こんにちは、ばしです。
いやあ、寒いですね。
全国的に大寒波だそう。私の住まう大阪は雪はそれほどではないのですが、寒さはほんと洒落になりません。寒いのが大の苦手な私は、心の内に靴を弄る情熱を燃やしなんとかバランスをとる今日この頃ですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
さて、今回は、前回&前々回ご紹介のペアのその後について。
今月上旬、2足まとめていつものBONTAさんに入院させておりましたが、先日めでたく退院して参りました。どちらも大変大きなダメージでしたが、無事、感動を伴うレベルで戻ってきました。
さっそくご報告です。
【1足目】HY-TESTのペニーローファー
まずはこいつから。茶色の素敵なペニーローファーですが、こう見えてスチールトゥ入りのワークシューズです。前々回のこのペアについての記事ではその最後に、
こいつは復活させねばなりません。
そうすべき理由があるのです。
と紹介しておりました。どういうことかといいますと、このペア、サイズは10Dと私にはでかすぎる。なもんで、ビン靴仲間&ブロガーのしんすのすけさんに履いてもらうことになっていたのでした。おそらく彼の足にちょうど良さそうです。メンテを終えたら早々に彼の元へと旅立たせるつもりのところ、ダメージを発見してしまったのでした。
オーマイガ。です。
「着払いで送ってね」とのことで、送付先もすでにお知らせいただいてます。今さら、「すんません、あきまへんでしたわ、ダメージに気づいてなかった・・・」だなんて、恥ずかしくて口が裂けても言えない私です。
そして何より、乗り掛かった舟です。ま、正確には船ではなく靴なんですけどね。今年は「安くてぼろい靴をプロの手も借りて蘇えらせる」、というのがテーマです。ちょうどよい、修理してもらおう。とのことで、今年の一発目、BONTAさんで修理してもらいました。こんな感じ。
【BEFORE】
【AFTER】
おおーっ。見事に縫われてます。
元々の縫い目の内側に溝が彫られたうえで新たなミシン目が走らされています。
【BEFORE】
【AFTER】
うん、大丈夫ですね。しっかり塞がりました。
内側はこんな感じ。
アップで。
セメント製法の靴はノリが剥がれて今回のように口が開いてしまうわけですが、内側から縫えば修理ができるわけです。とはいえ、
元から出し縫い糸があるのに、なぜセメント?ステッチはダミー?
と思っていたら、BONTAの長谷川さん曰く、今回のペア、ミッドソールとアウトソールが縫い合わされたセメント製法の靴、との仕立てだった模様です。なんなのでしょうね。思いますに、それっていうなれば「ブレイクラピッド」のセメント版、「マッケイグッド」ならぬ「セメントグッド」、なのかもしれない。
セメント製法は、縫いの工程がないので製造コストが安く済む上に、底に縫い目がないので水が浸入しにくい、というメリットがあります。ミッドソールをセメントで付けた上でラバーのアウトソールを出し縫いすることで、耐水性に加えて耐久性も高める、という目的なのかもしれない。ワークシューズ向けの製法といえるのかもしれないですね。
さて、最後に、ブラッシングしてリペア&メンテ、完全終了です。
おー、いいですね。
素敵です。
こいつ、昨日発送しました。
雪の影響がなければ今日中にしんのすけさんの足元に到着予定です。発送に当たってはいつものごとく詰め物しましたが、そもそもスチールトゥです、要らなかったかもね笑。
ところで、爪先にスチールの入ったローファーって、ほんと珍しいと思うのですが、一体どんな履き心地なんでしょうかね。きっと春頃には彼のブログで記事にされる(記事になった時点であらためてリンク貼ります)のではないかと思います。この後の活躍ぶりなどはそちらにバトンタッチ。楽しみに待ちましょう笑。
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さて、もう1足。
【2足目】LUDWIG REITER
