米国ビンテージ靴ノススメ【序章】

こんにちは、ばしです。

 

緊急事態宣言に基づく外出等の自粛要請の期間もひとまずはあと10日。
ここまで頑張ってきましたので、最後までしっかりとSTAY HOMEでいきたい。

(※この記事は、2020年4月のものです)

とはいえ、間もなく最後の難関、ゴールデンウイークです。
オフィスもショッピングセンターも映画館もジムもスタジアムも、全て閉まった状態で迎えるGWなんて、過去に経験ありません。スーパーやコンビニ以外はほぼ行くとこもなし。方や、時間の余裕がたっぷりあり過ぎて、どうやって暇をつぶそうかとお悩みの方も多いかと思います。

そんな貴方に朗報です。

この機会にビンテージ靴などいかがでしょう?
自宅で過ごすGWなんて最初で最後かもしれません。
時間はたっぷりあります。
せっかくのこの機会に新しい扉を開きませんか?

 

(大阪・JR鴫野駅近くのvintage shop “ODDMENT STORE”さんの店内)

 

ビンテージ靴の世界に触れる。手に入れる。手入れを楽しんで足を入れる。
新しい「古い靴の世界」にまさに足を踏み入れる、そんな仲間が増えたら、靴古靴好きの身には嬉しい限りです。

本格高級靴は楽しんでるけどビンテージはまだ。
ビンテージは好きだけど、靴については何がどうなのかよくわからない。
本格靴は欲しいけれど、高くてなかなか手が出せないでいる。
他人が履いた中古の靴を履くなんて考えたこともない。

そんな方々に、「ビンテージ靴」の世界がどんなもので、どんな楽しみがあるのかを、私なりの視点でご紹介できれば思います。
で、GW中に自宅で実際に古靴を漁り、手に入れ、メンテナンスを楽しむことで、有意義な暇つぶしを楽しんでもらえたら幸いです。

そんな趣旨で、今日からGWまでの5日間、趣向を変えてのエントリーです。

そもそも、この記事が、まだ興味を持ってない人の目にどれだけ触れるかという根本的な話もあるのですが、まあ、気にしない、気にしない。
普段から拙ブログをお読み頂いてる方々には、何を今さら、といった内容かと思いますが、まあ、しばらくお付き合いください。

 

4/26【序章】 ビンテージ靴の世界へようこそ
4/27【二章】 ビンテージ靴の魅力について
4/28【三章】 ビンテージ靴のメンテナンス方法
4/29【四章】 ビンテージ靴を沢山見てみよう
4/30【終章】 ビンテージ靴を手に入れよう

 

初回である今回は、ビンテージ靴とその楽しみ方についての全体的なお話です。
明日の【二章】以降で、具体的に詳しくご説明していきたいと思います。

それでは早速初日、いってみましょう。

 

 

【序章】 ビンテージ靴の世界へようこそ

 

 

初回は以下の3つの視点からビンテージ靴の世界をご紹介します。

(1)ビンテージ靴ってどんな靴?
(2)なぜ米国製が主流なのか
(3)ビンテージ靴の品質と当時の時代背景

(1)は、どんな靴がビンテージ靴なのか、についての基本的な説明です。
(2)(3)は、日本で米国製ビンテージ靴が人気の理由とそれらの靴が製造された頃の時代背景について、です。

(2)と(3)は補足的な事柄なので、不要と感じた方は読み飛ばしてください。

 

 


(1)ビンテージ靴ってどんな靴?


靴のビンテージ、と聞いて、皆さんはどんな印象を持ちますか?

靴の中古?
なんでわざわざ中古?
そもそもちゃんと履けるの?

そんな声が聞こえてきそうです。ごもっともです。
で、今回は、そんなマイナスイメージを持たれがちなビンテージ靴をあえてお勧めしようということなのですが、私のように、ビンテージ靴を実際に楽しんでいる人は世の中にすでに一定数以上存在します。そんなビンテージ靴フリークがなぜ、何に惹かれて、手を、足を出しているのか。で、そもそも、ビンテージ靴とはどんな靴なのか?

平たく言いますと、こんな靴のことです。

◎現代の高級靴と同じ本格的なつくりで
◎1950-80年代に米国・英国で製造された当時の高級靴で
◎古いけれども今も普通に履ける靴

で、なぜ、あえてそんな古い靴に手を出す人がいるのかというと、

◎そもそも当時の高級靴でありそのクオリティが素晴らしいから
◎今の新品の高級靴と変わらない品質なのに中古だから安いから
◎既に存在しないシューメイカーも多く中古でしか買えないから

◎転売して靴代を安く済ませることができ、ときには儲かるから

何を一番の魅力に感じるかは、人によって様々ですので一概には言えませんが、買って、売って、を繰り返して、いろんな靴を楽しみながら、実はお金があまりかからなかったりもします。

「趣味はビンテージ靴」

なんて聞くと、お金かかりそうと思ったりしませんか?
きちんと「目利き」ができれば、量販店で高級でない一般的な靴を買って履きつぶしているのとかかる費用は同じくらいかもしれません。そういった面では、特に若い人にほど楽しんで頂きやすいと思います。

目利きして買ったけど自分には小さかった。そんな靴を売って、小遣いを稼げたりしたときは、家族や恋人に美味しい食事を御馳走しましょう。古靴の趣味そのものを応援してもらえるようにもなります。
これまで単なる古いモノと思っていたのに、そのお陰でみんながハッピーになれる。

「買って良し」「履いて良し」「売って良し」

コストメリットが最大の魅力という訳ではありませんが、ネックになりがちな費用面の心配が少なくて済むので、手軽に始めて長く楽しむことが可能です。
それが、ビンテージ靴だったりします。

