こんにちは、ばしです。
6月生まれの私。
今年も自分へのプレゼントを買いました。
ええ、お察しの通り、今年もビン靴です。で、1足だけのつもりが結局2足になってしまった笑。どちらもメンテナンスは未完了。どんなペアを買ったのか、ご紹介はメンテ後の来週か再来週くらいの予定です。
まあね、急いでメンテしてもこの梅雨空だとすぐに履き下せません。なんて言いながら、梅雨入りしてからあまり雨の降らない大阪。なんだけれども、「メンテは屋外でやる派」の私です。雨は降らずとも暑くて作業もなかなか進まない。
慌テルナヨ。
きっと、神様がそうおっしゃっておられるのでしょう。
ハイ、承知イタシマシタ。
などと思い始めた矢先のことです。そんな思いをより強くする奴に出会ってしまう私なのでした。梅雨どころか、夏が終わるまで履けないやつ。あ、これは3足目のプレゼントではありません。いつもの通常モードなやつです。
週末にメンテしました。
こいつ。
PATRICK COX スエードチャッカ
スエードのキルティング仕様のアッパー。どでかい鳩目の1穴。とてもとても個性的なペアです。ですが、一見すると奇を衒(てら)ったかのように思える意匠とは裏腹に、造りはとても本格的でかつ丁寧です。
分厚いダブルソール。
ハーフラバーが貼られていますが、アウトソールにはグッドイヤーの出し縫い糸。
英国ライクな造りです。
内側。
爪先までオールレザーなライニング。何の革か分かりませんが、とても肌触りがよい。
そして、分厚いアッパー。通常のアッパーの上にさらにレザーを被せて、キルティングライクなステッチを施して一体化させた分厚いアッパーです。単なる意匠というだけでなく、冬場はとても暖かそう。実用的な造りに思えます。
いつものリユースショップで見かけたこいつ。
「ちょっと個性的な昔の古靴」
と切って捨てるにはあまりに手が込んでます。スエードの革質も厚く滑らかで、所謂、バブルの頃に国内で流通した類のペアと思われます。高級品が売れた時代に手をかけて作られたと思しきペアが僅か2千円。
これは私向けだな。で、逃したらもう二度とお目にかかれなそう。てなことで、いつものごとく拾ってきた次第です。
PATRICK COX パトリックコックス
初登場のパトリックコックス。ユリの紋章のついた財布などの小物はよく見かけます。で、たまに見かける靴はなんとなく安っぽい工業品のイメージです。日本では靴よりも鞄や雑貨などがメインなのでしょうか。ショップは全国にパラパラあるみたい。
あらためてこんなブランドだそう。
☆
1963年 パトリック・コックス氏、カナダに生まれる。
1983年 イギリスのコードウェイナーズカレッジに入学。
1984年 在学中にヴィヴィアン ウエストウッドの靴デザインを手掛ける。
1985年 自身のブランド「PATRICK COX」を創立。
1986年 コレクションを発表。
1991年 初のショップをロンドンにオープン。
1994年 パリ店オープン。
同 年 英国ファッション協会よりAccessory Designer of the Yearを受賞。
1995年 パリ2号店、ロンドン2号店、ニューヨーク1号店をオープン。
同 年 2年連続2度目のAccessory Designer of the Yearを受賞。
1998年 オフィスと生産の拠点をイギリスからイタリアへ移す。
2009年 東京・青山に世界初となるニューコンセプトショップをオープン。
2011年 同店閉店。
☆
日本においては、1996年に伊勢丹が10年間のライセンス契約を締結。これにより全国に40以上のショップがオープンし、プレタポルテ、バッグ、ジュエリー、時計など、ライセンスを受けた日本の製品が幅広く流通したらしい。現在の契約関係は分かりませんが、今現在も日本で流通している「パトリックコックス」の店舗や靴は、本家とは関係のない、ライセンス生産されているもののようです。ま、よくある話です。
2011年以降の状況ですが、
英語版のWIKIによりますと、商業的に成功した同ブランドは1990年代後半以降、ライセンスビジネスで世界的な広がりをみせる中、当のご本人はといいますと、2010年にはロンドンにパティスリーをオープンするなど、本業からは少し遠ざかっていたようです。その後、2016年にロンドンで靴と革製品のコレクション「LATHBRIDGE BY PATRICK COX」を発表。本職である靴デザイナーとして、ファッション業界での活動を本格的に再開されたとのこと。
今回私が拾ってきたペア。1990年頃の品だとすると、同氏が若かりし頃の全盛期のものなのかもしれない。と思っていたら、年代が特定できました。
インスタにアップしましたところ、なんと!
同氏よりコメントを頂きました!
