こんにちは、ばしです。
今回もビンテージなペアのご紹介です。
前回のJCPennyのペアの記事の中でも触れたとおり、あのとき実はもう1足一緒に持ち帰ってきておりました。JCPennyは私には小さくて履けないのですが、流石に履けない靴を2足持ち帰ることはない。今回のペアはマイサイズではないものの問題なく履けそうな感じなやつです。
ROBLEE white saddle shoes
白いサドルシューズ。アッパーはスエードです。履いたらすぐに汚れてしまいそうなやつですが、旧そうな割には意外ときれいな状態です。
今回は2300円+税。先日のJCPennyは1300円+税でしたので、税込み4000円ほどで2足のビンテージをゲットしたことになります。いやあ、いい買い物したな。いやいや、この白いのがビンテージとは限らないよね。と思われるかもしれませんが、今回の方がJCPennyよりも旧そうです。
そもそも、どこの何者か?
ソックシート。向かって右、左足には何も書かれていない模様。右足にはうっすらと何か書かれているっぽい。
見たことあるロゴ。
【ROBLEE】と読めます。かつては【REGAL】 【AMERICAN GENTLEMAN】【PEDWIN】などのブランドを擁したブラウンシューカンパニーの上級ブランド、それがROBLEE ロブリー。位置づけとしては【PEDWIN】の兄貴分的存在だったといわれているようです。
擦れたロゴ、元はこんなでした。
以前1足持ってました。サイズが合わずすでに転がして手元にはありません。こんなペアでした。
マイファースト・ロブリー。レザーソールのエプロンフロント、といっていいのかな。少し風変りなデザインです。こいつ、おおよその見立てですが、1960sのペアのようでした。
サイズは9.5B。何度か履いたのですが、ほんの少しだけで緩かった。全長が長すぎた。甲周りもやや余る。普段US8.0Dサイズの私は、US9.5の場合はBではなくAウイズの方がまだ履きやすい。
でかいサイズのペアをロングノーズ気味に履くことになるわけですが、まあ、「履ける」というだけのことであって、無理しなくていいのであればそれに越したことはない。7.5E、8.0D、8.5C、9.0Bあたりが私が問題なく履ける「サイズ✕ウイズ」のパターンです。
今回はというと、
先ほどと似た印字のスタイルで【9B】とあります。これならおそらく問題ないでしょう。今回は自分で履く用です。
カジュアルな雰囲気のサドルシューズですが、トゥが尖り気味だとドレス感がぐっとアップしますね。
親子穴。かなり細かいです。紐が薄汚れてます。春になったら洗おう。そう、今回はメンテ作業はなし。ディテールの紹介のみとなります。
ビンテージな香り漂う立体的なヒールカップ。
履き口にはダブルステッチ。かなり細かい。
丁寧な造りです。
いつ頃の年代のモノなのでしょう? マイファースト・・・と印字が似ていることを考慮すると、こいつも同じく1960sくらい、となるわけですがどうしょうね。
そもそも流通してるROBLEEのペアがそのころの年代のモノが大半のようですので、こいつもその可能性が高いわけですが、今回はそれを裏付ける大きな手掛かりがひとつあります。
本記事のメイン・コンテンツ。
このソール。独特です。初めて見ます。
丸い穴がいくつも開いております。アップにしてみると、、、
おおっ!猫です!こいつ、CAT’S PAWのソールです!横道にそれますが、CAT’S PAWソールのペアは1足持ってます。
こいつ、1960s頃のBOSTONIANSのソールです(過去記事こちら)。CAT’S PAWといえばトップリフトなわけでソールは珍しい、と喜んでいたのですが、ありがたいことに今回で2足目となります。ただ、1足目がハーフラバーだったのに対して、
再掲。今回はフルラバーソールです。
で、中央に文字が。
CAT’S PAW
MIRA-GRIP
との文字。ミラグリップ、というソールのようですが、古靴を趣味にして十年ちょっとの中で初めて見るソールです。かなり珍しいのではないかな。で、その下にも小さな文字が。
PAT.PEND
とあります。これは「PATENT PENDING」の略。意味するところは「特許がペンディング中」すなわち「特許出願中」ということのようです。
このソールの特許情報がわかれば年代推定の助けになりそうです。色々とググってみたところ、こんなのにたどり着きました。