 


(2)なぜ米国製が主流なのか


ビンテージ靴で流通量が一番多いのが米国靴だから、だと思います。

本ブログで紹介しているビンテージ靴も大半が米国製です。次いで英国靴。イギリス同様に靴の本場ともいわれるイタリアのビンテージ靴というのは、そもそもあまり見かけません。なぜなのかはよくわかりませんが、おそらくこんな理由ではないかと思われます。

 

①靴の製法により寿命が異なるから

本格靴の製法には、「グッドイヤーウエルト製法」と「マッケイ製法」という二大製法があります。聞いたことありますかね。ざっくり説明しますと、
「グッドイヤー製法」
米国英国靴にみられる頑丈で長持ちする製法。半面、履き慣らすまでは硬い履き心地で、足にフィットするまで時間がかかる。
「マッケイ製法」
伊靴にみられる製法。耐久性にはやや劣るが、履き下して間もないころから足にフィットして柔らかな履き心地が味わえる。

・・・そもそもが頑丈な上に、底を何度も修理交換して長く履くことができてより寿命の長い「グッドイヤー」の靴が、結果的に数十年経った今もより多く残っている、ということかもしれません。

 

②アイビースタイルが流行ったから

その昔、1960年代以降、日本でアメリカのファッションである「アイビールック」が流行り、その後、アメリカントラッドとして定着しました。紺ブレにチノパンに足元はローファーや外羽根のウイングチップ。この時代に米国スタイルのVANジャケットやリーガルの靴などが人気を博し、定着しました。これ以降、日本にも相当な数の米国靴が輸入・流入したと推察されます。
あなたのお爺さん家の靴棚の奥にも、当時のペアが今も眠っているかもしれません。

 

③革靴文化圏でアメリカの人口が一番多いから

調べてみましたところ、もう、一目瞭然です。
アメリカ>イギリス≒イタリア、の順で、今も昔も5倍の差があります。
これだけ人が多けりゃその分必要となる靴の数も多くなるわけです。
古靴も米国製が多くなるのは必然と言えそうですね。

一方、米国よりも長い歴史を持つ英国靴の人気も相当なものです。が、米国靴に比べて流通量が少なく価格も相対的に高いため、より限定されたマニア向け、となっているのかもしれません。

いずれにせよ、今もなお、日本のビンテージショップや古着屋さんの海外での買付け先は断然アメリカみたいですし、海外から流入するビンテージシューズの多くが米国製、という傾向はこの先も変わらないかもしれないですね。

 

 


(3)ビンテージ靴の品質と当時の時代背景


流通している米国ビンテージ靴。その製造年代は1960~80年代のモノが大半です。これは、アメリカの景気動向によるところが大きいようです。

1960年代はアメリカ経済の黄金期であり、米国靴メーカー各社もこの頃に最高潮を迎えたようです。値段が高くともいいモノが売れた時代。多くの靴メーカーと職人が腕を、品質を競っていた時代の靴は、ともすれば現代の高級靴を凌ぐものもあったともいわれます。

しかしながら、1970年代以降アメリカの経済は長期にわたる低迷期に入ります。高いものが売れない。値段を下げるために品質を落とさざるを得ない。その後も長引く不景気に、メーカー同士の統廃合や外資への身売りなどが避けられなくなり、生き残れたとしても国内をあきらめ、海外製造へとシフトせざるを得ない。

そう、「ジャパンバッシング」といって、現地で日本車がハンマーで壊される映像がテレビのニュースで流れていたあの頃、いくつものアメリカの靴メーカーがその歴史の幕を閉じていたのでした。

 

そんな風に時が流れること数十年。
今もなお、昔ながらの手法で米国内で製造しているのは「オールデン」「アレンエドモンズ」の2社だけになった、ともいわれています。

そんな経緯から、結果として、米国製ビンテージ靴の後期が1980年代頃まで。で、コストダウンを余儀なくされる前、1960年代に近づくほど、そもそものクオリティが高いといわれています。

それ以前、1950代以前の靴については、古すぎてそもそもの数が少なかったり、程度の良いものは実際に履くというよりは貴重な史料として大切に保管されるような状態で、流通量はごくごく僅かのようです。

結果的に、皆が実際に履いて、楽しんでいる米国靴は、1960~80年代のものが圧倒的に多くなっているわけです。

 

 


むすび


ざっと外観をご紹介しました。おおよそどんな世界なのか、雰囲気だけでも伝わればと長文になってしまいました。おつきあい頂きありがとうございました。

明日以降は、もう少し具体的にご紹介していく予定です。
あらためて、明日以降はこんな流れです。

明日【二章】 ビンテージ靴の魅力について
4/28【三章】 ビンテージ靴のメンテナンス方法
4/29【四章】 ビンテージ靴を沢山見てみよう
4/30【終章】 ビンテージ靴を手に入れよう

少しでも興味を持っていただけた方、面白そうだと思っていただけた方。
引き続きお読み頂けたら嬉しい限りです。
明日またお目にかかりましょう。

 

ごきげんよう!

 

 

2件のコメント

  1. はじめまして。
    いつもブログを拝見しています。
    ビン履の探し方や手入れの仕方などとても参考にさせてもらえればと思い見ています。

    私もセカストでBostonianの靴を買ってみました。靴ジワもありますが愛着を持って履いています。

    これからも更新を楽しみにしています。

    1. ガン様
      はじめまして、コメントありがとうございます。
      そう言って頂けると嬉しいです。
      なかなか自由に靴探しに動きまわれないですが、
      お互いもう少しがんばりましょうね。
      GW明けからいつも通りブログ再開しますので、
      引きつづきよろしくお願いします。

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