こんにちは、ばしです。
今回は昨年末に立ち上げた企画の【第二弾】です。念のため、どんなものか説明しますと、
MOTTAINAI やつをコロコロ転がすPROJECT。
略して「Mコロ」と命名しました。内容はといいますと、まだまだ履けるのに、見た目が草臥れているだけで手入れすれば蘇るのに、なのに二束三文扱いでリユースショップの雑多な靴コーナーに追いやられた不憫なやつを綺麗にメンテナンスして新たな持ち主に送り届ける、という、お節介な企画であります。
ここまで、【第一弾】とほぼ同じ書き出しです。第三弾からは割愛しよう。今回は12月に拾ってきたペアだったような。1月にメンテして出品いたしましたが、その後、全然売れないんですよね。
どんな靴か、とりあえずご紹介。
Vio Rossi ウイングチップシングルモンク
見た感じ旧めの日本製もしくはイタ靴っぽい印象。
赤茶のアッパーに、
赤いライニング。
赤いソックシートには金のロゴ。
「Vio Rossi」「MADE IN JAPAN」とあります。聞いたことないですが日本製のようです。日本ではリーガルさんやスコッチグレインさんのようなメジャーなシューメイカーはさほど多くはありませんが、旧い靴を見ていますと昔はいろんな靴ブランドがあったんだなと思います。
靴の前半分はナチュラルカラー。オールレザーライナーです。底には縫い目が見えます。マッケイ製法のようです。フットプリントもなくて使用感も薄い。
アウトソールにもロゴ、と、数字が。
「7」とあります。25センチ相当かと思われます。私には小さい。きれいにしてマーケットに戻そうと拾ってきました。
薄手のアッパー、素材はカーフでしょうか?かなり肌理が細かくて上品な印象です。で、踵の形が崩れてますね。もったいない。それも含めてケアしましょう。いつもとは手順を変えて両足同時にすすめました。
まずは、
ソールのケア
まずはソールのケアから。レザーソールにへたりはなし。前半分はヒドゥン仕上げ。爪先には丸いゴムが二つ。初めて見る仕様です。
トップリフトには文字等一切なし。前側に2本、踵側には3本の釘。三角形に打たれた3本の釘はまるでVクリートみたいです。実用と意匠を兼ねてるのでしょうか。釘3本だけのことですが、気配りが行き届いているように思える。
てなことで、いつもの手順で底を、プラスしてビーズワックスでコバを磨いてソールはこんなもんで。
さて、アッパーに移ろう。
LEXOL
汚れ落とし&旧いワックス落とし。
ひっかき傷のあるトゥですが、
傷はあってもワックス等ないみたい。
傷も落としてくれたらありがたいのに。
なーんてね。
まあ、すっきりしたでしょう。
デリケートクリームもどき
百均のヒト用クリームで保湿。DAISOで買ったこのクリームは主成分が水とグリセリンです。
渇きはそれほどでもなかったようですが、旧いペアですので水分補給はマストでしょう。トゥの傷が目立つ。どうせならメダリオンがあればよかったのに。なーんてね。
クリストフポーニー・レザークリーム
いつものクリームで油分補給。
いい感じにギトギトになりました。
浸透させるために丸1日放置です。
☆
☽
☆
24時間後。
マットな雰囲気になりました。
かなり浸透したようです。
LEXOLで余分なクリームを除去したら、仕上げです。
コロニル1909(無色)
いつものクリームで仕上げました。
艶感はいいのだけれど、
傷が目立つ。
よし、できる範囲で隠そう。
ビーズワックス(茶)
茶のワックス投入。
指で直接塗り込んで、ウエスで磨く。
これを3,4度繰り返したら、メンテ完了です。
どんっ。
おお、だいぶ目立たなくなったような。
【BEFORE】
【AFTER】
うん、まずまず、すっきりしたような。
【BEFORE】
【AFTER】
傷も目立たなくなったような気が。けどまあ、傷は、ね。ついたものはしょうがない。改善にも限度があります。個人的にはそれよりも、シェイプが整ったことのほうが嬉しいです。
歪んだ踵履き口も波打った甲も、かなり改善しました。ツリーを入れているから、ではあるのですが、やはりあるとなしでは違う。履いた後にきちんとツリーを入れていれば型崩れもそれほどひどくはならない。
メンテナンス後にツリーを抜いてみると、
うん、いい感じです。かなり整いました。
分厚いアッパーだといったん歪むとなかなか元には戻りづらい。今回のペアはアッパーが薄手だったので回復も早かったかもしれません。やはり革靴にはシューツリーがあったほうが良い。
そうすれば、
この折角の素敵なお尻も素敵なまま形を維持することができるでしょう。次の持ち主はシューツリーを使ってる人だといいね。
ところで、
こいつを持ち帰った理由ですが、この存在が大きかった。
左はジョンマーのペアです(過去記事こちら)。
ストラップ部分の仕様は異なりますが、どちらもシングルモンクで、どちらもウイングチップで、どちらもブラインドブローグです。お気に入りのこのジョンマーの存在があったことが今回のVio Rossiを持ち帰った最大の要因でもありました。
まあね、形は似てはいても、他は結構異なってはいます。
今回のは日本製だし、製法はマッケイだし、アッパーも薄手だし、華奢なイタ靴みたいな印象です。なのですが、なかなかに素敵なやつではある。
で、気づいたのですが、前半分のソックシート、中央あたりにバンプがあります。丘のように盛り上がってるのがお分かり頂けますかね。履き心地がどんなかは分かりませんが、凝った作りであることは間違いない。
うーむ。どこの何者か。
あらためて調べてみたら1件だけヒットしました。
https://chett.shop/?pid=168053897
ビンテージ靴ショップのCHETTさんで扱いがあったようです。これは1980-90s頃の品ではないか、とのこと。たぶん今回の私のも似たような年代なんでしょうね。
すでにSOLDとなったCHETTさんの未使用品このペアは2万円弱で売れたようです。私のはユーズドだし、1万円は到底無理としても5千円くらいでなら売れるかな。今回も儲かりそうウシシ。
なはずが、夢は束の間。
当初4千円で売りに出したけど反応がなく、最終的に1650円まで値を下げましたが結局買い手は見つからず。うーむ、ごめんよ、残念。
ちなみに、なぜ1650円かといいますと、
こいつ、税込み550円だったのでした。
買値550円+発送箱代100円+送料850円+メルカリ手数料の合計がおおよそ【1650円】だから。この場合、私のメンテ費用はサービス、無料奉仕となりますが、損はしない。
と、思ったけれど、結局売れないんで、もうね、昨日夕方で出品取り消しました。小さくて履けない靴をいつまでも手元に置いててもしょうがないんで、この週末に近所のリユースショップに持ち込む予定です。
いくらの値がつくでしょう?
まあそれはまたそのうちご報告します。買った値段だと嬉しいけれど厳しいでしょうね。まあ、最悪値段がつかなくともマイナスは550円だけです。十分楽しめたし、そのくらいなら良しとしましょう。
自己満足なのですが、なんかいいことした気分です。
お節介はこれからもまだまだ続くのであります。
(おしまい)