こんにちは、ばしです。
先週末は三連休。今週末も三連休。
休日が3日続くとのんびりできるし、色んなことに腰を据えて取り組める。先週の3連休、永らく懸案だった作業にとりかかることにしました。今回は「前編」。今回も長丁場につき前後編です。
いよいよこいつの復活に取り組みました。
おんぼろオールデンPTB
「ゆくくる4月」でちらりとご紹介したこいつ。
ブランドロゴは擦り切れてますが誰がどう見てもALDENオールデンです。奈良のセカストで拾ってきたのですが、いやはや、オールデンがアンノウンブランド扱いで2千円とは、こんなラッキーなことはないグヒヒ。と思ったら、
?!
家に持ち帰ってから気づいたのですが、おおっ、風通しがよさそうですな。夏向きかな。なんだけど、まだ一度も出番がないままに夏が終わっていく・・・。
ダメージの状況ですが、説明が難しい。
なんといいますか、中底の内側の弧を描く縁に沿って7センチ前後引き千切られるように破けてます。出し縫い糸はそのまま、で、その内側、アッパーとソールがくっついてる境目で「ぶちっ」、てな感じです。
靴の構造はこうなっているはず。
OTOKOMAE研究所さんの記事より拝借いたしました。グッドイヤー製法の断面なわけですが、青い➡部分、アッパーとアウトソールが縫い留められていた部分がステッチに沿って破けた?引き抜けた?みたいな感じです。
いやあ、酷いです。
こいつ、持ち帰ってきてからこの状態で5か月も放置したままでした。別にほったらかしにしてたわけではなくて、考えていた。これをどのように履けるようにするのか。素人の技ですので、見た目はともかく、機能的な改善が履かれれば、もとい、図れればそれで良い、というのが私のDIYリペアの信条です。
しかしまあ、あれですね、
どんな履き方をすればこのようなダメージが発生するのでしょうか。想像がつきません。激しいほどにおんぼろです。こんなのって修理できるのかな。あるいは金かけて修理する人なんかいるのかしら。対処療法的なやり方を考えたとき、、ここまでぼろいと「正しい修理の施し方」なんてものもきっとないのではないかな。ということで、我流でやってみた。
まずは破れを塞ごう。
こんな革の中敷きをソックシート&アッパーの内側にべったりと貼ってみることにしました。
手順をさくっと。
ドライヤーで温めて踵部分のソックシートを外す。
私にはが少し大きめなこともなり、サイズ調整もかねて厚手のソックシートを入れます。
底だけだとこんな感じ。で、土踏まず部分を伸ばして大きめの1枚モノにしてみる。
このくらいアッパーにも伸ばして、内側から貼ることで破けを塞ぐいでみようと思う。
こんな形状の中敷きを革で作る。
6月にオリエンタルシューズさんのファクトリーセールで買った厚手の革のハギレ。今回は分厚過ぎず、でもしっかり分厚い革にしてみた。
そう、靴の内側に「ソックシートとライナーの一部が一体化したような当て革」を貼り付けて補強しようというものです。まずはこんな風にノリで接着してみよう。どの程度の強度が保たれるのかしれませんが、手探りで一歩ずつ進んでみる。ところで、ダメージがあるのは右足だけなのですが、
左右ともに同じものを追加することにしました。サイズ調整の意味もありますが、左も同様のダメージの可能性があるかも。事前に補強の意味も兼ねてます。
大きくて貼りづらいのでまずが底面のみを貼ろう。
接着する両面にノリを塗りしっかり乾燥させたら、
貼り合わせる。
この作業、なかなかに難しかった。位置ががなかなかぴったりにならなくて苦労しました。歪んだら取り出し、また入れて、を数度。
とりあえず決めた位置に貼れた。
次いで、土踏まず付近でアッパーにまでのばした部分を接着します。
しっかりと指で押さえる。
うん、まずまずしっかり貼れたっぽい。
フットソーポートのソックシート風、になった。
履き心地もアップするかも。
同様に左足にも貼り合わせたら、
外しておいた踵部分のパーツも改めて貼り合わせてみた。
このまましばし乾燥。
☆★☆
しっかりと貼れたっぽい。
接着面積も大きいし、このままでもいいかな、と思ったけど、少しだけ、補強も兼ねて縫っておこう。
糸を通すを空ける。
元のアッパーと厚手の追加した革の2枚を補強を兼ねて縫い留めることにしました。内側なので履いたら見えないし、転がすことのない自分で履きつぶすペアですので、多少の見栄えの悪さは気にしない。
アッパーを縫い留めたら、
こいつの出番です。
内側から、新たなソックシートとレザーソールを釘で留める。
ほんとは釘ではなく糸で縫いたかったのですが、
こいつで縫おうと思ったのですが分厚過ぎて針が通らない。
細身のドリルで穴を空けようかと思ったのですが、直ぐに折れてしまいこの手もうまくいかず。
なので、致し方なく、
釘を打ってみる。
結構はみ出る。ええ、予定通り。
このはみ出た部分を、
カナズチで叩いて倒す。
フローシャイムのサンダルの修理ではラバーソールにねじ釘を打って留めたわけですが、今回はねじ釘では無理だろうと思っておりました。そこで、たまたま目にした「P革」を参考にしました。
ご存知ですかね、「P革」。
P革(ぴーがわ)とは、
野球のスパイクのつま先の保護・補強のために取り付ける靴のプロテクターみたいなものです。野球では送球の動作によりスパイクの爪先内側が傷みやすい。長持ちさせるために、右投げなら右足爪先に買ってすぐにに装着します。小・中学時代、野球少年だった私のスパイクにもついてました。補強のパーツを専用の金台等を使い、写真のように外から内側に釘を打ち付けて留めるのですが、革靴でも、中から外でも、理屈はおなじではないか、と。
打ってみた。
じゃんじゃん打つ。
じゃんじゃん倒す。
ほんとは出し縫い糸の溝(ドブ)に収めたかったのですが、必ずしも狙い通りにはならなくて。まあ、しゃあない。
かなり奥まで打ちました。
破けてた範囲はほぼほぼ打ちました。
かなりしっかり食い込んでいる。
ソールとアッパーの間の隙間もそれなりに圧着されたように思えます。
あらためて、構造としてはこんな感じ。術式名は、
ダイレクトアナストモーシス
・・・ではないな。ええ、ちょうどテレビで「ブラックペアン2」の最終回を観ながら作業を行っていたのでした。まあ、名称はさておき、土踏まず部分だけが追加した中敷きのせいで袋状になり、モカシン製法みたいな感じでアッパーとソールを留めている、ような状態ということで良いのかな。まあ、論より証拠。当初から狙っていたわけではありませんが、結果としてイラストみたいな状態になりました。
さて、ちゃんと固定されたのかどうか、
早速履き下ろして確認したいところですが、
この釘、
このままでは危なくて履けないな。
よし、
追加施術しよう。
(つづく)