Wow- haven’t seen these in ages! They’re from 1987/88. 👞 🔥
おお!これはかなり嬉しい!光栄です!
1963年生まれの同氏、私の6歳年上です。来年還暦を迎えるご本人にとってもかなり懐かしいご様子のこのペアは、「1987~88年」、おおよそ35年ほど前のペアだそうです。
年代的に、同ブランドがメキメキと頭角を現し、一気にメジャーへの階段を駆け昇っていた、一番勢いがあった時期の品、といえそうですね。表記はありませんでしたが、恐らく英国のどこかのファクトリーによるペアかと思われます。概ね、見立てに間違いはなかったようです。
今回も素敵な品を格安で手に入れてしまった私です。
手に入れたはいいものの、さてさて、足はちゃんと入るのでしょうか。
このペア、サイズ表記は・・・、
41です。US7.5-8?25.5-26?
うーん、なかなかに微妙です。入るかな。で、ビン靴ではありますが、保管状態はとても良かったみたいで、乾きの類もカビくささも全くなし。アッパーはとてもしなやかで柔らかです。足を入れてみました。
おお、きついです。タイトです。
とはいえ、履いたらタイト、というよりは、甲が低めのブーツゆえか、足入れが非常にしづらい。まあね、履いてもタイトではあるのですが、程度はそれほどでもありません。これは自分で履くしかありません。
履こう。履いてやる。履きたい。
てなことで、メンテです。
ブラッシング
先日スエード用のブラシを購入しましましたので、こいつでしっかり汚れ落とし。
デリケートクリームもどき
100均のこいつ。スエードですし、状態問題ないですので、アッパーには使いません。履き口が少しばかり窮屈なので、ストレッチしてみようと思います。
ちょうどこのこの縦と横のラインが交差するあたりがとてもタイトです。
内側にデリケートクリームもどきをたっぷりと塗り込んで湿らせたら、
タイトめサイズのツリーにさらに厚手の靴下を履かせてINです。
少しは伸びるでしょう。少し伸びたらストレスなく履けそう。
日焼けした面長のムーミントロール、といった印象です。なんか笑えます。
ところで、お気づきの通り、キルティングのステッチの位置が左右で完璧にシンメトリーです。こういった細かなところに、こだわりと手のかかった加減が窺えますね。こういうの大好きです。
さて、翌日午後。
まあね、見た目は変わりません。
変わらない?よくわからない。
一応、ツリー抜いて確認しておこう。ビフォーアフター。
【BEFORE】
【AFTER】
うーん、どうなのだろう。
うーん、見た目にはさっぱりわかりません。
足を入れて確認してみましょう。
おお、いいです、分厚い。柔らかい。包み込むようです。前より少し着脱がしやすくなりました。少しは伸びたようです。
ちょうど紐の当たりの甲周りが、紐がなくても脱げないくらいタイトフィットです。ちなみに、紐はオリジナルかどうか分かりませんが、凄く似合っていると思います。このままで行こう。
タイトではありますが痛いとか、窮屈過ぎるといったことはありません。収まりはよいかと。
ただ、フットスタンプ(前の持ち主の履いた跡)はやはり私より小さめサイズです。特段気になるほどではありませんが、25.5センチくらいの方が履いていたいたようです。まあ、26センチの私には小さい、ということでもない。トゥがラウンド気味で幅広めなので、爪先周りは若干の余裕があるくらいです。普通に履けてしまいます。
スクエア気味に見えもしますが、それほど四角くはありません。切り返しのステッチの所為、目の錯覚でよりスクエアに見えるかも。
角度を変えますと、こんな感じ、しっかりぽっこりしてます。薄手の靴下履いて、履きながらサイズ調整しよう。プラスアルファ伸びたら、ジャストサイズになりそうです。
なんかもうね、あれこれ眺めていたら愛着湧いてきました。トゥ周りもなんか笑ってるみたいで愛嬌あります。相当に気に入りました。「いつもの通常モードのペア」のはずだったのですが、いつの間にやら、自分への3足目の誕生日プレゼントと相成りました。
うーん、いいですね。やはりとても良いです。
こいつみたいに個性的なペアって、ともすれば眺めるだで手に取ってすらもらえず、足を入れてもらえないままにスルーされてしまうことも多そうです。ですが、見ると履くでは印象が大きく異なることもしばしばです。足を入れてみるとあら意外、どんな格好にも合わせやすそう。一見アバンギャルドに見えるけど、履きやすい、履きたくなる。
食わず嫌いはもったいない。
今回のペアがまさにそんな一足かと。
メンテナンスの仕上げはしっかりと防水スプレー、のつもりでしたが、すっかり忘れてました。ま、すぐに履くわけではないしな。秋になってから、で、いいや。
嗚呼、秋が待ち遠しい。
(おしまい)