こんにちは、ばしです。
昨日の「その4」からの続きです。
今月7月中に履き下ろすべく取り組んできましたおんぼろマーチンのリペア作業。予定通り完了しました。今回でいよいよ完結です。
「僕の足元に夏はいつ来るのだろう」
「自分でドクターマーチンを修理(その1)」
「自分でドクターマーチンを修理(その2)」
「自分でドクターマーチンを修理(その3)」
「自分でドクターマーチンを修理(その4)」
さて、今回の「その5・完結編」での作業は、見た目に見すぼらしいソックシートをどうにかしようというものです。
汚れは拭ってあります。いや、そもそも汚れているわけではない。
汚れではなく、変色、かな。
いずれにせよ、履いてしまえば見えないわけですが、靴を脱がないといけない場面に遭遇するとさすがにまずいです。カッコ悪いです。そして何より、いくら綺麗に拭ってあるとはいえ、この状態のソックシートに足を入れるのは・・・。なんせ、サンダルです。夏場は素足で履くつもりですので、肌に直接触れるのはあまり好ましくはない。というか、気が引けます。
ということで、
②みすぼらしいソックシートへの対処
あれこれ書きましたが、これはもうね、やることはシンプルです。革でフルソックの中敷きを作成して全面に貼りつけてしまうことにしました。
革で中敷きを作るのはこれまでも何度もやってます、やり慣れた手順です。まずは、
厚紙で型紙を作る。
出し入れしながら微調整をかけたら完成。
革を切り出す。この革はオリエンタルさんのファクトリーセールのとは別の少し厚手の革です。
ここでの注意点は、ちゃんと左右1枚ずつ切り出すことが肝要です。「右足✕2枚」みたいな感じで過去何度かヘマやらかしてます(笑)。で、いつもなら両面テープで仮留め程度で済ませるのですが、今回はサンダルということもあり、全面を糊貼りすることにしました。
全面糊貼り、とはいいものの、しっかり固定されたら良い。靴の中は全面塗布でなく斑でオもーケーでしょう。革の中敷きには全面塗布しておけば事足りそうです。
接着面の両方に糊を塗布し、少し乾いたらいよいよ貼り合わせます。
糊のついたフルソックの革を爪先まで入れるのって結構難しいです。奥手前で貼り付いたりしがちです。なもんで、接着面が触れ合わぬよう天井向きでそろそろと奥まで入れて、位置を整えてから貼り合わせる。
貼れました!
おおっ、簡単に作業完了しました。
これにて全作業工程、完全終了です。
☆★☆
これまでの一通りの作業の出来栄え確認です。
【BEFORE①】
【AFTER②】
履いてしまえば内側はそもそも見えないけれど、補強は出来たし見た目の清潔感もアップしました。万一靴を脱がないといけない状況でもとりあえずは問題ない。はず。
【BEFORE②】
【AFTER②】
週末のみの登板ですので、せいぜい月に3~4度の登板です。その程度の使用頻度であれば当面はゴムが伸びることもないでしょう。
【BEFORE③】
【AFTER③】
スカーフェイスのままですが、まあ、目立たなくはなった。
【BEFORE④】
【AFTER④】
まあ、プロの技には程遠いものの、たまに週末に使用する分には十分ではないでしょうか。一応、「復活」ということで良いでしょう。
最後に前回と今回、日曜の作業内容を再度チェックして、いよいよ履き下ろしです。
単に「貼るだけ」なんだけど、なかなか思うようにいきませんね。左右で貼付位置がシンメトリーではないですが、まあ、ご愛敬です。
履き口を縫ってませんが、しっかり貼り付いてるしまあ大丈夫でしょう。ただ、剥がれ易くはあるかもしれない。履く際には靴べらマストですね。
で、ありがちなことですが、腰裏の補強のせいで「MADE IN ENGLAND」の文字が隠れてしまいましたが、
ソールに記載がありますので問題なし。
いや、そもそもこいつは私が履きつぶした時点でお役ご免ですので、見えていようが隠れていようが、どちらでも大差ない。流石にこの状態のペアを転がすことはない。売る予定もないし、そもそもこんなの買う人なんていない。
ソックシートも爪先までしっかりと貼れてます。履いてる最中にずれたり、着脱時に剥がれたり、ということはなさそう。見た目にもキレイ&清潔になりました。グッジョブ、俺。
最後に足を入れて最終確認です。
おおっ、グッドです。いい塩梅です。
ストラップは一番短い状態にしてジャストです。緩くもなく窮屈でもない。靴下を履く際はベルト穴をひとつ緩めればちょうどよさそう。まあ、サンダルですので夏以外に履くことがあるかどうかわかりませんが、とりあえずゴム交換も上手くいった模様です。
全体的なサイズ感も良好。厚手の革の中敷き追加したことで、ほんの少し緩めだったのがジャストになりました。タイトフィットが好みですので申し分ない。爪先のスカーフェイスも思ったほど目立たないみたいで良かった。
兎にも角にも、
廃棄一歩手前だったペアが蘇った。
いやあ、達成感ありますね。しかしまあ、前の持ち主はよくぞ履きこんだものですね。で、そんなぼろい中古が売りに出されるという笑。普通あんなひどい状態のモノを誰も買いません。
海外製の革靴の値上がりがいくら酷かろうとも、我が国の賃金水準が他国よりずっと低かろうとも、実質賃金が4カ月連続でマイナスだろうとも、中古で我慢してその分を節約したいなんて考えであろうとも、流石に今回のようなぼろいのは買わないよね。
ただ、中古市場が活況なのは「新品の値段が高いから」「節約したいから」という面もあるにはあるでしょうが、「MOTTAINAIもったいないから」という考え方が大きいように思う。「モノにも神様が宿る八百万なところ」とか、「作り手へのリスペクト」とか、そういった日本人に代々備わっている精神性、というと大袈裟でしょうか。
あとは、その昔近所にいた「壊れた古いラジオを修理できるおじさん」みたいな、骨董好きやリペアが趣味で買い求める人も少なくないかもしれない。
そう、それは正に私みたいな奴のことです。
一年ほどかかりましたが拾ってきて良かった。
なんだか「いいことした気分」です。
靴の神様も喜んでくれてるのではないかな。
がっつり手をかけて愛着も湧いてきました。
一度履いただけなのに「相棒」の一歩手前です。
今年の夏はこいつで駆け抜けよう。
ハッピー♪
(おしまい)
こんにちは
大規模な施術おつかれさまでした。中敷きを貼るのなかなか難しいですよね(笑) あとベルトのゴムの取り替え、これを自分でやってしまうのは凄いです。
自分であれやこれや手をかけたものは多少不出来でも愛着がわきます。でもって遠慮なく使い倒せます(笑)人生ならぬ靴生を全うさせられますね。
三十郎さん
こんにちは。ありがとうございます。ほんと、手をかけた分だけ愛着湧きますね。
ゴム交換ですが、うまくいくかどうか不安でしたが、思ってるよりも簡単でした。
このところゴムが伸びた所為で安くなってる素敵な靴がないかと漁る毎日です笑。