こんにちは、ばしです。
今日から2月。
月初早々くだらんタイトルをつけてしまった。
今回は昨年12月に拾ってきたペアです。
一昨日夜にさくっとメンテしました。
タイトルからお分かりの通り、
あそこのペアです。
ご紹介。
TANINO CRISCI
4穴のセミブローグ。1876年ミラノにて創業したタニノ・クリスチーのペアです。
その前に並ぶ英数字はシリアルナンバーでしょうか。
いつも通りまずは左足から。
いつものクリームで仕上げ。先ほどのソールに入れたあとそのまま引き続きアッパー全体に塗り込む。
きめ細かなアッパーですので、これ以上あれこれ入れるのはやめにしておこう。個性的な正方形のパーフォレーションがワックスで埋まってしまったらイヤだし、作業はここまでとしよう。右足も同様の手順で仕上げたら、
メンテ完了!
【BEFORE】
【AFTER】
整いました。
【BEFORE】
【AFTER】
レディス靴ってシューツリーを入れてもらえないことが多そうですね。甲の皺が伸びればそれだけですっきり引き締まる。
トップリフトは交換が必要ですが、状態は総じて良さそうです。ゴムがあんな風に劣化するということは、履かれないまま下駄箱等で長らく時間を過ごした、ということなのかもしれない。
素敵な靴だけど女性の足元としては服装をかなり選びそうです。カジュアルに普段履きされることはまずない。パンツスタイルできちんとした感じ?出番のさほど多いものではなかったのかも。お陰で状態は良い。ラッキーです。
品質の高さを誇ったタニノ。弄ってみた感想としましては、そのことを顕著に表しているのは先ほども触れたアッパー(カーフ)の質の高さがひとつ。
そしてもうひとつがこれ。
滑らかに丸みを帯びたヒールカップ。
とてもとても美しいです。
旧い米国ビン靴のお尻も大変グラマラスなわけですが、それに勝るとも劣らない美しさです。
まあ、いくら素敵なバックシャンでも、履いてしまうとこんな間近で見られるはないのですが、これは意匠面での美しさではなく、歩きやすさを追求した結果得られた機能美、というものなのでしょうね、きっと。
5穴でなく4穴なのは、デザインというよりはサイズが小さいが故のことなのでしょうね。メンズのデザインそのままで小さなレディスサイズを作るのって難しそうです。アッパーだけでなくマッケイの底付けなど、より高い技術が求められそうに思える。
タニノがクローズして十数年経ちましたが、今も熱烈なファンがいるようです。一体どういう理由でクローズしてしまったのかな。勿体無いね。で、こんな風にソールのロゴがくっきりと残った個体も徐々に減っていくのでしょうね。
ビンテージとは何か。
時間軸ではおおむね三十年以上経過したものをそう呼ぶようです。タニノ・クリスチーもあと十年もすればビンテージの仲間入りとなりそう。十年後、どのくらいの球数が残ってますかね。
すでにビンテージとなったものは枯渇せぬよう守っていくことが大切ですが、これからビンテージとなっていくタニノについては、今の時点から、今残っているものを大切に履いていくことが肝要そうです。一足でも多くを後世に残せるよう、現存するペアは皆で大切に履いていかないといけないですね。
私も履きたくなりました。このくらい状態の良いペアを手に入れて大切に履いて行く。そうだ、タニノ・デビューすることを今年の目標の一つに掲げよう。今年中に1足。来年に2足目。向こう5年で5足。そうすれば「タニノ・クリスチーWEEK」が出来ます。5年も待てるか自信はありませんが、
なにか新しい風が吹き始めた気がする。
(おしまい)