こんにちは、ばしです。
3連休の初日。久々にリユースショップを巡ってきました。
今回は自宅から車で南へ。大阪南部、といえば聞こえは悪くないですが、実態としては「南河内」。あ、なんか聞こえ悪いみたいな言い方になっちゃいましたね笑。関西以外の方にはあまりピンと来ないかもしれません。東京でいうなら南多摩エリアを少しばかりショボくしたようなイメージ。適度に田舎な昔ながらのベッドタウン・エリアです。
かく言う私も南河内は富田林出身です。かつては高校野球の強豪校「PL学園」で有名でした。私自身は地元の富田林高校だったんで、当時の友人知人も南河内エリア在住者がほとんど。なもんで、今回は久々に地元をパトロール、てな感じでなかなかに懐かしいです。
この日は午後から狩りに出かけました(←バカ)。今の住まいである八尾(中河内)から高速で10分ちょっと南下して、その後さらに国道を15分。大阪狭山を皮切りに、河内長野、富田林、羽曳野、藤井寺界隈をぐるりと巡ること6店舗。
この2足をゲットしてきました。
左:セカスト狭山店で税込990円。昭和の頃の誂え靴のよう。
右:セカスト河内長野税込1430円。アメリカンな雰囲気です。
おお!どちらもお安く、かつ大変素敵なペアです。古靴の神様、ありがとうございます。どちらも翌日の日曜日に早速メンテしました。茶はグリセリン保湿中につき、今週末にメンテ完了予定です。白はさくっと、メンテ完了させました。
今回はこの白のUチップをご紹介です。
白、というか、オフホワイトのUチップ。
形が大変よろしい。とてもハンサムな顔つきです。
サイズ表記は「8M」。ジャストマイサイズなはず。
ソックシートにはロゴが見当たりません。完全に擦り切れたのか、元からなかったのか。
タン裏はレザー。ライナーも後ろ半分はレザーで、前半分は布です。
こいつ、ここまでではごく普通のアメリカンなペアなのですが、実は結構変わり種なペアなんです。そう、「○○○○○シューズ」。「○」に何が入るのか予想しながら以下ご覧ください。
まずは、土踏まずあたり。
内側に穴が二つ。
で、ソールはといますと・・・、
あれれ?左右で仕様が異なります。
右足(向かって左)はラバーソールに爪先だけレザー。
左足(向かって右)はレザーソールです。
それなりに使用感はあるのですが、なんだかいつもと異なる雰囲気です。左右ともに爪先側を中心に擦れたような傷が多数。
先ほどのソックシート。左右ともにロゴや文字の類は見えませんが、なぜだか左だけ踵から爪先側にズレてます。
さて、答え合わせです。お気づきな方もおられる通り、こいつ・・・、
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「ボウリングシューズ」のようです。
「空気穴」を発見した時点で何かの競技用と推察されます。「底の仕様が左右で異なる」ことと「左のソックシートだけがズレている」ことから、左足を軸足とする競技であろう。ラバーソールの右足で蹴ったような擦れ傷が多数。で、左右ともソールに砂や土は皆無で屋内競技の可能性を示唆しているように思える。そんな競技って、おお、それってひょっとして・・・・、
「ボウリング」なのではないか?
