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マイファースト TECNIC

こんにちは、ばしです。

 

三連休、皆さんいかがお過ごしでしたでしょうか。

私は、相も変わらず、いつも通りの休日です。先月末から月初にかけまして新たに迎え入れたペアが多数あります。早くメンテして、記事にして、履き下ろさねば。三連休でしたので、1日に1足ずつ、計3足メンテしました。もっとやれよとの声も聞こえてきますが、メンテは屋外でやる派の私。寒いの苦手です。そんなこんなで3足だけ。

順番前後しますが、晴天の土曜の午後はこいつと戯れました。

 

 

 

マイファースト TECNIC

先月末に届いたMade in England のペア。マイファースト、と書いてますが、厳密には2足目です。

1足目は黒のブーツ。

ロイドフットウエア別注の素晴らしいペアでした。なのですが、サイズが小さく私には悲しいかな履けない。泣く泣く旅立たせたのでした。

 

あれから1年、ようやく見つけたマイサイズのTECNIC。昨夏頃からでしょうか、ebayで永らく漂っていたやつですので、ご存知の方もおられるかと思います。海を渡り日本へ、私のところにやってきよりました。

何度目かの再出品であった今年1月、セラーからオファーが届きました。うーん、もう少し安くならんかな、どうしよう。などと思って眺めておりましたところ、「Accept Offer」をぽちっ。あっ、あれれっ、誤操作です(汗)。まだ検討中です。そこまで肚が決まったわけでなない。キャンセルしようかと思ったけどどうすればよいかよくわからない。

ええい、もう、長らく検討していたやつです。これも何かの縁でしょう。2月の1足目と思っておりましたところ、予想より早く届きよりました。

 

まずは、TECNIC社についておさらいです。

 

 

TECNIC

1915年創業のTECNIC社はイギリス、ノーザンプトンに工房を構え、フランスのG.Rodson(Gロッドソン)やLloyd Footwear(ロイドフットウェア)等の製作も行っていた名門靴製作メーカーです。1992年にテクニック社が工場を閉鎖。閉鎖後はジョンスペンサーネームでファクトリーブランドとして展開をしておりましたが工場閉鎖後は生産が英国ではなくなってしまい、近年では当時の英国製の製品を手に入れる事は非常に困難となっております。

今回もChettさんサイトのブランド紹介を拝借・引用させて頂きました。

1992年には工場閉鎖。このペアはいつ頃のモノでしょう? 出回ってる同社のこのロゴのペアは1970sとの触れ込みが多いです。こいつもそんな感じなのでしょうか。ざっくり40年前後前のペア、ということでいいんですかね。TECNICの年代判別法、気長に調べてみよう。

で、それなりに古いペアなのですがそれほど履きこまれてはおらず、状態もそんな悪くありません。さくっとメンテしよう。

と、思っておりましたが、気になります、この茶の色ムラ・・・。

とりあえず、前に進みましょう。

 

 

ステインリムーバー

いやあ、ね、当初から気にはなってたんですよね。焦げたような茶が素敵で購入を決めたものの、これって地色?

ひょっとしてワックスなんかでお化粧されてる? ビンテージ靴をがっつりメンテしたら雰囲気が激変、なんてことはよくあることです。こいつもそんな予感です。

 

LEXOL

コバ周りを中心にアッパーも。

甲の部分が赤くなりました。トゥは・・・、落ちないけれどこれきっとワックスですね。

どうやら予感的中です。良くない方に・・・。で、この黒、取れなさそう。もう、これはガッツリ行くしかない。

 

 

レノマット

強烈リムーバーで。とはいっても、今のキャップの形状に代わってから、除去力が少しマイルドになったように思うのですが、気のせいでしょうか。とはいえ、落ちる落ちる。

なんと、赤い靴になりました。

さすがレノマット。ですが、このシミは取れません。まあ、しゃあないですね。

 

デリケートクリーム

 

リッチモイスチャー

 

TAPIRレダーオイル

最近はクリストフポーニーレザークリームを使用することが多いのですが、今回は汚れの除去力も強いタピールを投入です。

 あまり浸透しませんが、まあ、いいでしょう。

 

