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アンノウン・ウイングチップスリッポン(後編)

こんにちは、ばしです。

 

前回からの続きです。

レザーとラバーを一体化させたようなこのソール。

すでに手放したペアで似たようなやつを持っていたような気がします。どれだったかな。記憶を辿るのもなかなか大変です。といいますのも、遡って確認しましたところ、この十年弱で500足以上の靴を買い300足以上を手放しております。スニーカーなども合わせた数字ではあるのですが、中にはサイズが合わず1、2度履いただけ、なんてのも少なからずありまして、すぐに「これだ」と思い至らない。

結局、小一時間かけて過去記事を漁って見つけました。

そうそう、こいつです。

Knappのペア。すでに転がして手元にはないアッパーがコルファムのウイングチップ。こいつのアウトソールの雰囲気と形状に酷似してます。

ソールの同じような位置に丸い線が。

ヒールもほぼ同じです。
あらためて、今回のソール。

ほぼ同じ位置に丸穴。今回のは周囲に文字が見えます。あとで確認しましょう。

ソールからヒールにかけて一体となった形状は完璧に同一の仕様と思われます。

再掲。
先程のKnappより状態はよさそうです。

とりあえずソールもいつも通りメンテしといた。

ソールトニック&トラディショナルワックス投入。
ソールもツヤツヤが好みです。
で、先程のソールの文字。

半円を描くように「LEATHER SOLE」とあります。ええそうですね、それは分かってます。そしてその上には少し小さめの文字で、

「PAT NO.XXXXXXX」

とある。うーむ。数字が微妙に読めないですが、「6116555」かな?「511・・・・」か。つぶれて判読できませんが、恐らく、これはレザーとおそらくラバーなどの人工のマテリアルを組み合わせた「ソール&ヒール一体型の靴底」の特許番号が記載されているのだと推察されます。

上記写真はKnappのソールですが、こいつにも、とてもとても薄くなってはおりますが、うっすらと似たような印字が残っている、ように見える。現物がないのですが、半円を描く文字のようなものが見えます。ほぼ間違いない、同じ仕様のソールと思われます。

 

思いますに、

今の時代、本格高級靴はアッパーも底も本革=天然素材であることが当たり前のようになってますが、先程のコルファム(=Dupon社が開発した人工皮革)のKnappは当時の最新の技術によるマテリアルを取り入れたわけで、「本革でないから高級でない」というわけでもない。

きっとこのソールも様々な理由から廃れてしまったのでしょうが、レザーでないことで雨の日も中に水が染みない、それでいてレザーソールのようなドレス感、というのは当時としては画期的な事だったのかもしれない。

 

 

そんなソールとアッパー。
どのように縫合されているのでしょう。

コバに出し縫い糸は見えない。

内側にも縫い目はありません。こいつはおそらくセメント製法、ではないかな。セメント製法も生まれた当時としては画期的な発明だったのでしょうね。必要は発明の母。今も昔も、新しい技術はどんどん取り入れたくなるのは人間の性なのでしょう。

今回のこのペア、年代など全く不明ですが、それほど古くもなく、かつ新しいわけでもないでしょう。コルファムの製造期間は「1964年~71年頃」ですので、先ほどのKnappのペアは1960s半ば〜1970s前半くらいと思われます。今回のペアはどうなのでしょう。似たような年代なのかな。シューメイカーあるいはソールがどこの何者か、それが分かればもう少し年代も絞れるんでしょうけどね。今の時点ではこれが限界、やむなし。

ということで、メンテはこれにて終了。

 

 

【BEFORE】

【AFTER】

元々コンディションは良好です。
あまり変化はない。

 

【BEFORE】

【AFTER】

ソールは良い感じになりました。
履いたら見えないんですけどね。

足を入れてサイズ確認しましたところ、やはり甲の隙間が大きい。素足ですが、いろんなサイズの靴に足を入れてきましたので靴下を履いた時のサイズ感もなんとなく想像つきます。このままだと、甲は緩い。で、全長は問題なさそうですが踵も少しばかり緩いかも。

 

履きおろしに向けて追加施術です。

甲のパッドを調達しました。

厚手で柔らかなフエルト使用のこいつを、

貼ってみた。

おお、タン裏フエルトです。
って、タンはないのですが。

サイズ確認。よし、甲周りは良い感じ。
次は踵周りの対処です。

追加で中敷きを入れることにしました。今回は分厚いのは不要そうなので、コルクシートはなしでレザーのみ1枚もののフルソックにします。といいますのも、

元がこの状態なんですよね。
見た目にも履き心地でも1枚追加しといた方が良いかな、と。

装着したら施術完了です。

 

一昨日の月曜日、早速履き下しました。

おお、カッコいい。
ウイングチップスリッポンはかなり私好みのスタイルなのであります。

サイズ感としましては、踵周りは大変いい感じに調整できました。ただ、甲周りは思った以上に窮屈になってしまった。追加したソックシート、踵には効果的も爪先側には不要だったかも。出社直後の職場にて再調整です。

前半分をぶった切り。

両面テープを仕込む。これで爪先側へとずれることはないでしょう。

見えづらいですが、

爪先側はファブリックのライナー、踵側はレザーライナーになっておりまして、ちょうどその境目でカットしてみた。割とカッコいいです。ま、履けば見えないんですけどね。

 

で、履いてみた。

おお、ドンピシャな感じになりました。この日は夕方になっても履き心地は変わらず。サイズの調整はこれで完全完了です。グッジョブ、俺。

 

残る課題は、

ソールのこのパテント番号が何番か、ということと、

このロゴの判読です。

ソックシートは左右とも同じで、ロゴのコンテンツとしては、一番上にブランドかショップ名、その下に靴のイラスト(左足?)があり、一番下には「LEATHER CUSIONED」の文字です。

実用性重視の仕様ですので、ワークシューズ寄りのメイカーのペアかもしれないな。アメリカ製で間違いはないでしょうが・・・、何かお気づきな点や心当たりのある方おられましたら、是非ぜひコメント欄よりご教示くださいませ。こいつがどこの何者か。

 

なんとしても解き明かしたいものです。

 

(おしまい)

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