というのが自分なりの推理の経過でした。で、かなり素晴らしい考察だと思ったのですが、なんのことはない、この手のビンテージのボウリングシューズって、それなりに流通してるんですね。推理も何も、分かる人は一目見たらわかるみたい。知らぬは私だけだったようです。
ですが、私がこれまで持っていた「ビンテージのボーリングシューズ」のイメージって、こんなんです。
そうそう、こんな感じ。お世辞にも御洒落とは言えないような、ラグビーボールに縦線が入ったみたいなやつ。もしくは、
こんな感じでカラフルなやつ。もうね、ボウリング場でしか履けません笑。そして何より、ボウリングシューズといえば「DEXTER」とのイメージです。DEXTERはアメリカンな紳士靴も普通に作っていましたので、今回のはDEXERあたりの可能性が濃厚かと思っていたのですが、さらに似た奴を発見。
おおー、白のUチップスタイルです。土踏まずあたりに穴が2個あるのも似てます。ただ、こいつは3アイレットのようです。ところで、内側に黒いタグが見えます。
″Brunswick″ とあります。その下段にはちゃんと”BOWLING SHOE”の文字。布タグの黒タグです。ビン靴として見るならば結構旧そうです。1960sくらいな印象です。
ソールの仕様もおんなじです。ただ、こいつにはヒールトップにもロゴが。ただ、ロゴの有無を除けば瓜二つです。
そういえば、前掲のラグビーボールみたいなやつもBrunwickのペアのようです。「ボウリングシューズといえばDEXTER」と思ってましたが、この「Brunswick」というのも結構メジャーなメイカーのようです。
さて、戻りまして、今回のペア。
先ほどの黒タグのペアとスタイルも酷似しており、確証は持てないもののBrunswickのペアである可能性が高そうです。さて、いつ頃のペアでしょう?同じく1960sくらい?年代を新しく見積もったとしてもearly1970sくらいな雰囲気です。
しかし、アッパーだけ見ればボウリングシューズには見えません。形状やステッチほか、作り込みは普通のビンテージシューズと同じ雰囲気です。特にこの粗い目付が堪らない。素敵なアメリカンビンテージだな、と。ま、だから拾ってきたんですけどね。
よし、綺麗にしましょう。
いつも通りまずは左から。
ステインリムーバー
薄ら汚れとがっつり汚れが混在してます。
ああこりゃなかなか手強いやつです。
特にこのあたりは、もう、ね。何十年と染みついたまま。もしくは変色してます。
この手の奴は、
まあ、すっきり綺麗になります。こちらで溜飲を下げておきましょう。
LEXOL
いつもの手順で。
・・・・・。
RenoMat
強烈リムーバー投入。
手強い。
・・・・・。
消しゴム
白にはこいつです。
おっ、ほんの少しだけましになったような。最初から消しゴムだけでよかったのかもね。
おっ、結構いい感じなのではないでしょうか。さて、ここでお知らせです。消しゴムを使用する場合は屋外で行いましょう。大量にカスが出て奥様に叱られます。
デリケートクリームもどき
保湿。
まあ、もうこれ以上はしょうがないですね。
コロニル1909(ニュートラル)
いつも通りで。
まあ、もうこれ以上はしょうがない。これでよい。
LINCOLN WAX
ニュートラルなワックスで仕上げ。
うっすらと光らせて、汚れを誤魔化す作戦です。
作戦失敗。誤魔化せませんでした。
右も同じ手順でメンテしました。
まあ、多少はましになったでしょうか。
靴紐を綺麗にすればこましに見えるかも。ハンドソープで洗いました。
おおっ、今日一番の出来です。さて、通しましょう。
【BEFORE】
【AFTER】
どうでっしゃろ?
【BEFORE】
【AFTER】
ま、気持ちマシにはなったようです。
左のトゥ外側に傷がありますが、まあ、あまり目立なさそうです。
ダブルステッチ。丁寧に縫われています。革のシボ感も素敵です。そういえば、白のシボ革ってあまり見かけない印象です。珍しいかも。
履き口もダブルステッチ。
釣り込まれた穴発見。やはり本格的な作りです。踵内側の汚れはいかんともしがたいですが、まあ、誰もそんなジロジロ見ないでしょう。見ないでね。
さて、サイズ確認です。
おおー!ドンピシャ・ジャストフィットです。
履き心地ですが、薄手のソールなのですが、ボウリングシューズゆえのことなのでしょうか、少しばかりクッションが効いています。見た目の印象と同じく、柔らかな履き心地です。うん、こりゃぁいいね。ガンガン履いてやろう。
で、夏はやはり、白がいいですね。
せっかくなんで、夏向きの白っぽいやつらで記念撮影。
こうしてみますと他の3足はどれもスエードです。雰囲気が変わっていいかも。ちなみに、京都風に言いますと「スエードどすえ~ど」みたいな。あ、すみません。
ところで、
先ほどの内側の印字の件ですが、
「B172 1」の「B」て、「BOWLING」の「B」ってことはないですかね。いろんな用途の靴を作ってる中で、「これはボウリング用だよ」との目印だとか。違うのかな。何か意味があるのかないのか、気長に調べてみるとしましょう。
あらためて、今回のペア。
素敵なUチップです。
誰もボウリングシューズだとは気づかないでしょうね。
夏はローファー、もいいけど、白いペアもいいですね。
こいつとは長い付き合いになりそうな予感。
高速代かけて足を伸ばした甲斐がありました。
ありがとう、リユースショップ。
ありがとう、南河内。
次回もまたよろしゅうに。
(おしまい)