モウブレイ・ワインのクリーム

レノマットの成果、所為か、少し白っぽくなったような・・・。気休めに色入れときましょう。

あんまり変わらない。さて、仕上げ。

 

コロニル1909ムショク

なんかもう、別の靴ですね。しかしまあ、元の焦げ茶もいい感じです。どうすればこの赤がそんなに濃くなるのかな。やり方教えて欲しい。

 

最後にソールを磨き、右も同様の手順でメンテ完了です。

【BEFORE】

【AFTER】

パーフォレーション部分は色が落ち切りませんでした。まあ、これはこれでよいかな。

 

【BEFORE】

【AFTER】

さてさて、がっつりやってしまって良かったのか、やらない方が良かったのか。良くも悪くも予感通りでした。

 

 

さて、あらためてディテールご紹介です。

 

サイドビュー。

ショートウイングです。
下はチャーチのグラフトン。

ぱっと見、似てますが、ようよう見れば微妙に異なる。余談ですが、比べてみますとあらためて、チャーチの丁寧な作り込みが際立ちますね。

Wの両端は土踏まず~踵近くまで伸びています。羽根下から踵へ延びるストレートのラインは、1960sの米国靴のように踵付近で上へと巻き上がっています。

角度によって一瞬ロングウインかと見紛いそうです。

ようよう見ればあんまり見かけない意匠かなと。

爪先。

ウイングチップのWの真ん中の凸部分が余りとんがってません。このせいで、よく言えば柔らかなカントリー調、悪く言えばいい感じに田舎臭くなってるかなと。もう少し低けりゃUウイングっぽい。いっそのことそれでもよかったのにね。

 

ソール。

結構分厚いです。ダブルソール?間になんかサンドイッチされてるっぽいです。見た目よりは返りが柔らかい。なんというか、ソールの革の密度がそれほど高くなくて、詰まっていない、その分やや軽い、そんな印象です。

踵。

なんだか凄く凝ったデザインです。元の黒のワックスが抜けきっていなくて色ムラになってます。まあ、一度では無理でも、繰り返して綺麗にしよう。

 

ソックシート。

綺麗に残った金色のエンブレム。こいつの一番のチャームポイントです。ロゴは残っていても消えていても履き心地に影響はないのですが、やはりこんな風に綺麗だと嬉しい。

あ、メンテ前の写真ですね。焦げ茶が良い。で、タン裏もライナーもオールレザー。

でかでかと「LEATHER INSOLE」。うん、そんなに主張せずとも分かります。

印字。

以前のロイド別注のペアは手書き文字でした。一般的には手書きの方が古いのでしょうが、ロイドフットウェアの設立が1983年とのことですので、こちらの方が古いのかな。よくわかりません。で、サイズは7.5。今回は履けます。ジャストサイズなはず。

履いてみました。

うん、いいですね。少し厚手の休日用のソックスでジャストなサイズ感です。

仕事用に焦げ茶のテクニックを買ったつもりが、これだと赤すぎて仕事では履きづらいかな。まあ、ジャケパンならなんとかなるかな。悩んだんですよね、ガッツリ行くか否か。そのまま、焦げ茶の靴のまましばらく履いて、そのあとメンテしようか。色が変わったとしても2度楽しめます。

なんて風にも思ったのですが、それは許しません。焦げ茶の靴が欲しけりゃ、焦げ茶の靴をまたあらためて買えばよい。躊躇せず進もう。それが人生というものです。

 

骨太で質実剛健、いかにも旧い英国靴、といった佇まいです。

うん、いいね、悪くない。色も、意匠も、造作も、超一流ではないけれど、他にはないものを感じます。そういうの、好きです。ま、だから買ったんですけどね。

届いた時点とは随分と雰囲気が変わりましたが、かれこれ二時間近く戯れてたおかげで、この赤にもすっかり慣れました。思えばこんな赤い靴、持ってないな。がっちり分厚くて堅牢な作りなのですが、硬すぎず、重すぎず、思いのほか履きやすそうです。

今週末あたり、さっそく履き下ろしてみますか。異人さんに連れていかれないよう注意です。しかし、こんな赤い靴、服は何に合わせたらよいのかな。まあ、じっくり考えましょう。これ以上ないほどに履きこなしてやる。

 

それこそまさにテクニック、であります。

 

(おしまい)

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