こんにちは、ばしです。
日曜日、ニューカマーを2足メンテしました。
どちらとも5月に購入したもので、1足は火曜日の記事で紹介したMARELLIのイントレチャート。夏向けの旧そうな日本製です。今回のもう1足もまた夏向けの旧そうな日本製。セカストでお安く拾ってきたものですが、これがまたなかなかに、いや、相当に素晴らしいのです。
早速にご紹介。
レザーのサンダルです。
▲の形に日焼けする、かも。
25センチ。私には小さい。500+税。や、安い。タダみたいなもんです。こいつ、レディスの雑多な靴コーナーに鎮座しておりましたが、これってメンズだと思うんですよね。なぜかというと、
SCOOPMAN
とあります。「MAN」とありますのでメンズでしょう。「7000」はシリーズ名のようですので、1000とか3000とか、他の数字のラインもあったのではと推察されます。7000と大きめ数字のこいつはアッパーラインなのかもしれない。で、7000の下の小さな文字は、
PRODUCED BY SCOOPMAN INC.
とあります。
DCブランド全盛期、1980年代に人気を博したレディスブランド「SCOOPスクープ」。そのメンズラインが「SCOOPMAN」。「BARREAUX」も同社の抱えるブランドだったそうです。若い方はご存知ないかもしれませんが、私くらいの年代から上の世代には昔懐かしいブランドです。
調べてみたところ、ピーク時には100億円以上の売上があったらしいですが、バブル経済が崩壊しアパレル業界が苦境に陥り最終的には2001年に任意整理。商標権は丸井に売却されたそうで、一時は丸井各店でスクープ名義の服が販売されていたようですが、現在はブランドそのものが消滅しているらしいです。そんな経過をたどっているとは知りませんでした。
このペアはおそらくブランド全盛期の1980-90s当時のモノと推察されます。
このソールの仕様、日本経済が元気だった頃を彷彿とさせる手の掛け方となっています。要は、値段が少々高くても価格に見合った品質であればあれば売れた好景気時代のモノ。具体的には、メンテしながら見ていきましょう。いつも通りまずは左足から。
LEXOL
スエードのアッパーは後回し。素足で履くであろうサンダルですので、まずはソール周りから。
ソックシートほか、内側をキレイに。
オールレザーライニング。
縫い目発見。マッケイか?
次いで歯ブラシで、
コバ周りの埃をしっかりと掻き出す。生成り色の出し縫い糸。こいつ、ブレイクラピッド製法のようです。等間隔に並んだステッチが美しい。
そのまま裏側をメンテです。
レザーソールリキッド
塗り込んで拭き取れば汚れが落ちて耐久性・柔軟性を高める、のだそう。
M.モウブレイ・トラディショナルワックス
ソール用のグッズではないのですが、レザーソールには毎回こいつを投入してます。ピカリと光ります。で、今回はさらに光らせよう。
KIWI パレードグロスプレステージ
光り方はさほど変化なし。といいますか、光らせたいのはソールではなくここ。
コバ周りです。こいつ、この仕様、かなり素晴らしい。
分かりますでしょうか。斜めに削られています。矢筈仕上げです。
ヒドゥン仕上げ?そうではない?
比較的縫い目がそのまま残っている土踏まずあたりを見てみますと、このペア、「縦どぶのヒドゥン仕上げ」なのか?
いや、矢筈仕上げですがヒドゥンではないのか。爪先側だけがヒドゥンだった?いずれにせよ、バブル崩壊以降のアパレルの既製品でこんな手のかかった仕様はおそらくない。
なもんで、1980s年代当時の靴職人の技、と推察する次第です。
アウトソールはシングル仕様。なのですが、ふにゃふにゃしてません。とてもかっちりと堅いです。日本製・海外製問わず、昔のレザーソールは今のモノとは材質が全く異なるように思えるものも少なくない。こいつがまさにそんな感じ。
積みあがったヒールも大変美しい。これは「昔流行ったDCブランドの靴」というよりは「旧き良きジャパンビンテージ」と呼んだ方が相応しい、そんな造りです。
素晴しいレザーソール。
その出来栄えに勝るとも劣らない個性的なアッパーのデザイン。
このペアのために購入したクリーナー投入です。
プシューっと吹きかけると泡になる。
全体的に吹きかける。目立つ汚れの箇所はこの状態でブラッシングすると良いらしいのですが、そんな汚れてません。
一度濡らして絞った布で、泡ごと汚れを拭き取る。すっきりきれいになったのではないかな。この後は乾燥させて防水スプレーを振ると良いとのこと。防水スプレー切らしてます。そのうち調達しよう。
同じ手順で右足もキレイにしたらメンテ完了です。
【BEFORE】
【AFTER】
すっきりしました。
【BEFORE】
【AFTER】
レザーソールのコバはやはりこうでないとね。
オールレザーのライニングもコンディションは良好です。
大変個性的であり、かつ、美しい。
積み上げヒールのグラデーションが美しいバックシャン。よおく見てみたら吊りこんだ際の釘穴があります。サンダルというより本格靴、といった趣です。誰も気づかないでしょうが。
ため息が、
出るよな、
アウトソールの、
造形。
マイサイズでないのが悔しいですね。
けどまあ、いいモノ見せてもらいました。
しばらくは観賞用としてステイさせよう。
ラッキー♪
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話は変わりまして。
足掛け8年目の拙ブログですが、今回の更新でちょうど【1000記事】となりました。これまで記事数を意識したことはなかったのですが、我ながらよくもまあ飽きずに書いたものです。飽き性な私が継続できた要因は、ビン靴自体の魅力もさることながら、記事に頂くコメントやインスタでのフィードバックなどがやる気の源泉でありました。これまで飽きずにお付き合い頂きありがとうございます。
もうすぐ1000記事。
ということに気づいたのはつい先週のこと。なもんで、いつもなら欠かさない節目の「自分への記念品(=古靴)」を準備する間もなく、折角の散財の機会を逃してしまいました。また、米国ビン靴ブログなのに、節目の記事が「5百円で拾って来たジャパンビンテージ」というなんともチープで恰好の悪いことよ(笑)。まあ、今回のSCOOPは素晴らしいペアでしたし、間の抜けたところも私らしくてよいかと。
7年半で1000記事。
ということは、63歳で2000記事、70歳で3000記事、ということになりますね。いやはや、ビン靴が枯渇のするのが先か、私がビンテージになってくたばるのが先か。引き続きお付き合いいただいて見届けて頂けたら幸いです。いずれにしましても、その頃=2040年頃には1980sのビン靴でさえ還暦を迎え、今の1960sのペアのように値の張る貴重なものになっているかもしれませんね。おおっ。これはまだまだパトロールの手を緩められないですね。
これからも素敵な出会いに期待しましょう。
(おしまい)