JUSTIA というアメリカの法律系ウエブサイトだそうです。訴訟や判例などの情報検索サイトですが、特許関係の情報も網羅しているらしい。こちらで「MIRA-GRIP」を検索してみたところ、
ヒットしました!下線部分が欲しい情報です。
拡大してみた。
赤線の「Filing Date」が「出願日」、青線の「Resgstration Date」が「登録日」のようです。最終行のGoods and Serviceに「RUBBER SOLES AND HEELS」とありますので今回のソールの件で間違いなさそうです。ちなみに「Trademark」ですので、「特許」ではなく「商標登録」ということかと思いますが、いずれにせよこのMIRA-GRIPは、
1964年6月10日に出願されて
1965年4月13日に登録された
ということのようです。先ほどの写真に戻ります。
「PAT.PEND」とありました。「出願中で登録前」という意味です。つまり、上記よりこのソール=この靴の製造年は
【1964年6月10日~1965年4月13日までの間】
ということになります。約60年前製造の還暦なペアのようです。おお、結構旧いですね。ちなみに、6月10日は私の誕生日です。私が生まれるちょうど5年前に出願されたものらしい。なんだか縁を感じます。
ついでに「CAT’S PAW」でも検索してみた。
同様にヒットしました。
こちらは先ほどより少し前、1957年1月22日出願・同年8月27日登録ということらしい。ちなみにこちらの最終行には「LIQUID CEMENT」とあります。靴底メイカーということではなく、化学系の素材メイカーが靴底も作ってた、ということですね。グッドイヤーがそもそもゴムメイカーで、製品としてタイヤや靴底を供給していたのと同じ構図のようです。
何はともあれ、こいつの年代がわかってよかった。今回はメンテ作業はほぼ皆無でしたが、一応ソールだけはきれいにしておいたのでありました。
しかし、ほんとあまり見かけないソールですね。トップリフトは儲かったけど、ラバーのソールは競合他社の後塵に拝したか。ビジネス的にはうまくいかなかったのかもしれかさないですね。
そうであれば、今回のソールはかなりレアなもの、ということかもしれない。今回はそんなソールが主役なわけですが、ど・ビンテージはソールだけどなく靴そのものも素晴らしいです。形が美しい。見とれてしまう。
いろんな角度から写真撮りましたのでご紹介。
スエードの毛足は短めです。
件のMIRA-GRIPソールは結構分厚いです。
やや黄ばんでます。まあ、旧いしね。ヒトも靴も60年も経てばそうなる。
ですが、それを補って余りあるバックシャンのカッコ良さ。アッパーの白とソールの黒のコントラストが効いてます。
かなり尖り気味のトゥ。
これ以上尖るつらいところですが、何とか普通に履けるギリギリのところではないかな。上から見たらそうなのですが、
角度を変えるとこんな感じ。
適度にボリューム感のあるビン靴らしいフォルムです。
いつの年代に日本に、大阪にやってきたのか知りませんが、その昔にこれを買い求めた爺さんがいた、ということかと思います。セカストを巡っていてこの手のビン靴に沢山出くわす中で「俺って引きの強いやつかも」なんて思ってましたが、ようよう考えてみたら、新品でか中古でか知りませんがこのような海外品を購入して履いていた人が靴の数だけいる、ということですよね。
最近の若い人もおしゃれだけれど、昔の昭和の時代のオジサンお兄さんたちもおしゃれするのが好きな人が多かっただなと最近つくづく思ってみたり。
うん、いいですね。
総じて、やはりドレス感強めなフォルムですね。つま先の形状で印象は変わるわけですが、「白のサドルシューズ」というカジュアルな靴だけに印象の変化がより大きく感じられます。
元の持ち主がどんな風にこいつを履いていたか知りませんが、私は紺ブレ・ジャケパンスタイルに合わせようと思います。ネクタイも締めたほうがよさそうですかね。気障になりすぎないように、時代錯誤にならないように注意せねば。もう少し暖かくなったら紐を洗濯して、アッパー全体をベビーパウダーでお化粧しよう。白く整えたうえで、履き下ろすのは春だな。
楽しみがまたひとつ増えました。
(おしまい)
こんにちは!
めちゃ(E)〜サドルシューズですね〜(^^)
つま先が少し細い感じがRockを感じます。
George Coxでこんな感じのサドルシューズがあるのを見た事がありますが、クレープソールでしたので、やめた事があります。
ばしさんは、2025年も引きが強いですね!
最近は掘り出し物に出会えずって感じですf^_^;