マイファースト~、な東欧靴。傷だらけのアッパーをいつもの要領でメンテしました。多少マシにはなったのですが・・・、
絶句。
爪先がやばいです。特に、程度の酷い左足は、どうやらそのダメージがウエルトにまで至っているらしい。「オールソールしないと無理かも」とのお話だったのですが、600円の靴に1万数千円はさすがに出せない。それに、「沢山履いたとしてもせいぜい月に1度程度です。なんとか、爪先を足して、ハーフラバーして、当面問題なく履けるようにならないですか?」と、無理なお願いをしたわけですが、こんな感じに蘇りました。
【BEFORE】
【AFTER】
おーっ。トゥスチールが輝いてます。
ヒールの修理はまたそのうちにやりましょう。
【BEFORE】
【AFTER】
おおーっ。
【BEFORE】
【AFTER】
おおおーーっ🔥
すごいです!いったい何がどうなったのかよくわかりませんが、兎にも角にも大変綺麗に仕上げられて帰ってまいりました。
【BEFORE】
【AFTER】
爪先には追いワックス、がっつり塗り込んでみました。
すげえです、かっちょええです。
もうね、ピックアップした日は感動と嬉しさのあまり鼻歌が止まらずで、周りから変な目で見られたりしたのでした。
側面も軽くワックス。
それだけでこの輝き。
あらためて大変上質な革質です。
踵にも少々。ミシンのデザインが大変かっこいいです。あ、糸が。あとで炙っときましょう。
ダブルステッチ♫
こいつ、ジャストマイサイズです。
で、自分で履く用です。
Not for sale 。頼まれても売りません。
さっそく足を入れてみました。
お~、グッドです!
羽根はこのくらい、閉じ気味が好みの私です。
足首周りもジャストです。足首が細い私はブーツの場合足首周りが緩すぎることが多いのですが、こいつはきつくもなく緩くもなく、誂えたようにドンピシャです。ま、だから拾ってきたんですけどね。
最後に、再度全景。
【BEFORE】
【AFTER】
600円弱で拾ってきた靴の修理代に6000円弱かけましたが、後悔はありません。ていうか、むしろ安いくらいではないか。修理はいつもBONTAさん一択です。たまには浮気もしてみたいなあと思ったりもするのですが、いやはや、そんな必要は全くないな。
さて、無事に蘇った2足。
並べて記念撮影しときましょう。
おお~。
いいね~。
大大大満足な私です。
靴たちもきっと喜んでくれていることでしょう。
こりゃ年始早々幸先よろしいわ。
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今回のこいつら、買値は税別950円でした。
2足で、です。笑えます。タダみたいなもんです。かけた修理代は2足で8500円。馬鹿とお思いかもしれませんが、この2足を1万円で買おうと思っても多分買えません。まあ、それ以前に売ってません笑。
どちらもそのダメージ故、捨てられてしまっていてもおかしくないようなペアですが、よくぞ処分されずにリサイクルショップに持ち込まれてくれました。
もうね、こんなにきれいに蘇ると知っていれば、学生時代に買った英国製の本格靴2足、捨てずにおいといたのにね。もう十二分に履いたからとサヨナラしましたが、まさかここまでとはね。単なる修理屋さんではなく、ビスポークを手掛ける靴職人による修理、だからこそ成せる技なのかもしれない。
皆さんも捨てようかどうか悩むような履きこんだボロ靴があれば、すぐに修理はせずとも、とりあえず保管しておかれてもいいかも。そんなボロ靴を欲しい、修理して履きたいという人がいるかもしれないし、それは数年後のあなた自身かもしれない。いつの日か懐かしい相棒を蘇えらせたい、そう思う日が来るかもしれません。
若かりし日の私の相棒はもう戻っては来ませんが、代わりに他人の履き倒した中から本格的なやつを目利きして拾ってこよう。でもって、復活させて履いてやる。今年はそんな感じでお宝ゲットの予定です。
とりあえず、
大阪にBONTAがあってよかった。
(おしまい)