WEYENBERG MASSAGIC のリシェイプ(後編)

こんんちは、ばしです。

 

昨日の「前編」からの続き。
今回もWEYENBERG MASSAGICです。

旧いポストカードを持ってます。

このハガキは1955年のモノ。

この雑誌の広告は1968頃のモノらしいです。

これらの年代、1950s-60s頃のMASSAGICはとても上質なビンテージが多いとの印象ですが、その登場は1930s頃かららしいです。

前回丸洗いしたMASSAGIC。

このエプロンフロントダービーのスタイルはまさに先ほどのポストカード&雑誌広告の1950s-60s頃にかけて多かったデザインのようです。

ただ、こいつはそれほどは旧くないみたい。1970s-80s頃かと思いますが、握手型のユニオンスタンプがありませんので、1970s頃かもしれないな。そんなことを思いながら、

前編では「しわくちゃ」の甲をリシェイプするべく、丸洗いして、デリケートクリームもどきを入れて、靴下を履かせて少し太らせたシューツリーを入れた状態で乾燥させる、というところまででした。ここまでが先週3/20(木・祝)の作業でありました。

今回はその後の様子と取り組みについてです。

 

丸1日経過後。

翌日3/21(金)夜の状況です。

うーむ、なんともかんともですね。
もう少ししっかりと乾かそう。
ツリーを抜いてみた。

皺はまだありますが、まあ、多少はマシにはなりました。サイズ8.5Dなのですが意外とゆったりとした甲周り。随分と乾きましたが縮みはそれほどでもなさそうです。乾燥させる際にもう少し温度を上がればよかったかもしれません。

ドライヤーやオイルヒーターなどで熱をかけるともう少し縮むのでしょうが、今回はサイズダウンさせる目的ではありません。このまま順次進めましょう。とりあえず、ツリー入れたままだと乾きづらいので、抜いた状態でさらに24時間乾燥させます。

 

☆☽☆

 

さらに24時間後。

見た目の変化はなし。乾燥についてはこんなもんで十分かと。

当初はかなり黒光りしてたせいでガラスレザーぽくコーティングされたアッパーなのかと思っておりましたが、それほどでもないみたいです。クリームなども多少は吸い込むようですので、ここはがっつりと栄養分を投入しておこう。

クリストフポーニー・レザークリーム投入。

油分たっぷりのオイルクリームです。
ギラギラと光ります。

右足も同様に塗り込んでみた。

さて、どの程度浸み込むでしょう。

 

☆☽☆☽☆

 

翌々日、月曜日の夜。

おお、

思いのほか浸透したみたいです。で、この手のオイルですが、比較的傷みの少ない部分は浸透せず浮いた状態になるようです。

甲部分は縞模様まだら模様に浸みたようですが爪先は浸みずにほぼそのまま残ってます。

踵周りもかなりの割合で残っています。爪先も踵も、履いて歩いても伸びたり屈曲したりしませんので、表層的な傷はあったとしても内側の疲労はさほどでもない、ということなのでしょう。油分も栄養分もそれなりにいきわたったでしょう。

よし、仕上げます。

 

 

LEXOL

浸みずに浮き残った余分なオイルクリームを拭き取ったら、

 

 

コロニル1909(黒)

いつもはニュートラル(無色)ですが、今回は黒を入れてみた。アッパーが上質であるほど余計なことはなくて良いわけですが、今回は1970s-80sと米国ビン靴の品質が低下した時代のレギュラーラインのモノです。決して悪くはないけれど高級というわけでもない。

ということで、今回は黒を足しこんでおくことにしました。

ただ、つま先のキズなどは結構気になる。

 

 

ビーズワックス

少しだけワックス投入。

スキルがあればもっとピカピカに磨いたほうが良いのでしょうが、まあ、誰にでも得手不得手というものがあるのです。

さて、最後に、

アウトソールにはハーフラバーをDIYするつもりが糊がやや乾いてしまっておりましてNG。とりあえず百均のラバーを貼りつけていくことにしました。

こんな感じ。

セリアseriaで購入しました。

アウトソールに特段へたりはないのですが予防です。今後の消耗を防ぐ意味から貼り付けといた。まあ、我が家では登板頻度は年に数度でしょうから、そんなに消耗もしないわけですが、まあ、おまじないみたいなもんで。

