WEYENBERG MASSAGIC のリシェイプ(前編)

こんにちは、ばしです。

 

つい先日聞いた話。

最近はどのビンテージショップさんも「本格米国ビン靴」の仕入れにはかなり苦労されておられるらしい。そもそもがビンテージ品ですので、時間の経過に伴いモノ自体が徐々に枯渇していくことは自明の理なわけですが、最大の要因は兎にも角にも仕入れ値が高いこと。

円安と海外の物価高(日本の物価安)のダブルパンチで以前のように安易に手が出せないようです。アメリカ本土に仕入れに行けば、マクドナルドでの簡単な食事にさえ2千円もかかるような状態で、高止まりしたレンタカー代に飛行機代などを考えるとそれだけで相当なコスト要因になってしまう模様。

ならばとネット(ebay)で仕入れようにも昨今の円安と特に送料の高騰。まあね、一個人として趣味で買っている私ですら米国セラーからの購入は躊躇するばかりな状況になりましたので、商売で利益を出すことを前提とすれば猶更なようです。

方や販売の状況はというと、人気のUS8インチ前後のサイズはすぐに売れるものの追加の補充が効きづらい。一方で、US9.5とかUS10あたりのデカめのサイズは動きが悪くなかなか売れない。結局、売れ筋の仕入れに関しては、海外はあきらめて日本国内へシフトの動きもあるそうな。

巷で流通しているモノや、過去に買ってくれたお客さんから履かなくなったモノを買い取ったほうが早いし確実、なんてことも一部あるようで、そんな風に間口を広げるためにも物販だけでなく「リペアサービス」などを手掛けないといけない。海外仕入れの国内販売という従来のシンプルなやり方だけでは以前のようには回らなくなってきている、との話でした。

 

 

うーむ、困ったもんですね。

人気がなければ困りもの、で、人気が出たら出たで売るものがなくて困る。で、思いますに、ビンテージ云々・円安云々以前の問題として、洋服みたいに「SML」程度のサイズ区分ならまだよいのでしょうが、0.5センチ刻みでのアジャストが求められる商材であることも革靴ビジネスを難しくしている要素なのかもしれない。

サイズ調整を前提に靴を買う人なんてごく僅かでしょうから、「自分で履く用」としての購入場面では競争相手よりもアドバンテッジがあると自負している私ですが、なんかそのうちセカストなんかで仕入れ活動中のビンテージショップさんと競合しそうで、それはそれでイヤだな。

とはいえ、リユースショップで見かけるビン靴も時間の経過とともに数は減り、製造年代も最近は1980s-90s頃と徐々に新しいものへと移り変わっている印象です。リユースショップでのトレジャーハンティングでは一日の長がある私ですが、やはり、パトロールの強化とともに見かけたビンテージは今のうちに保護する必要性が以前にも増して高まっているのかもしれない・・・。

 

そんなことを考えた上でのことではなかったのですが、2月に近所でまさにその手のやつを拾ってきまして、先週から手入れを始めた次第です。

 

 

WEYENBERG MASSAGIC
Apron Front Derby Shoes

ウエインバーグです。

そんな旧いロゴではない。1970s?1980s?あたりですかね。ここの靴は旧いロゴのものも持ってたりしましたが、フローシャイムみたいに年代判別法が確立してないんですかね、いつも「70s?80s?」なんて言ってるような気がする。

参考:WEYENBERGの記事一覧

サイドビュー。

エプロンフロントダービー。いわゆる、Uチップですが、旧い米国靴らしいスタイルです。なのですが、正直なところ人気はあまりないスタイルと思われます。理由はのちほど。

土踏まずにはアーチサポート。
ライニングの白い印字はくっきり残ってます。

【E4】とあります。

これって製造年月のことなのでしょうか?であるならば、1974年5月もしくは1984年5月のいずれかの製造と思われます。同社の靴にはこの2文字が印字されてるものが多いようなので、たぶん製造年月のことのように思うのですがどううなんでしょうね。

サイズ表記は【8 1/2D】。

サイズ通り?表記より小さめサイズ?いずれにせよ、私か息子のどちらかにジャストサイズではないかと拾ってきました。あ、いや、半分弱はホント、半分強はウソです。ホントの理由は、

安かったから。

税込み990円であります。ランチタイムにいつもの職場近くのセカストでゲットしたわけですが、「メ_シューズ」とだけで「WEYENBERG」との記載はなし。いわゆる、アンノウンブランド扱いです。まあね、ウエインバーグだと聞いても知らない人がほとんどでしょうから別に構わないわけでしょうね。

で、なんでこんなに安いのか。

おそらく、状態の所為。

しわしわ。

くちゃくちゃ。

いわゆる、しわくちゃ、ってやつです。
いくら安くともこの状態の靴を持ち帰ろうという人はまずいない。ビン靴フリークくらいであることは頷けます。とはいえ、

履き口にダメージがあるわけではないし、

内側もさほど履きこまれた様子ではない。

一応レザーソールだし、

少し減ってるけどトップリフトもオリジナルのままです。

とはいえ、このスタイルって、モカの切り返し部分がこんな風に皺になりやすいうえに元にも戻りづらいんですよね。人気薄な理由の一つではないかと思う次第です。

少なくとも若い人でこの手のエプロンフロントダービーを履いてる人を見ることは稀のように思う。そうつまり詰まるところ、私向きの1足である、ということなのでしょう。

とはいえ一応、ビン靴であります。
整えたい。整えよう。
整えて見せる。

 

 

ステインリムーバー

ワックスの程度は僅かな感じ。

 

LEXOL

汚れ落としはツーステップで、と思ったけど、もういっちょ。

 

RENMATO リムーバー

急にマットな雰囲気に変わった。
それもそのはず、

結構落ちた。旧いワックスは最近のモノよりも落ちづらいのでしょうか?まあ、靴だけでなくメンテグッズも進化を遂げているでしょうから、靴クリームの成分なんかも今と昔では異なるでしょうね。

最初からレノマット、というやり方もあるのでしょうが、他のリムーバーと比較して値段が高めなことと、何よりもニオイが強いのが玉に瑕。結果、こればかり使うわけには行けない、となる。なんて言いながらそろそろ使い購入しなと切れかけです。

両足ともレノマットまでスリーステップ。

汚れやワックスは除去できたっぽいですが、

波打った状態は、

そのままです。

改善したい。リシェイプしよう。
となれば、久々にあれです。

 

 

丸洗い

どぼんとぬるま湯に浸けて、湿った状態から乾燥させる。そうすることで、革を縮ませて皺も伸ばそう、との魂胆です。

二十分ほど浸す。

汚れも染み出る。

念のためシャンプーでごしごし。

ソールも。

しっかり濯ぐ。

しっかり柔らかくなりました。

洗濯機の脱水に8分。

さてさて、どうなったか。

変形中。

湿ってはいますが水分はかなり飛んだっぽい。

整える。

栄養補給したら、

ツリーを入れる。
ツリーだけだとテンションが弱そうでしたので、ツリーに靴下を履かせて少し太らせた状態でINしてみる。

当初に比べると、

ツリーが入ってますのでシャンとしてます。
このまま乾かすことで、形はこの状態に整い、加えて、乾燥の過程で甲の革が縮んでくれれば皺も伸びてさらにきれいに整う、はず。

この畝ったアッパーが、

どの程度整ってくれるのか。

とりあえずひと晩ほど寝かしてみる。

 

(次回につづく)

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