないかと。

こいつ、サイズは程よいのですが、薄いシングルソールのままでは履き心地がイマイチな上、そもそもが結構な甲高な造りです。クッション性の良い中敷きを入れて素足で履き下ろそうと思う。

こいつは「センターエラスティック」なペアであるわけですがですが、赤影のマスクのようなサドルのお陰でぱっと見にはローファーです。

真っ赤なエキゾチックは少し派手めで、仕事では履けない。ですが、夏場にカジュアル履きでなら違和感なく履けるのではないか。何にどう合わせたら良いでしょう。シンプルなのが良いかな。

夏までにじっくりと考えます。

 

(おしまい)

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