てなことで、全体的にしっかりとブラッシングしたらメンテ完了です。

 

【BEFORE】

【AFTER】

シューツリー抜いてこの状態です。
それなりには改善した模様。

まあね、

かなりマシにはなったのですが、履いてるうちにちょうど指のあたりから皺が入りやすいんですよね。エプロンフロントダービーの、特に今回のように縫い合わせたパーツの革端が内側に入り込んだ「袋縫い」というこの仕様の場合、より変形がキツイと思われます。

 

同じエプロンフロントでも例えば、

これはFLORSHEIMの1960sのエプロンフロントダービーなのですが、モカ部分が袋縫いでない仕様だと相当に旧いものでもさほど酷くはならない。

まあ、今後は履くたびにこまめにツリー入れるから、当初のような酷いことにはならないでしょう。

 

よし、さっそく履き下ろそう。
ついてはサイズ確認です。

うーむ、普通に8.5Dって感じです。
私には少し大きい。

百均の中敷きを追加しよう。
特にこれがおススメ、というわけではない。
ストックがあったのでこいつで。

 

昨日早速履き下ろしてみた。

うーむ、どうでしょう。

なんとなく左足のほうが爪先周りに余裕があります。左右の個体差なのか、私の足が左右で若干違うのか。おそらく、前者のように思う。

 

ところで、余談です。

シューツリーに靴下を履かせて乾燥させたわけですが、

中敷きをINしたうえでツリーを入れたほうが甲により強いテンションかかってるみたいです。最初からこの状態で乾燥させたほうが良かったのかもしれません。けどまあ、今後は履くたびにシューツリー入れますので、よりよく改善していくことを期待しよう。

 

 

で、思った。

いつもこんな感じなら嬉しいのにな。

履いた状態でもこれなら言うことないのですが。

まあね、どうしてもこうなりますね。

今回のような有名でないメイカーのレギュラーラインのエプロンフロントダービー。人気はおそらく、ない。ビンテージショップの棚に並んでいても欲しいという人は僅かかも。

それゆえに、今回のセカストでの値札のように軽く扱われたり、履きつぶされたり、ときには捨てられるなんてことも少なくないように思える。

なのですが、この手のペアもこれから年月の経過とともに希少となれば、結果として人気が上がるなんてこともあるかもしれないですね。ただ、その時点では「時すでに遅し」てな可能性が、今の時点で不人気であるがゆえに少なくない。

 

私自身この趣味歴は高々10年ほどですが、ビン靴はその10年で10年分以上に枯渇し始めているように思えなくもない。リサイクルの拡大と定着に伴い一般家庭の靴棚などで眠っていた日本国内のストックがリユースショップの棚に出てきて身近に感じられるくらいに増えた側面もあるわけですが、フローシャイムみたいに名のあるものは別にして、今回のようにアンノウン扱いされてしまうようなモノを取り巻く環境はかなり厳しように思える。

ぞんざいに扱われるくらいなら、むしろ、個人宅で眠ってたままのほうが良かったようなモノもありそう。とはいえ、この流れは止まりそうもありませんので、現時点での人気や価値ではなく、旧くて希少なものはまいさいずではなくとも、先々を見据えてより積極的に保護することがいよいよほんとにホントに必要なフェーズになった、ような気がします。

 

 

おおっ。
買い漁る理由が増えて嬉しい。

 

(おしまい)

2件のコメント

  1. ばしさん
    レギュラーラインにはレギュラーラインの良さ、ありますよね^ ^
    程度の良い、世話された古いレギュラーラインって押し出しが無いのになんだか惹かれる素敵さがあります。
    逆にあまり世話されていないんだろうなと感じる食指の伸びない高級靴をメルカリやebayで見る度に切ない気持ちになります。

    1. shuさん
      160-70頃のレギュラーラインはきちんと世話もされていて程度のよい素敵なものも多いですよね。
      年代が新しくなるほどに程度がよろしくないのは、品質そのものの低下もあるのでしょうけれど、
      やはりきちんとした手入れの有無がその差に表れているように思うことが多いです。
      買った直後はメンテに力を入れるわけですが、その後は足りているか?
      改めて日々の手入れって大事だなと思うと同時に、私自身ももう少し手をかけねばと反省しきりです。

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